街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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2017年 04月 27日 ( 2 )

アメリカ・コロンバス動物園のナヌーク逝く ~ 生涯の最後に咲かせた満開の花

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ナヌーク (Nanuq the Polar bear) Photo(C)Columbus Zoo

一頭のホッキョクグマがその生涯の最後に最も美しい花を咲かせ、そしてこの世を去りました。私たちはただただ深く頭を垂れて彼の業績を称えるべきでしょう。

アメリカ・オハイオ州のコロンバス動物園より発表がありました。同園で飼育されていた雄のホッキョクグマであるナヌークが肝臓ガンのため昨日の朝に安楽死という処置で亡くなりました。享年29歳。彼は24歳だった2012年にバッファロー動物園でルナ、27歳だった2015年にコロンバス動物園でノーラ、28歳だった2016年にやはり同園で三頭の赤ちゃん、この合計5頭の子供たちの父親となったわけですが、雄のホッキョクグマの一般的な繁殖可能年齢の上限に接近したあたりの年齢となって初めて繁殖に成功し、そしてその最上限を突破したほどの高齢となってさらに偉大な仕事を成し遂げたのでした。これこそ真の偉大さと言えましょう。
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ナヌーク (Nanuq the Polar bear) Photo(C)Columbus Zoo

獣医さんによれば、ナヌークの体調の変化は2月から現れていたそうで、血液検査では肝臓の機能不全を示す数値があらわれていたそうです。それ以降ナヌークは獣医さんとスタッフによる特別チームによるケアが行われていたそうです。彼はその最後の数週間は主にバックヤードで暮らしていたそうで、閉園後になって飼育展示場に出てきていたそうです。最後に飼育展示場に現れたのは4月16日のことだったそうです。コロンバス動物園が製作したナヌークを偲ぶ映像を見てみましょう。



次に、ナヌークの死を報じる地元のTVニュース映像をご紹介しておきます。



この世に、「愛されるホッキョクグマ」というのは何頭も存在しています。しかし、「偉大なるホッキョクグマ」というのは非常に数が少ないわけです。何故なら、雄(オス)のホッキョクグマが偉大であるためには、やはり子孫を残すことが条件であるからです。ナヌークは愛されるホッキョクグマであり、そして偉大なホッキョクグマでもあったわけです。
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ナヌーク Photo(C)Columbus Zoo

心より謹んで偉大なるナヌークの死に哀悼の意を捧げます。

(資料)
Columbus Zoo and Aquarium (Apr.26 2017 - Columbus Zoo Mourns Loss of Polar Bear, Nanuq)
The Columbus Dispatch (Apr.26 2017 - Columbus zoo polar bear Nanuq dies)
ABC6OnYourSide.com (Apr.26 2017 - RIP Nanuq: Columbus Zoo polar bear euthanized due to liver cancer)
10TV (Apr.26 2017 - Columbus Zoo announces death of polar bear Nanuq)
nbc4 (Apr.26 2017 - Polar Bear Nanuq dies at the Columbus Zoo)

(過去関連投稿)
繁殖のために住み慣れた動物園を旅立ったホッキョクグマ ~ ヘンリー・ヴィラス動物園のナヌークへの期待
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by polarbearmaniac | 2017-04-27 11:00 | Polarbearology

ロシア極東・沿海州、ハバロフスク動物園の「ポリちゃん(仮称)」のパートナー探しは難航の予想

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「ポリちゃん(仮称)」 Photo(C)Губерния

ロシア極東、沿海州のハバロフスク動物園(正式には「シソーエフ記念・プリアムールスキー動物園」 - Зоосад Приамурский имени В.П. Сысоева)にモスクワ動物園で2014年11月にシモーナから誕生した双子のうち雄(オス)の個体(仮称で「ポリちゃん」)が先週末に移動してきたことはすでに投稿しています。この雄(オス)の若年個体についてはハバロフスク動物園が地元メディアに何らの情報を流さないまま突然として飼育展示場に出現したために、地元のTVニュースは報道の遅れが目立っています。そういったなかで二つのニュース映像が公開されましたのでご紹介しておきます。

