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2018年 07月 16日 ( 1 )

フィンランド・ラヌア動物園のシスの成長 ~ 雄(オス)不足になってきた欧州のホッキョクグマ界

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ヴィーナス(右)とシス(左)  Photo(C)Ranua Zoo

2016年の11月25日にフィンランドのラヌア動物園でヴィーナスお母さんから誕生した現在は一歳半になっている雄(オス)のシス (Sisu)については久し振りの投稿になります。この親子についてはやはりラヌア動物園から定期的に短い映像やら写真が同園のSNSのページにアップされていますが一歳を過ぎるととりたてて成長の節目となるような大きな出来事は無く淡々と、そして順調に成育しているようです。このシスと同じ年齢なのがタリン動物園のアロンですが雄(オス)同士の比較といったものは映像だけでは難しいようです。シスはやはり雄(オス)だけあって体が大きいようで母親のヴィーナスと見間違えるような大きさになっています。下の写真をワンクリックしていただくと親子の姿を映像で見ることができます。追いかけているのが息子のシスです。
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次の映像ですが、これはシスが例のプラスチックのボールで遊んでおり母親のヴィーナスがなんとなくそれを見ているといった映像です。



ラヌア動物園では昨年8月にこのシスの父親であるマナッセが亡くなっていますので現在はこのヴィーナスとシスの親子の二頭だけが暮らしています。雄(オス)の幼年個体は二歳を超えるとなかなか母親の手に負えなくなってくるほど力が強くなりますので親子の同居の三年目というのはあまりありません。通常ならばシスは今年の12月頃に他園に移動するはずですがヴィーナスには現在パートナーがいませんので来年の繁殖シーズンに繁殖に挑むということはないかもしれません。マナッセにかわる雄(オス)の成年個体がラヌア動物園に移動してくる可能性はもちろんありますが候補となる個体を見つけるのは難しいです。ここ1~2年ほどの間に欧州では繁殖に実績のあった雄(オス)が何頭か亡くなっています。エリック(ロッテルダム)、ヨギ (ミュンヘン)、マナッセ (ラヌア)、ラルス (オールボー)といった個体です。現在の欧州では雄(オス)の壮年個体が不足してきているわけで、このラヌア動物園としても来年のヴィーナスの新しいパートナーをEAZAのコーディネーターから割り当ててもらえるかは大きな問題なのです。ラヌア動物園の他にも雄(オス)を必要としている有力な動物園は欧州にいくつもあるからです。つまり、オリンカ(ロッテルダム)、フギース(レネン)、フリーダム(レネン)、ジョヴァンナ(ミュンヘン)、メーリク(オールボー)といった欧州でも屈指の繁殖実績のある雌(メス)たちはいずれもパートナーが亡くなったりして現在は次の繁殖に挑戦できないといった状態に陥っているわけで、そうしたライバルたちを差し置いてラヌア動物園のヴィーナスに雄(オス)のパートナーが割り当てられるかというと、非常に難しい情勢だということです。さて、そうなると欧州は再びロシアからの雄(オス)の個体導入を考えるかもしれません。確かにロシアには候補となる個体がいます。たとえばロストフ動物園のテルペイです、しかし彼は野生出身ですのでロシア国外に出るということはありません。日本の動物園も雄(オス)が不足しています。アイラ、マルル、ポロロ、モモ、リラといった雌(メス)の若年個体のパートナーすらいないほどなのです。10年ほど前には雌(メス)が不足していた欧州(と日本)でしたが、いつのまにか雄(オス)不足になってしまったというわけです。

(過去関連投稿)
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by polarbearmaniac | 2018-07-16 03:00 | Polarbearology

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