街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

プロフィールを見る
通知を受け取る

2018年 03月 13日 ( 2 )

札幌・円山動物園の新施設である「ホッキョクグマ館」が開館 ~ 急務である「新血統」の導入

a0151913_1718026.jpg
ララ(左)とリラ(右) Photo(C)札幌市・円山動物園

札幌の円山動物園ですでに昨年11月に建設が完成していましたホッキョクグマの新しい飼育展示施設である「ホッキョクグマ館」が本日4月13日に開館の記念式典が行われ一般に対してオープンとなりました。その様子を報じる地元局のニュース映像を見てみましょう。









以下の二つは画面はワンクリックして下さい。
a0151913_19532559.jpg
a0151913_17442475.jpg

重要なことは、この新施設には水中回廊があってプールの中のホッキョクグマたちの姿を下から見ることができるといったようなことではありません。この施設でいかにホッキョクグマの繁殖を成功させて日本国内の飼育頭数の減少のスピードを遅らせることができるかということにあるわけです。同園が以前から目的としている国外個体の導入をどうやって実現させていくかが大きな問題です。実現の暁にはその導入個体は欧州とロシアからやってくることになるわけですが、これは徹底的に血統の問題が最重要視されることとなります。以下にその導入個体としての候補をグループに分けて述べておきます。

(Group A) -「新血統」個体
・クラスノヤルスク動物園のオーロラとフェリックスの間での繁殖個体
・イジェフスク動物園でのドゥムカとアイオンの間での繁殖個体

(Group B) - 「新血統」の有力候補個体
・モスクワ動物園の野生孤児ニカの将来の繁殖個体
・モスクワ動物園の野生孤児アヤーナの将来の繁殖個体
・ゲレンジーク・サファリパークの野生孤児スネジンカの将来の繁殖個体
・ゲレンジーク・サファリパークの野生孤児セレジュカの将来の繁殖個体
・ペンザ動物園の野生孤児ベルィの将来の繁殖個体

(Group C) -「新血統」ではないが既存個体との血の近親関係の薄い個体
・ペルミ動物園のミルカ(ユムカ)とセリクの間での繁殖個体
・欧州の「ロストック系」

(Grpup D) - 「旧血統」に属し入手は困難ではないと思われる個体
・ヤクーツク動物園のコルィマーナとロモノーソフとの間での繁殖個体
・イジェフスク動物園のザバーヴァとバルーとの間での繁殖個体

まず (Group A) は最も入手の難易度が高いですが導入個体としては最も理想的です。すでにロシア動物園水族館協会 (СоЗАР/RUZA) と欧州動物園水族館協会 (EAZA) との間でこの繁殖個体の供給に関する事実上の協力関係が構築されていますから円山動物園はJAZAを通じてロシアと欧州との協力関係の中に入り込む必要があります。

(Group B) で挙げた個体は全て野生孤児出身ですが、まだパートナーが決まっていません。仮に彼女たち(ベルィだけは雄ですが)のパートナーに野生孤児個体が選ばれますと (Group A) と同じことになりますのでやはり入手の難易度は高くロシア動物園水族館協会 (СоЗАР/RUZA) と欧州動物園水族館協会 (EAZA) との間の関係に参加する必要があります。

(Group C) の場合はペルミ動物園のケースならばロシア動物園水族館協会 (СоЗАР/RUZA) を通してペルミ動物園と直接交渉が可能なようにも思いますが何とも言えません。「ロストック系」の場合はEAZAとの交渉が必要です。

(Group D) の場合はロシア動物園水族館協会 (СоЗАР/RUZA) は直接強力に関与してくる可能性は薄いような気がします。交渉の相手方はレニングラード動物園になるはずです。ただしロモノーソフもザバーヴァもウスラーダの子供ですから、その彼らの子供を日本に導入するのは血統的に考えればかなりの熟慮が必要だと思います。

