街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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2018年 02月 27日 ( 3 )

ロシア動物園水族館連合(СоЗАР)がモスクワを中心としたホッキョクグマの国内外の個体移動を映像で紹介

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シモーナと三つ子の子供たち (Белая медведица Симона и медвежата) (2012年9月22日撮影 於 モスクワ動物園)

ロシア動物園水族館連合 (СоЗАР - Союз Зоопарков и Аквариумов России)が、飼育下のホッキョクグマの繁殖について欧州のEAZA (European Association of Zoos and Aquaria - 欧州動物園水族館協会)との協力関係について紹介する素晴らしいプロモーション映像を公開していますのでご紹介しておきます。冒頭で挨拶しているのはモスクワ動物園のスヴェトラーナ・アクーロヴァ園長で、ロシアの動物園で飼育されている個体がEAZAのホッキョクグマの繁殖計画に協力する形での個体再配置の意義について語っています。以下をワンクリックしていただくと映像の開始画面に飛びます。
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この映像では以下の個体移動が映像で紹介されています。

①(開始後1分30秒から)野生孤児ニカのチュクチ半島からモスクワ動物園(ヴォロコラムスク附属保護施設)への移動

②(開始後1分55秒から)アイオンのモスクワ動物園(ヴォロコラムスク附属保護施設)からイジェフスク動物園への移動

③(開始後2分30秒から)野生孤児ウムカ - アヤーナのサハ共和国からモスクワ動物園(ヴォロコラムスク附属保護施設)への移動

⑤(開始後3分41秒から)ミラーナのモスクワ動物園(ヴォロコラムスク附属保護施設)からドイツ・ハノーファー動物園への移動

⑥(開始後4分7秒から)ノルドのイジェフスク動物園からデンマーク・コペンハーゲン動物園への移動

⑦(開始後4分53秒から)シェールィとビェールィのイジェフスク動物園からハンガリー・ブダペスト動物園への移動

⑧(開始後6分18秒から)スネジンカ(スネジャナ)のモスクワ動物園からハンガリー・ソスト動物園への移動

....いやはや、実にダイナミックな個体再配置です。上の全ての移動に関しては、その経緯や意味するところを全て当ブログでは詳しく投稿しています。ノヴォシビルスク動物園のロスチクも当初はこの大規模な移動計画の中に入っていたのですが結果としては外れてしまったわけです。

さて、こういったダイナミックな映像を見ますとホッキョクグマの繁殖に関してロシアと欧州との間に密接な協力関係が構築されているように見えます。つまり欧露間での飼育下のホッキョクグマの囲い込み体制が構築されてしまっているようにも見えます。そしてそういったことについて私は以前にも投稿していましたし、日本の動物園にはもうそこに入り込む余地などないと考えたわけです。しかしその後のいくつかの情報から推察するに、要するに鉄壁に見える欧露間の繁殖協力体制は実はそうではないらしいということがわかってきました。そういったことはいくつかの点において垣間見えるわけですが、一例としてまず上の映像はあくまでロシア側(ロシア動物園水族館連合、特にモスクワ動物園)が自分たちの実績を誇示している「自画自賛」の性格が強いと感じます。欧州とロシアは決して対等ではなく、欧州は血統面を考慮したホッキョクグマの入手先をロシアに求め、そしてロシアは単に欧州にそういった個体を配給しているにすぎないのです。本当の意味での対等の協力関係ならば欧州からロシアに移動する個体があっておかしくないにもかかわらず、そういった個体は一頭もいないのです。もちろん欧州には「EEP構成個体群」という概念があって、この個体群に属する個体はEAZAの飼育基準(マニトバ基準ではありません)を満たした場所で飼育せねばならないわけです。そういった基準を満たす動物園がロシア国内にないために欧州からロシアへの個体移動はないのだというのが一つの説明としてあるわけですが、しかし明らかに欧州の「ロストック系」の個体は多くなりすぎて欧州内では繁殖に寄与できず、従ってロシアに移動するという選択肢は有力なものとして有り得るはずなのです。ところがそれがなされない....つまり欧州の新規個体需要に対してロシアはそれを欧州に供給しているというだけの話なのです。これは全く非対称の関係であると言えましょう。
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シモーナと三つ子の子供たち (Белая медведица Симона и медвежата)(2012年9月22日撮影 於 モスクワ動物園)

