街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

プロフィールを見る

2018年 04月 24日 ( 1 )

シンガポール動物園のイヌカの生と死の境界線~ その生涯最後の姿となるか?

a0151913_1113313.jpg
イヌカ (Inuka the Polar Bear) Photo(C)Anita Ryanto

シンガポール動物園の27歳の雄(オス)のホッキョクグマであるイヌカの健康状態が悪いために彼に安楽死の処置が執行される可能性が高いと言う件については先週から何回か投稿してきました。このイヌカの二回目の健康診断は25日の水曜日に行われ、そしてそこにおいて第一回目の健康診断以降行われてきた抗生物質その他の投薬治療に効果が出ていないと判断されれば彼に対してただちに安楽死が執行されるということになっています。昨年、「デンマーク・オールボー動物園で故ラルスの安楽死を執行した獣医さんの回想 ~ "ラルスとの悲しい別れ"」という投稿を行っていますが、おそらくこのラルスに対する検査から安楽死までの手順とほぼ似たような処置がとられるはずです。

そのイヌカですが24日の火曜日は終日にわたって展示されなかったそうです。そのイヌカの24日の火曜日の姿がシンガポール動物園によって短い映像が公開されましたのでご紹介しておきます。下をワンクリックして下さい。この映像が生きているイヌカの最後の動画となる可能性はかなり高いと思われます。
a0151913_1283840.jpg

今回のイヌカのケースのように事前に安楽死の執行(の可能性)についてその主家ジュールを前もって公表したケースは2015年6月のベルリン動物園のトスカ(クヌートの母)の死亡の例がありました。そのトスカのケースについて私はその時に三日間連続して投稿したわけですが、まるで真綿で首を絞められるような精神的苦痛を味わったわけです。その時の三回の自分の投稿(過去関連投稿を御参照下さい)を改めて読み直してみますと、当時私が味わった苦痛をまるで昨日の出来事のように思い出してしまいました、そして今回またそれに近い苦痛を味わうというのは本当につらい気持ちです。欧米の動物園ではホッキョクグマが突然死ではなく病気が原因で死亡する場合の多くは安楽死が執行されているというのが現実ですが、しかしそういった場合のほとんどは安楽死が執行された後で発表がなされるわけです。ベルリン動物園のトスカや今回のシンガポール動物園のイヌカのように、その安楽死執行の具体的な日付が前もって明らかにされるケースは非常に稀です。イヌカの場合は全身麻酔をかけて二回目の健康診断を行った後にその結果によって直ちに安楽死が執行されるわけですが、それは彼を再び覚醒させることなく、さらに追加の麻酔剤を投与することによって死に導くという方法が採用されることが明らかになっています。上の映像を見る限るにおいてはイヌカは安楽死が必要であるようには私には見えません。

私は安楽死というものを否定する人間ではありませんが、しかしその判断を行う人間の側はもっと慎重に判断を行うべきだと思っています。日本やロシアといった国の動物園ではホッキョクグマが重病に陥った場合においても安楽死といった手段で彼らの命を「奪う」といったやり方は一般的には行われていないように思います。勿論それは表向きの話であって、実際には行われているケースがあるだろうということは否定はできません。しかし日本やロシアはそういった方法を許容する文化ではないということだけは事実だろうと思います。

日本時間マイナス一時間がシンガポール時間です。おそらく25日の水曜日の日本時間の正午過ぎあたりにシンガポール動物園から何かの発表があると思われます。イヌカに安楽死が執行されたのか、あるいはその必要がないと判断されたのかということが発表されるでしょう。

(過去関連投稿)
シンガポール動物園のシェバ、35歳で一生を終える...
シンガポール動物園のイヌカが同園内にオープンした新施設 ”Frozen Tundra” に移動
シンガポール動物園のイヌカの24歳の誕生日が祝われる ~ 赤道直下に暮らす体重550キロのホッキョクグマ
赤道直下、シンガポール動物園のイヌカが25歳に ~ 動物園の場所の緯度と出産日との間の関係
シンガポール動物園のイヌカの26歳の誕生会が連日開催となる ~ 彼の健康維持に万全を期す同園
シンガポール動物園のイヌカの近況 ~ 赤道直下のホッキョクグマの27歳の誕生会
シンガポール動物園の27歳のイヌカの健康状態が悪化 ~ 視野に入った安楽死執行の選択
シンガポール動物園で安楽死の危機に直面するイヌカを心配して週末に集まった多くの人々
シンガポール動物園のイヌカが来週水曜日(4月25日)に安楽死が執行される可能性高まる?
(*ベルリン動物園のトスカの安楽死関連)
ベルリン動物園のトスカ(故クヌートの母)、今週中に安楽死執行か? ~ 同園で倫理委員会が召集
ベルリン動物園のトスカ(故クヌートの母)、本日午前の同園での倫理委員会で安楽死執行が決定
ベルリン動物園のトスカ(故クヌートの母)逝く ~ 物語と伝説を身にまとったホッキョクグマの死
by polarbearmaniac | 2018-04-24 23:55 | Polarbearology

カテゴリ

全体
Polarbearology
しろくま紀行
異国旅日記
動物園一般
Daily memorabilia
倭国旅日記
しろくまの写真撮影
旅の風景
幻のクーニャ
エッセイ、コラム
街角にて
未分類

最新の記事

欧州へ!
at 2018-08-20 09:15
チェコ・ブルノ動物園の二つの..
at 2018-08-20 02:00
チェコ・ブルノ動物園のウムカ..
at 2018-08-19 00:15
モスクワ動物園・ヴォロコラム..
at 2018-08-18 02:00
イギリスのヨークシャー野生動..
at 2018-08-17 02:00
フランス・ロレーヌ地方、アム..
at 2018-08-17 00:30
ロシア・ノヴォシビルスク動物..
at 2018-08-16 03:00
ウクライナ・ムィコラーイウ動..
at 2018-08-15 01:00
ロシア・ロストフ動物園のコメ..
at 2018-08-14 03:00
カナダ・ケベック州、サンフェ..
at 2018-08-13 03:00

以前の記事

2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月

検索

ブログパーツ

  • このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます。

ライフログ


人生と運命 1


スターリン―青春と革命の時代


モスクワは本のゆりかご


私のモスクワ、心の記憶


自壊する帝国 (新潮文庫)


甦るロシア帝国 (文春文庫)


嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)


ロシア 春のソナタ、秋のワルツ-1999-21st


それからのエリス いま明らかになる鴎外「舞姫」の面影


ミチコ・タナカ 男たちへの讃歌 (新潮文庫)


わがユダヤ・ドイツ・ポーランド―マルセル・ライヒ=ラニツキ自伝


ベルリン戦争 (朝日選書)


Hof――ベルリンの記憶


カチンの森――ポーランド指導階級の抹殺


北京烈烈―文化大革命とは何であったか (講談社学術文庫)


慟哭の通州――昭和十二年夏の虐殺事件


主題と変奏―ブルーノ・ワルター回想録 (1965年)


藤田嗣治 異邦人の生涯


Barle's Story: One Polar Bear's Amazing Recovery from Life As a Circus Act


Lenin's Tomb: The Last Days of the Soviet Empire


Resurrection: The Struggle for a New Russia


Hotel Adlon: Das Berliner Hotel, in dem die grosse Welt zu Gast war


Ein seltsamer Mann


Alma Rose: Vienna to Auschwitz


St Petersburg: A Cultural History


Gulag