円山動物園がこの新しい「ホッキョクグマ館」でララの後継世代の繁殖を狙うならば、(Group A)、(Group B)、(Group C) の優先の順番で個体の導入を狙うべきです。(Group D) は現時点では回避すべきと思います。さてこうして考えてみると、円山動物園は (JAZA を経由して)早くロシア動物園水族館協会 (СоЗАР/RUZA) と接触してホッキョクグマ繁殖に関する協力関係を構築する必要があるということです。その中心の対象はやはりRUZAを主導しているモスクワ動物園でしょう。

(資料)
時事通信 (Mar.13 2018 - 頭上で泳ぐホッキョクグマ―円山動物園にオープン)
NHK (Mar.13 2018 - 円山動物園にホッキョクグマ館)

(過去関連投稿)
札幌・円山動物園の「新ホッキョクグマ飼育展示場」が竣工 ~ その経緯と意義を考える
札幌・円山動物園で完成の「ホッキョクグマ館」が報道関係者に公開される
札幌・円山動物園のデナリが新飼育展示場(ホッキョクグマ館)に登場 ~ 同園の馴致訓練の戦略を推理する
札幌・円山動物園のララとリラが新飼育展示場である「ホッキョクグマ館」に非公開で登場
札幌・円山動物園でのララとリラの新飼育展示場への初登場の様子を報じた映像
札幌・円山動物園の新施設「ホッキョクグマ館」の内部が報道陣に公開
by polarbearmaniac | 2018-03-13 20:30 | Polarbearology

ロシア極東・沿海州 ハバロフスク動物園の「国際ホッキョクグマの日」~ お湯を飲むのが大好きなハバル

a0151913_22175642.jpg
ハバル (Белый медведь Хабар) 
Photo(C)DVHab Сайт Хабаровска

日本から近いロシア沿海州のハバロフスク動物園(正式には「シソーエフ記念・プリアムールスキー動物園」 - Зоосад Приамурский имени В.П. Сысоева)でも「国際ホッキョクグマの日」のイベントが行われました。ただし2月27日ではなく3月4日の日曜日に開催ということだったようです。その日から一週間を「国際ホッキョクグマの日」と位置付けていたようですから「国際ホッキョクグマ週間」と呼ぶのがふさわしいものだったということになります。この週の最初の3月4日は天候が赤悪化したために最後の日であった3月11日に多くの来園者があり、ハバロフスクに住む子供達が動物園を訪問してクイズや踊りなどが開催されたそうです。学校でもこの「国際ホッキョクグマの日」にちなんで地球環境の変化がホッキョクグマの生態に悪い影響を与えていることやホッキョクグマの生態についても授業の中で採り上げられたそうです。

ハバロフスク動物園で一頭で飼育されているのがモスクワ動物園生まれの3歳の雄(オス)のハバル(Хабар) です。彼はおもしろい習性があるそうで、彼はお湯を飲むのが大好きだそうです、ホッキョクグマは通常は水分を食べ物から得ているわけで水そのものをガブガブ飲むということはあまりしないわけですがハバルはどういうわけか食べ物よりもお湯が好きだという変わったホッキョクグマだそうです。毎朝飼育員さんからバケツ一杯にお湯をもらい、それを非常に喜んで飲んでいるそうです。好物としては鹿肉と魚油が彼のお気に入りだとのこと。こういうホッキョクグマが確かにあまり聞いたことがありません。下に最近のハバルの映像を御紹介しておきますが、最初のシーンは室内でお湯をもらっているシーンです。



このハバル、将来のパートナー問題はハバロフスク動物園の頭を悩ませているようです。彼はシモーナの息子ですから「アンデルマ/ウスラーダ系(カザン血統)」なのですが、そうなると彼の将来のパートナーは野生孤児個体同士を両親とする「新血統」しかいなくなるわけで、少なくともあと3~4年は彼のパートナーは決まらないだろうというのが私の予想です。
a0151913_2218874.jpg
ハバル (Белый медведь Хабар) 
Photo(C)DVHab Сайт Хабаровска

このハバロフスク動物園にはハバルではなくノヴォシビルスク動物園のロスチクが移動するのではないかといった話もあったわけですがモスクワ動物園はさっさと自園で生まれたハバルを昨年2017年4月にハバロフスク動物園に送り込んだのは、その時点ではロスチクは欧州へ移動する個体といった位置づけであったことが理由だと思われます。さて、ここで昨年10月のハバロフスク動物園の開園15周年を報じた地元のTVニュース映像のうち以前に御紹介していなかたったものを二つほどここで御紹介しておきます。