こういった状態、つまりロシア動物園水族館連合は欧州のEAZAとホッキョクグマの繁殖に関しての密接な協力関係を構築したと自賛しているにもかかわらず実相は極めて非対称な関係であることが明らかであるわけですから、私は日本の動物園はロシアと欧州との協力関係の中に入り込むことは可能であると現在では考えるに至っています。つまり、ロシア動物園水族館連合を主導するモスクワ動物園に対していかに有効なアプローチができるかにかかっているのです。日本の動物園(とくに札幌)は、欧州と直接何かを行おうとするのではなくロシア(モスクワ)を介してアプローチするのが有効であろうと思います(モスクワ動物園を介さずに入手できる個体はノヴォシビルスク動物園のロスチクだけでしょう)。ただし日本の動物園は円山動物園の新飼育展示場に匹敵するだけの規模のある飼育展示場を新設する必要があるでしょう。仙台と横浜(ズーラシア)に関しては現在のもので大丈夫だと思います。

私は facebook などのSNSのアカウントを紹介するということは絶対やらない主義なのですが(そもそもこれは一般的にも禁じ手です)、今回は例外として一つ素晴らしい ものをご紹介したいと思います。ロシア動物園水族館連合 (СоЗАР - Союз Зоопарков и Аквариумов России)の facebook のアカウント内のコミュニティに "Группа Белые медведи России /Polar bears of Russia" (ロシアのホッキョクグマたち)という公開グループが、ごく最近立ち上げられました。これは主にロシアの飼育下のホッキョクグマや野生のホッキョクグマをトピックにして応援するグループだと思います。メンバーはまだまだ少数です。このグループの最初の記事がペルミ動物園のアンデルマがセリクとミルカ(ユムカ)の母親代わりとなって幼い二頭の面倒をみて、そしてアンデルマの終末期にはこの二頭はアンデルマにそれまでの恩返しでもするかのように彼女の面倒を見ていたというペルミ動物園の飼育主任の方の投稿です。この記事の内容は感動的で実に素晴らしいと思います。  ....ということで、御興味のある方は覗いてみて下さい。

(過去関連投稿)
モスクワ動物園が、今後ロシア国内で誕生の個体はロシア国内と欧州だけで飼育の意向を表明
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のホッキョクグマたちの冬の日の光景 ~ 掴めぬロシア国内の繁殖計画の情報
by polarbearmaniac | 2018-02-27 20:00 | Polarbearology

ドイツ・ゲルゼンキルヘン動物園で誕生の赤ちゃんの性別は「雌(メス)」と判明

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赤ちゃんの性別判定と健康診断、予防接種
Photo(C)ZOOM Erlebniswelt Gelsenkirchen

ドイツのルール地方にあるゲルゼンキルヘン動物園で昨年2017年の12月4日に13歳の雌(メス)のラーラ (Lara) が産んだ赤ちゃんですが、先週の水曜日に同園お獣医さんによって性別判定と健康診断が行われ、その結果は雌(メス)だったとのことです。

赤ちゃんをララお母さんから引き離すことはスムーズにできたそうです。ラーラお母さんを食べ物で産室の横の部屋におびき出してドアを閉めてしまうといった簡単な方法で親子を引き離したそうですが、親子共に大きな声を上げたものの数分間で獣医さんの仕事は完了したとのこと。その後に親子を再び一緒にしたとそうです。性別判定だけではなく体重測定、予防接種も行なわれたとのことで、獣医さんは「赤ちゃんを手で抱えて健康状態のチェックを行いましたが、赤ちゃんの見事な成長と健康状態に異常が無かったことは忘れ難い気持ちでした。」と語っています。下は最も最近の産室内の映像です。ワンクリックして下さい。
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(資料)
WAZ (Feb.26 2018 - Das Gelsenkirchener Eisbärbaby ist ein Mädchen)
Parkerlebnis.de Freizeitpark-Magazin (Feb.26 2018 - Eisbär-Baby in Gelsenkirchener ZOOM Erlebniswelt ist ein Mädchen – aber noch namenlos)
Bild (Feb.26 2018 - Eisbärbaby in Zoom Erlebniswelt ist eine SIE)

