街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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2018年 02月 13日 ( 2 )

ロシア・ペルミ動物園、アンデルマの死を公式に発表する ~ "Спи спокойно наша Ама !"

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アンデルマ (Белая медведица Амдерма/Eisbärin Amderma)
2013年10月1日撮影 於 ロシア・ウラル地方、ペルミ動物園)

先日2月7日にロシアのペルミ動物園で偉大なるアンデルマが亡くなったことはすでに投稿しています。同園内のいろいろな複雑な事情で彼女の死に関する公式発表はなされなかったのですが、同園は日本時間の昨日の午後11時頃に同園公式のSNSサイトにてアンデルマの死の事実を初めて公式に発表しました。彼女の死因などは述べてはいませんが彼女が1989年に息子のメンシコフ(ともう一頭)と共に極北の街であるアンデルマ付近で捕獲された後の簡単な経歴を紹介しています。また、彼女の子供が二頭、日本の動物園で飼育されていることも述べています。そして最後に、

"Спи спокойно, наша бабушка Ама...." 
(安らかに眠ってください、私たちのアマお婆ちゃん...)


と締めくくっています。この「アマ」というのはペルミ動物園におけるアンデルマの愛称です。飼育員さんは「アンデルマ」と言ったり「アマ」といったり、両方でした。


Milka (Yumka) and Serik, both 2 years old polar bears, lick Amderma's ears, at Perm Zoo, Russia, on Aug.12 2015.

今回の件はいろいろありました。彼女のような偉大なホッキョクグマ、しかもロシア最高齢のホッキョクグマが亡くなったにもかかわらずペルミ動物園から何の発表もないということに私は到底納得できない気持ちでしたので、いろいろな働きかけもあって今回の発表となったと思います。胸のつかえがおりた感じで、ある意味ではこれですっきりとした気持になれました。この冒頭の写真ですが私が2013年10月1日に撮影したものです。ドイツやロシアの方々、そしてペルミ動物園にも使っていただき非常に嬉しく思っています。私はその日のペルミ動物園の訪問で現地からレポートを投稿しています。「アンデルマさん、お元気で! ~  「日本に暮らす我が息子たち、孫たち、曾孫のホッキョクグマへ...」という投稿でした。その投稿の中で私が彼女に語らせたこと、それが彼女のメッセージだったろうと私は今でも思っています。

Amderma the Polar Bear feels relaxing in one Tuesday afternoon at Perm Zoo, Russia, on Oct.1 2013.

(*追記)夜になってペルミの地元メディアもアンデルマの死のニュースを報じ始めています。その中でペルミ動物園の飼育部門総括のブルディナさんに取材したメディアがあります。それによりますと、アンデルマの死因は老齢のためだったようで、彼女が1989年9月に極北の街で捕獲されたとき彼女は5歳だったはずだと述べています。つまり彼女の誕生は1983年ということになるわけです。さらにペルミ動物園のスタッフは園内で彼女に対してだけは敬称の二人称代名詞である «вы» を用いていたとのことです。アンデルマの性格については、非常に穏やかで優しい性格であり、子供たちをよく守っていたとも述べています。また、来園者に対して攻撃的な態度を決してとらなかったとも語っています。全くその通りです。アンデルマの死を報じる地元TVのニュースを下にご紹介します。



(*追記2)ペルミ動物園は14日になってそのHPでもアンデルマの死を12日付けとして発表しました(私の撮影した写真を使っていただきありがたく思っています)。また、別の報道によりますとアンデルマは新年の前から体調が悪くなり飼育展示場には出なくなったそうです。そして死の二週間前から食事をとることをしなくなったそうです。ペルミ動物園のスタッフは彼女が死に向かっていることを理解したと飼育担当の方が語っています。

(資料)
Пермский зоопарк (Feb.12 2018 - 7 февраля 2018 года не стало старейшей белой медведицы России - Амдермы.)
(*追記資料)
Сайт города Пермь 59.ru (Feb.13 2018 - «Спи покойно, Амдерма»: в пермском зоопарке умерла старейшая в России белая медведица)
Аргументы и Факты (Feb.13 2018 - В Пермском зоопарке умерла белая медведица Амдерма)
Комсомольская Правда (Feb.13 2018 - В пермском зоопарке умерла старейшая в России белая медведица)
EG.RU (Feb.13 2018 - В зоопарке Перми умерла старейшая в России белая медведица)
(追記資料2)
Пермский зоопарк (Feb.12 2018 - Ушла из жизни наша Амдерма)
Pro Город Пермь (Feb.14 2018 - «Вы будете жить вечно в нашей памяти»: в пермском зоопарке умерла старейшая белая медведица России)
РИА Новости (Feb.14 2018 - Старейшая в России белая медведица умерла в пермском зоопарке)
Вести.Ru (Feb.14 2018 - В зоопарке Перми умерла бабушка Ама - самая старая белая медведица в России)
National Geographic Russia (Feb.14 2018 - В Перми умерла старейшая белая медведица России)
Комсомольская Правда (Feb.15 2018 - В пермском зоопарке умерла старейшая в России белая медведица)
Интерфакс-Туризм (Feb.16 2018 - Самая старая в России белая медведица умерла в пермском зоопарке)

(過去関連投稿)
ロシア・ペルミ動物園のアンデルマ逝く ~ 偉大なるホッキョクグマ、永遠の存在となって輝く
ロシア・ペルミ動物園のアンデルマの死亡に関する同園よりの公式発表は、なされない模様
by polarbearmaniac | 2018-02-13 03:00 | Polarbearology