まず最初の映像ですが、この「ポリちゃん」についてすでに体重が328キロもあることを紹介し、そして「高貴な系統 ("в благородной семье")」に属していると述べています。つまり彼がモスクワ動物園の偉大なる母であるシモーナの息子であることをこのように表現したということです。この「ポリちゃん」は別れた母親のことを思いだしている様子があるようで、ハバロフスク動物園の担当者はおもちゃを与えて「ポリちゃん」を元気づけたいと工夫していることも語られています。モスクワからの輸送の疲れなどもあって「ポリちゃん」は最初は食欲がなかったことも語られています。9月には全体が450平方メートルの広さにまで飼育展示場が拡大されるようです。



次の映像ですが、この「ポリちゃん」が実に健康状態の良好な個体であることに触れ、ハバロフスク動物園はモスクワ動物園が与えてきた給餌の内容をそのまま同園でも続けていくことが語られています。そして上のニュースの内容と同様に、この飼育展示場の拡張がロスネフチ社の資金援助によって行われることを報じています。それから過去にこのハバロフスク動物園で飼育されていた故イョシ(開始後50秒から1分8秒まで)と故ゴシ(開始後1分9秒から1分26秒まで)との姿も登場しています。特に故ゴシの姿は彼が飼育環境が劣悪だった巡回動物園から保護されてハバロフスク動物園に入園したときの極めて貴重な映像です。彼の痩せ細っている姿には胸が痛みます。



この「ポリちゃん」はハバロフスク動物園にとっては三頭目のホッキョクグマなのですが、同園は繁殖への強い意欲を見せており「ポリちゃん」のパートナー探しを急ぎたいそうです。ただしどうでしょうか、血統的に彼のパートナーと成り得る個体を獲得することは至難の技だと思います。「ポリちゃん」は「アンデルマ/ウスラーダ系(カザン血統)」であり、ロシアの飼育下のホッキョクグマはこの血統が多いからです。ロシアの動物園の若年個体ではノヴォシビルスク動物園のロスチクもこの血統ですしイジェフスク動物園の雌(メス)のザバーヴァやヤクーツク動物園のロモノーソフもそうです。血統的にそうではなくて野生出身なのはペルミ動物園のセリク、ペンザ動物園のベルィの二頭がいるのですが、これらはいずれも雄(オス)です。ロシアの飼育下のホッキョクグマたちも血統的に非常に偏りが生じてしまっているわけです。しかしロシアには野生孤児個体が保護される可能性がありますので日本の動物園での血統的な偏りよりはまだ楽観的な要素があるということです。とはいうものの、野生孤児個体をいつ保護できるかということは予想がつかないわけです。ハバロフスク動物園は「ポリちゃん」のパートナー探しに大苦戦するであろうことはやはり目に見えているわけです。

(資料)
Зоосад Приамурский (Apr.24 2017 - Белый медведь снова появился в Приамурском зоосаде под Хабаровском.) (Белый медведь появился в зоосаде «Приамурский» имени Всеволода Сысоева.) (А как мы мишку назовем?)
ГТРК "Дальневосточная" (Apr.26 2017 - Белый медведь в Приамурском зоосаде) (Apr.26 2017 - Белый медведь в Приамурском зоосаде)
Губерния (Apr.24 2017 - Белый медведь снова появился в Приамурском зоосаде под Хабаровском)

(過去関連投稿)
モスクワ動物園の二歳半の雄(オス)の「ポリちゃん(仮称)」が突然、ハバロフスク動物園に姿を現す

(故ゴシ関連)
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ロシア極東・沿海州、ハバロフスク動物園(プリアムールスキー動物園)が新しいホッキョクグマの導入を表明
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(*2012年10月 ハバロフスク動物園訪問記)
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(故イョシ関連)
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by polarbearmaniac | 2017-04-27 00:30 | Polarbearology

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