ハバルは地元では大変な人気者になっていることがわかります。

(資料)
DVHab Сайт Хабаровска (Feb.27 2018 - Белый медведь из Хабаровска запил, подсел на жирную пищу и загорел) (Mar.11 2018 - Как полярный медведь встречает весну показали хабаровчанам в зоосаде «Приамурский»)

(過去関連投稿)
モスクワ動物園の二歳半の雄(オス)の「ポリちゃん(仮称)」が突然、ハバロフスク動物園に姿を現す
ロシア極東・沿海州、ハバロフスク動物園の「ポリちゃん(仮称)」のパートナー探しは難航の予想
モスクワ動物園のアクーロヴァ園長が語る同園のホッキョクグマへの方針 ~ 野生孤児保護の新施設をオープン
ロシア極東・沿海州、ハバロフスク動物園の「ポリちゃん(仮称)」の名前が "ハバル(Хабар)" に決まる
ロシア極東・沿海州、ハバロフスク動物園に来園したハバルに寄せる地元の子供たちの深い関心
ロシア極東・沿海州、ハバロフスク動物園のハバルの夏から秋にかけての話題
ロシア極東・ハバロフスク動物園、開園15周年を祝う ~ 三代のホッキョクグマたちの想い出
ロシア極東・ハバロフスク動物園のハバルが三歳となる ~ 個体の認知度が増すロシアのホッキョクグマたち
by polarbearmaniac | 2018-03-13 01:00 | Polarbearology

カテゴリ

全体
Polarbearology
しろくま紀行
異国旅日記
動物園一般
Daily memorabilia
倭国旅日記
しろくまの写真撮影
旅の風景
幻のクーニャ
エッセイ、コラム
街角にて
未分類

最新の記事

ロシア極北・カラ海のディクソ..
at 2018-10-17 03:00
(*投稿準備中)ニジニ・ノヴ..
at 2018-10-17 02:30
(*投稿準備中)ニジニ・ノヴ..
at 2018-10-17 02:00
ニジェゴロド・リンポポ動物園..
at 2018-10-16 03:00
シモーナ (Белая ме..
at 2018-10-15 03:30
ニジェゴロド・リンポポ動物園..
at 2018-10-15 03:00
ロシア・イジェフスク動物園の..
at 2018-10-14 07:00
オムスクからモスクワを経由し..
at 2018-10-14 04:00
グーリャさん、お元気で! ~..
at 2018-10-13 02:30
ボリシェリェーチェ動物園訪問..
at 2018-10-13 02:00

以前の記事

2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月

検索

ブログパーツ

  • このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます。

ライフログ


人生と運命 1


スターリン―青春と革命の時代


モスクワは本のゆりかご


私のモスクワ、心の記憶


自壊する帝国 (新潮文庫)


甦るロシア帝国 (文春文庫)


嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)


ロシア 春のソナタ、秋のワルツ-1999-21st


それからのエリス いま明らかになる鴎外「舞姫」の面影


ミチコ・タナカ 男たちへの讃歌 (新潮文庫)


わがユダヤ・ドイツ・ポーランド―マルセル・ライヒ=ラニツキ自伝


ベルリン戦争 (朝日選書)


Hof――ベルリンの記憶


カチンの森――ポーランド指導階級の抹殺


北京烈烈―文化大革命とは何であったか (講談社学術文庫)


慟哭の通州――昭和十二年夏の虐殺事件


主題と変奏―ブルーノ・ワルター回想録 (1965年)


藤田嗣治 異邦人の生涯


Barle's Story: One Polar Bear's Amazing Recovery from Life As a Circus Act


Lenin's Tomb: The Last Days of the Soviet Empire


Resurrection: The Struggle for a New Russia


Hotel Adlon: Das Berliner Hotel, in dem die grosse Welt zu Gast war


Ein seltsamer Mann


Alma Rose: Vienna to Auschwitz


St Petersburg: A Cultural History


Gulag