(過去関連投稿)
ドイツ・ゲルゼンキルヘン動物園でホッキョクグマの三つ子の赤ちゃん誕生! ~ 一頭が元気に成育中
ドイツ・ゲルゼンキルヘン動物園で誕生の赤ちゃん、無事に生後二週間が経過
ドイツ・ゲルゼンキルヘン動物園で誕生の赤ちゃん、順調に生後一ヶ月へ ~ 両目が開く
ドイツ・ゲルゼンキルヘン動物園で誕生の赤ちゃん、生後五週間が無事に経過
ドイツ・ゲルゼンキルヘン動物園の赤ちゃんが生後六週間を無事に通過 ~ 赤ちゃんに体を密着させる母親
ドイツ・ゲルゼンキルヘン動物園で誕生の赤ちゃん、無事に生後50日が経過
ドイツ・ゲルゼンキルヘン動物園で誕生の赤ちゃんが生後二カ月半となる ~ 母親の育児の安定感
by polarbearmaniac | 2018-02-27 01:30 | Polarbearology

ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園での「国際ホッキョクグマの日」

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ウスラーダ (Белая медведица Услада) 
Photo(C)Ленинградский зоопарк
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ハールチャーナ (Белый медвежонок Хаарчаана)
Photo(C)Ленинградский зоопарк

ロシア・サンクトぺテルブルクのレニングラード動物園では2月25日の日曜日に「国際ホッキョクグマの日」の催しものが行われました。今年に関してはホッキョクグマたちへの特別給餌といったものはなかったようです。レニングラード動物園ではホッキョクグマについての講演とか飼育員さんのガイド、そして子供たち向けのクイズやゲームといったものがあったようです。非常に地味な企画ですが非常に啓蒙的で足が地についているといった試みのように思います。

同園で飼育されているのは今更言うまでもなく30歳となったウスラーダと1歳の雌(メス)のハールチャーナという二頭です。ハールチャーナはロシア北東部のヤクーツク動物園で生まれ昨年12月にレニングラード動物園に移動してきたというわけです。そのハールチャーナの日曜日の様子を報じた地元のTVニュースがありますのでご紹介しておきます。下をワンクリックして下さい。

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(*追記)ハールチャーナの様子をい報じる映像が入ってきましたので下に御紹介しておきます。ハールチャーナがウスラーダの横の飼育展示場に移るのは当初は春頃が予定されていたものの、その場所に追加の工事が行われることになったため、移動は幾分延期となり夏頃までにということになったそうです。


飼育員さんに言わせるとこのハールチャーナはなかなか適応力に優れて個体であるという趣旨の話をしています。ここで一昨年2016年と昨年2017年のレニングラード動物園での「国際ホッキョクグマの日」の様子をまたご紹介しておきます。子供たちへのクイズやゲームといったものがどのようなものかもわかります。最初のニュースの中では故メンシコフの偉大な姿も写っています。その他はウスラーダの姿です。





こういった素朴なイベントは日本の子供たちはあまり興味を持たないかもしれません。

(資料)
Ленинградский зоопарк (Feb.25 2018 - 25 февраля в Ленинградском зоопарке пройдет «Международный день белого медведя»)
Телеканал «Санкт-Петербург» (Feb.25 2018 - В Ленинградском зоопарке отметили Международный день белого медведя. Репортаж)
(*追加資料)
Якутия 24 (Feb.27 2018 - День полярного медведя: как поживает Хаарчаана в Ленинградском зоопарке)
НВК САХА (Feb.27 2018 - День полярного медведя: как поживает Хаарчаана в Ленинградском зоопарке)

(過去関連投稿)
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園のウスラーダが満30歳となる
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園でハールチャーナ到着の日のウスラーダの姿
ロシア・サンクトペテルブルクのレニングラード動物園に到着したハールチャーナの姿
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園でハールチャーナの引き渡し式が行われる
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園のハールチャーナへの市民の関心の高さ
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園がハールチャーナのパートナー探しに早々と着手へ
by polarbearmaniac | 2018-02-27 00:30 | Polarbearology

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