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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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札幌市・円山動物園のララ (Lara) が28歳となる ~ 偉大なホッキョクグマの歩んできた道

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ララ (Lara) (2014年5月18日撮影 於 円山動物園)

札幌市・円山動物園で飼育されている雌(メス)のホッキョクグマのララ (Lara) が11月20日に28歳の誕生日を迎えました。彼女は1994年11月20日に大分県・別府市のランテンチで誕生しています。現在旭山動物園で飼育されているルル (Lulu) とは双子の姉妹であることは有名です。このラクテンチにおけるホッキョクグマ繁殖の記録については「大分・別府「ラクテンチ」の苦闘の繁殖記録 ~ 最後に輝いた星であるルル (Lulu) とララ (Lara)」という投稿を御参照下さい。
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ララ (Lara) (2013年9月8日撮影 於 円山動物園)

ララは1996年5月9日に円山動物園に入園しています。ラクテンチからの出発はその二日前の5月7日だったようです。ララとルルの双子姉妹のうち、何故ルルではなくララが札幌に行くことになったかの理由は今となってはわかりません。ラクテンチに残ったルルは、ララの去った約一年後の1997年5月22日に福島県の東北サファリパークに移動しています。ララが円山動物園に到着して間もない時期の写真を「札幌市電子図書館」で見ることができます。こちらのページを開いていただくと「さっぽろ円山動物園だより 68号」のページが開きます。そのページの右側の「読む」をクリックしていただくと見ることができます。デナリはかなりかわいいホッキョクグマとして写っていますが、ララはそうでもないような感じがします。その後のララ(そしてデナリ)の活躍は、全て「札幌・円山動物園の苦闘の繁殖記録 ~ 賞賛されるべきデナリ (Denali) とララ(Lara) の健闘」という投稿で述べた通りです。また、ララがどのようなホッキョクグマであるかについては「ララが忘れぬ童心 ~ 新しい感情領域 ("Larasophia") を切り開き、新境地を開拓した名ホッキョクグマ」、及び「ララ、その世界屈指のホッキョクグマの発散する魅力」という投稿で述べていますので、ここであえて繰り返すことはしないでおきます。
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ララ (Lara) (2015年10月24日撮影 於 円山動物園)

世界にはこれまでもララ以上に繁殖成功の頭数が多かったホッキョクグマは何頭も存在しています。しかし私の見たところ、ララの偉大さは彼女が子供たちに接する行動(これを育児技量という言葉で言い換えてもよいでしょう)の優秀さ、巧みさに彼女の大きな長所があるといえます。この点においては、ララはウスラーダ以上であると私は思っています。私はロシアや欧州で多くのホッキョクグマの母親たちを見てきましたが、ララ以上だろうと思ったのはモスクワ動物園のシモーナだけでした。ちなみに「札幌・円山動物園のララが満24歳となる ~ 偉大なホッキョクグマを支える人々」という投稿を開いて見て下さい。当時の飼育員さんの話を聞くことができます。

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ララ (Lara) (2015年10月24日撮影 於 円山動物園)

さらにここで「歴史上の if」を考えてみたいと思います。仮にラクテンチから円山動物園に来園したのがララではなくルルだったらどうなっていたか.....この点です。ルルは果たしてデナリをパートナーとしてララと同じだけの繁殖の実績をあげられたかどうか.....? 現在の私の考えでは、この質問の答えは「否」です。こういう仮定に基ずく質問への回答は非常に難しいのですが、何故私が「否」と考えるかについては以下の通りです。双子姉妹というのは成長した後に二頭共に繁殖に成功する確率は高いことが欧米では経験則として言われています(これを私は「双子姉妹の神話」と読んでいます)。しかしこれは、双子姉妹を引き離さずに一緒に他園に移動させるということが条件となります。さらに欧米で経験則としてよく言われることですが、雌(メス)の個体は母親と長く同居させたほうが繁殖成功の確率は高くなると考えられています。ところがこのルルとララの場合は、ルルはララが去って約一年間も母親であるクーニャと暮らしていたわけですからルルの方がララよりも繁殖成功の確率が高くなると考えることはできたのです。ところがその後のルルとララを比較すると、その繁殖の実績は全く比較にならないわけです。ということは、ルルは仮に札幌でデナリをパートナーとしても、ララほど繁殖には成功できなかっただろうという推論が成り立つように思います。
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ララ (Lara) (2018年6月23日撮影 於 円山動物園)

ルルとララ、そして彼女の母親であったクーニャ、これは「オマハ血統」と呼ぶべき血族になります。これについては「謎のホッキョクグマ、クーニャ (#1253 Kunya ?~ 2010) の「正体」を探る ~ 浮かび上がったその真相」という投稿を御参照下さい。
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ララ (Lara) (2018年6月23日撮影 於 円山動物園)

ララ(そしてルル)の末永い健康を祈ります。

(過去関連投稿)


by polarbearmaniac | 2022-11-21 06:00 | Polarbearology

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