街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

プロフィールを見る
通知を受け取る

2018年 08月 18日 ( 1 )

モスクワ動物園・ヴォロコラムスク附属保護施設のアヤーナの近況 ~ 優れた外部環境への適応性

a0151913_18402776.jpg
アヤーナ(ウムカ-アヤーナ) (Умка-Аяна) 
Photo(C)Павел Воробьев/Вечерняя Москва

モスクワ動物園のヴォロコラムスク附属保護施設で飼育されている生後18カ月の雌(メス)のアヤーナ(正式には"ウムカ-アヤーナ (Умка-Аяна)") は昨年2017年の10月初頭にロシア北東部のサハ共和国の内陸部のコルィマ河岸で保護された野生孤児個体です。モスクワ動物園は飼育下のホッキョクグマの血統の多様性を維持するためにこのアヤーナについて将来の繁殖に大きな期待を持っており、同じく野生孤児市出身で一歳年上の雌(メス)であるニカと共に大事にヴォロコラムスク附属保護施設で保護・飼育しています。ヴォロコラムスク附属保護施設は特定の日だけモスクワ市内で募られたツアーで参加する人々にだけ公開する以外は原則的に非公開施設です。
a0151913_18432673.jpg
アヤーナ Image:МТРК «МИР»

昨日、複数のメディア関係者がこのツアーに参加してヴォロコラムスク附属保護施設を訪問し、保護されてから約10カ月になったアヤーナの様子についてレポートしています。そのニュース映像をいくつか見てみましょう。まず最初の映像では開始後22秒あたり以降からが昨日のヴォロコラムスク附属保護施設の訪問記になっています。1分6秒あたりからニカの姿も登場していますが彼女は非常に体が大きくなっていて順調な成育をしているようです。アヤーナは歯の治療の甲斐もあってか今ではきちんと食事が摂れるようになっているそうです。スタッフは彼女を「アナーシャ」という愛称で呼んでいるそうです。モスクワ動物園はこのアヤーナにやはり野生出身のパートナーを当てがって飼育下のホッキョクグマの遺伝子の多様性を確保することが重要であると力説しています。それから、アヤーナは隣の区画にいるニカとはなんとなく交流があるそうで、ニカとは別区画での飼育にもかかわらず思いのほかアヤーナの「適応化」が進んだためか敢えて急いでこの二頭を同居させることはないといった考え方になっているそうです。



次の映像ではこのアヤーナのサハ共和国からモスクワまでの移送に大きな援助を行ったロシアの議会の与党である「統一ロシア」のメンバーの方が語っていますが、三角コーンなどのおもちゃを差し入れてホッキョクグマたちが退屈しないように努めているとも語っています。



次はアヤーナが保護されたサハ共和国、その首都であるヤクーツクのTVニュースの映像で、最初の映像のシーンと共通部分が多いです。



次はやはりニュース映像ですが、下の写真をワンクリックして下さい。アヤーナは蜂蜜を付けたパンが好物だそうで、その他にもちろん肉や魚を食べるそうですが果物や野菜はあまり好きではないそうです。彼女はやはりまだ同年齢の飼育下生まれのホッキョクグマよりも体は小さいそうです。



このアヤーナは以前は神経質な性格だったものの驚くほど環境に適応して、現在では雌(メス)らしさと柔軟さを兼ね備えたホッキョクグマに変貌しているそうです。やはりこうした野生孤児個体の扱いについてはモスクワ動物園は手慣れているように感じます。この生後18カ月のアヤーナ、そして一歳年上のニカという二頭の雌(メス)の野生出身の個体を将来はうまく繁殖に導いていく動物園としてはモスクワ動物園が最もその技量に優れているということでしょう。この二頭はロシアのホッキョクグマ界の救世主であり、将来的には彼女たちの子供が「新血統」として欧州の動物園に移動することとなるはずです。

(資料)
Вечерняя Москва (Aug.16 2018 - Яркие подарки для спасенной Умки)
МТРК «МИР» (Aug.16 2018 - Белую медведицу Умку-Аяну навестили в годовщину ее спасения)
SAKHALIFE.RU (Aug.17 2018 - Медвежонок Умка-Аяна: Вспомним, как ее нашли)