カナダ・オンタリオ州コクレーン、「ホッキョクグマ居住村」のイヌクシュクの冬の日 ~ 悠々とした毎日

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イヌクシュク (Inukshuk the Polar Bear)  Photo(C)Polar Bear Habitat

カナダ・オンタリオ州コクレーンの「ホッキョクグマ居住村 (Polar Bear Habitata)」に暮らしている野生出身で15歳となった雄(オス)のイヌクシュク (Inukshuk) といえば世界でも屈指の繁殖能力を誇っており若い時から目覚ましい活躍をしていたのですが、それが「災い」してか彼はカナダにおける飼育下のホッキョクグマの繁殖からは早々と「引退」させられてしまったわけです。これについては「カナダ・トロント動物園のイヌクシュクが繁殖から事実上の「強制引退」か? ~ 同園の大胆な決断」という投稿を御参照下さい。彼は本来所属しているトロント動物園からこのコクレーンの「ホッキョクグマ居住村 」に移ってきてここで悠々と暮らしています。そういった彼のごく最近の様子が映像で公開されていますので見てみましょう。この環境は日本や欧州、そしてロシアでも見られない風景だと思います。非常に広い飼育展示場にある湖の水が氷結し、そしてその上に新雪が降り積もっているという環境でイヌクシュクは雪を掻きわけて氷を割ってしまい、そしてそこで戯れています。



この「ホッキョクグマ居住村」のあるコクレーンの気候はホッキョクグマの本来の生息地とそれほど大きく異なっているわけではなく、また自然をそのまま利用した広大な敷地がそのまま飼育展示場になっているわけですし、またアザラシ狩りをする必要もなく病気になったら獣医さんのケアを受けることができるわけですからホッキョウグマたちにとっては、ひょっとしたら天国かもしれません。

そろそろホッキョクグマの繁殖行動期が始まるのですが、この「ホッキョクグマ居住村」で飼育されている3頭は全て雄(オス)です。しかしイヌクシュクは他の二頭に興味をもったり、あるいは他に雌(メス)のホッキョクグマがいないかと湖のある飼育展示場に出るのを楽しみにしている様子などを見ていると思わずほほえましく思ってしまうと担当者は述べています。繁殖行動期にはホルモンの一種であるテストステロン (testosterone) が普段の約10倍になるそうで、こういった時期にパートナーのいないイヌクシュクの衝動をコントロールするために「ホッキョクグマ居住村」では特別なトレーニングプログラムをいくつも彼のために用意しているそうです。

さて、もう一つイヌクシュクの映像を見てみましょう。これは雪の上で筒状のものをおもちゃ代わりにしている彼の姿です。20分以上もある映像なのですが、見ていると心地よくなってきて眠くなってくるほどです。自由でゆったりとした行動をしています。下をワンクリックしていただくと開始画面に飛びます。
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この「ホッキョクグマ居住村 (Polar Bear Habitata)」なのですが、地元オンタリオ州のムシュケゴウク評議会 (Mushkegowuk Council) というNPOとパートナーシップを結んでこの「ホッキョクグマ居住村」をホッキョクグマそして環境についての調査・研究機関としての役割を担っていくことが計画されているそうです。これはつまりウィニペグのアシニボイン公園動物園が現在担っているような役割を「ホッキョクグマ居住村」も担っていくということになると思います。
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ホッキョクグマの生息地といえばまずマニトバ州が頭に浮かんでくるのですが、オンタリオ州もかなりその生息地になっていますので、将来的には「ホッキョクグマ居住村」も野生孤児の保護・飼育といったものにも取り組んでいくことになるのではないかと思います。

(資料)
The Sudbury Star (Jan.26 2018 - Cochrane's polar bear habitat looks for bigger role)

(過去関連投稿)
(*イヌクシュク関連)
カナダでの飼育下期待の星、イヌクシュクの物語
カナダ・コクレーン、保護教育生活文化村のイヌクシュク、繁殖への期待を担って再びトロント動物園へ
カナダ・コクレーン、保護教育生活文化村へのイヌクシュクの帰還とEAZAの狙うミラクの欧州域外流出阻止
カナダ・コクレーン、保護教育生活文化村にイヌクシュクが無事帰還 ~ 息子のガヌークの近況
カナダ・オンタリオ州 コクレーンの保護教育生活文化村に暮らすイヌクシュクとガヌークの父子の近況
カナダ・トロント動物園に戻ったイヌクシュクのさらなる挑戦 ~ 優秀な雄の最後の課題は相性の克服
カナダ・トロント動物園のイヌクシュクが繁殖から事実上の「強制引退」か? ~ 同園の大胆な決断
カナダ・トロント動物園のイヌクシュクが無事にコクレーンの「ホッキョクグマ居住村」に到着
カナダ・コクレーン「ホッキョクグマ居住村」のイヌクシュクの近況 ~ 彼の貢献が必要な日本
カナダ・コクレーン、「ホッキョクグマ居住村」のイヌクシュク、繁殖の世界での「再登板」はあるか?
カナダ・コクレーン、「ホッキョクグマ居住村」のイヌクシュクの14歳の誕生会 ~ 「価値ある男」の姿
by polarbearmaniac | 2018-02-13 01:30 | Polarbearology

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