街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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2018年 01月 07日 ( 2 )

ベルリン動物公園に幻惑をもたらせた授乳音の存在 ~ 「授乳音 ≠ 授乳」の新たな事例

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Photo(C)Tierpark Berlin

ベルリン動物公園で12月7日にトーニャお母さんから誕生した赤ちゃんは生後26日目の1月2日に残念ながら死亡してしまったわけですが、この件について同園のクニーリエム園長とジックス飼育担当主事が記者会見を行っており、その内容の一部はすでにご紹介しています。その記者会見のやり取りの中で非常に重要な点が触れられていましたので追加としてご紹介しておくこととします。その前にベルリンのブランデンブルク放送のニュース映像 ("Warum sterben Berlins junge Eisbären?" - 「何故ベルリンでは若いホッキョクグマは死亡するのか?」) を一応見ておきましょう。下をワンクリックしていただくとブランデンブルク放送の映像開始のページに飛びます。故クヌートや故フリッツの映像も登場します。
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記者会見でこういう記者の質問があったようです。「何故ベルリン動物公園は赤ちゃんが十分授乳を受けているといった説明を行っていたのですか?」というものです。確かに同園はクリスマス直前にSNSでそういった内容を発信しており当ブログもその内容を投稿していたわけです。ジックス主事はこの記者の質問に対して、「産室内の集音マイクの音声によって授乳の際に発せられる音 ("Sauggeräusch“) が明確に聞こえたからだ。」という内容の応答を行っています。この "Sauggeräusch“ というのは日本語で俗に「ささ鳴き」と呼ばれている音のことです。さて、ベルリン動物公園がこの音の存在をもって「授乳が順調に行われている」と判断したのは一般的には正しいと言えるでしょう。ところが以前の投稿である「デンマーク・スカンジナヴィア野生動物公園で死亡した赤ちゃんの検死結果出る ~「授乳音 ≠ 授乳」」をご参照下さい。そこにおいては、授乳音が聞こえたからといってそれは直ちに授乳が行われていることを意味しないという事例をご紹介しています。今回のベルリン動物公園もまさにスカンジナヴィア野生動物公園における事例とほぼ同じ事例だったと考えられるでしょう。さらジックス氏は、モニターカメラの映像から判断して赤ちゃんは順調に体が大きくなってきたと判断したものの実は通常の場合よりも非常に体が小さかったという事実に対して、モニター映像に幻惑されてしまったことにも言及しています。

ただしかし、仮に「授乳音 = 授乳」ではないと事前に認識していたところで、ではどうするのかと問われれば回答はないのです。ベルリン動物公園はホッキョクグマの人工哺育は行わないという方針だそうですから、仮に授乳音が聞こえているにのかかわらず十分に授乳が行われてはいないと判断してみたところで同園が何かの行動を次に起こせたのかといえば、そういったことはできなかったでしょう。

実に難しい問題です。

(資料)
Berliner Zeitung (Jan.3 2018 - Tierpark Berlin Die wichtigsten Fragen und Antworten zum Tod des Eisbärenbabys)
Frankfurter Allgemeine Zeitung (Jan.2 2018 - Berliner Eisbärenjunges ist tot)

(過去関連投稿)
デンマーク・スカンジナヴィア野生動物公園で死亡した赤ちゃんの検死結果出る ~「授乳音 ≠ 授乳」
ベルリン動物公園がトーニャの出産準備体制へ ~ 自ら産室に入ったトーニャの出産は間近か?
ベルリン動物公園でホッキョクグマの双子の赤ちゃん誕生! ~ 一頭は死産でもう一頭は生存中
ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃん、元気に生後四日目が経過
ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃんが生後一週間を無事に経過
ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃんが無事に生後十日目を経過 ~ 1992年撮影の謎の映像は故ホクトの姿か?
ベルリン動物公園のホッキョクグマ担当主事による解説のライブ中継が行われる
ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃんが順調に推移 ~ 授乳間隔が広がり始める
ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃん、生後三週間となり遂に両目を開く
ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃんが死亡 ~ 名状し難き不安感
(*フリッツ関連)
ベルリン動物公園の赤ちゃんのフリッツが肝臓に広範囲の炎症で重体となる ~ 憂慮すべき病状
ベルリン動物公園の生後四カ月の赤ちゃんのフリッツが死亡! ~ さようならフリッツ......
ベルリン動物公園のトーニャが息子のフリッツと引き離された後の状態 ~ 難しい今年のシーズンの繁殖再挑戦
ベルリン動物公園のトーニャが息子フリッツの死後初めて屋外に登場 ~ 世界中からの弔意に感謝する同園
ベルリン動物公園で死亡した赤ちゃん、フリッツの死因が依然として不明 ~ ヴァロージャが同園に帰還へ
by polarbearmaniac | 2018-01-07 00:30 | Polarbearology

ウィーンのシェーンブルン動物園の飼育展示場に慣れつつあるノラ ~ 期待されるウィーンでの繁殖

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ノラ (Eisbärin Nora) Image: postimees.ee

エストニアのタリン動物園で2013年11月に誕生した雌(メス)のノラ (Nora) は昨年12月初頭にオーストリア・ウィーンのシェーンブルン動物園に移動した件はすでに投稿しています。シェーンブルン動物園でのノラの近況についてエストニアのTV局がその様子をニュースで報じていますのでそれをご紹介しておきましょう。ノラの幼年期からタリン動物園よりの出発の様子、そして到着したシェーンブルン動物園での様子などが登場します。下をワンクリックして下さい。
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上の映像でも映っていましたがノラはタリン動物園から出発する際に多くのおもちゃを持参しています。そしてシェーンブルン動物園の室内ではそういったおもちゃと遊んでいるようで、その様子をシェーンブルン動物園が公開していますので下をワンクリックして下さい。
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日本のホッキョクグマたちと比較すると何か不器用な気もします。しかし不器用でも何でも、ノラにはパートナーとなる個体がいるという点で恵まれているわけです。

(資料)
postimees.ee (Jan.4 2018 - Video: vaata, kuidas harjub jääkaru Nora oma uue eluga Viinis)

(過去関連投稿)
エストニア・タリン動物園のノラのハロウィーン ~ ノラを愛するタリンの人々の願い
エストニア・タリン動物園のノラがウィーンのシェーンブルン動物園へ ~ ロシアではなく欧州を向いた同園
エストニア・タリン動物園のノラのハロウィン ~ 生まれ故郷での最後のハロウィン
エストニア・タリン動物園のアロンの満一歳の誕生会、そしてノラの故郷での最後の誕生会
エストニア・タリン動物園のノラのウィーンへの旅立ち ~ 父親の生まれ故郷に向かうノラ
エストニア・タリン動物園のノラがウィーンのシェーンブルン動物園に無事到着
ウィーンのシェーンブルン動物園の飼育展示場にタリン動物園から来園したノラが登場する
by polarbearmaniac | 2018-01-07 00:15 | Polarbearology

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