(過去関連投稿)
ロシア北東部サハ共和国で北極海岸より700キロも離れた内陸で野生孤児が目撃 ~ 保護に動く自然管理監督局
ロシア北東部の内陸をさまよう個体への対応の二つの選択肢 ~ 動物園での保護か生息地への移送・解放か?
ロシア北東部 サハ共和国の内陸でホッキョクグマの幼年個体が保護 ~ 生後一年未満の雌(メス)と発表
ロシア北東部 サハ共和国の内陸で保護された雌(メス)の幼年個体がスレドネコルィムスクの街に移送される
ロシア北東部 サハ共和国の内陸で保護された幼年個体がヤクーツクに到着 ~ ただちにモスクワへ
ロシア北東部サハ共和国で保護された幼年個体がモスクワ動物園のヴォロコラムスク附属保護施設に無事到着
ロシア北東部サハ共和国で保護された幼年個体、検疫終了後にただちにモスクワ動物園の本園に登場の予定
モスクワ動物園 ヴォロコラムスク附属保護施設で保護された孤児の名前が「ウムカ-アヤーナ」に決まる
モスクワ動物園 ヴォロコラムスク附属保護施設のアヤーナがニカと同居の見通し ~ 「適応化」へ
モスクワ動物園 ヴォロコラムスク附属保護施設のアヤーナの近況 ~ 魚の給餌量の多いロシアの動物園
モスクワ動物園・ヴォロコラムスク附属保護施設のアヤーナ、歯の治療から発見場所の謎を考察する
by polarbearmaniac | 2018-08-18 02:00 | Polarbearology

カテゴリ

全体
Polarbearology
しろくま紀行
異国旅日記
動物園一般
Daily memorabilia
倭国旅日記
しろくまの写真撮影
旅の風景
幻のクーニャ
エッセイ、コラム
街角にて
未分類

最新の記事

ロシア極東・沿海州のハバロフ..
at 2018-11-17 01:00
ロシア・クラスノヤルスク動物..
at 2018-11-16 00:30
ロシア・クラスノヤルスク動物..
at 2018-11-15 01:00
メキシコ・モレリア市のベニー..
at 2018-11-14 02:00
ロシア・クラスノヤルスク動物..
at 2018-11-14 00:30
ロシア、ニジニ・ノヴゴロドの..
at 2018-11-13 03:00
ベルリン動物公園のトーニャ、..
at 2018-11-12 01:00
カナダ・トロント動物園のハン..
at 2018-11-11 02:00
ウクライナ・ムィコラーイウ動..
at 2018-11-10 02:00
アメリカ・コロンバス動物園に..
at 2018-11-09 03:00

以前の記事

2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月

検索

ブログパーツ

  • このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます。

ライフログ


人生と運命 1


スターリン―青春と革命の時代


モスクワは本のゆりかご


私のモスクワ、心の記憶


自壊する帝国 (新潮文庫)


甦るロシア帝国 (文春文庫)


嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)


ロシア 春のソナタ、秋のワルツ-1999-21st


それからのエリス いま明らかになる鴎外「舞姫」の面影


ミチコ・タナカ 男たちへの讃歌 (新潮文庫)


わがユダヤ・ドイツ・ポーランド―マルセル・ライヒ=ラニツキ自伝


ベルリン戦争 (朝日選書)


Hof――ベルリンの記憶


カチンの森――ポーランド指導階級の抹殺


北京烈烈―文化大革命とは何であったか (講談社学術文庫)


慟哭の通州――昭和十二年夏の虐殺事件


主題と変奏―ブルーノ・ワルター回想録 (1965年)


藤田嗣治 異邦人の生涯


Barle's Story: One Polar Bear's Amazing Recovery from Life As a Circus Act


Lenin's Tomb: The Last Days of the Soviet Empire


Resurrection: The Struggle for a New Russia


Hotel Adlon: Das Berliner Hotel, in dem die grosse Welt zu Gast war


Ein seltsamer Mann


Alma Rose: Vienna to Auschwitz


St Petersburg: A Cultural History


Gulag