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2019年 06月 17日 ( 1 )

ロシア極東・沿海州 ハバロフスク動物園のハバルのパートナーはクラスノヤルスク動物園のウルスラに内定

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ハバル (Хабар)  Photo(C)Мария ИГНАТЬЕВА
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ウルスラ (Урсула)  Photo(C)Красноярский зоопарк

先頃の私の旅行中に報じられたニュースの中で驚いたものとしてこのニュースがあります。それはロシア沿海州のハバロフスク動物園(正式には「シソーエフ記念・プリアムールスキー動物園」 - Зоосад Приамурский имени В.П. Сысоева)で飼育されている4歳の雄(オス)のハバル (Хабар) のパートナーとしてシベリア中部のクラスノヤルスク動物園で飼育されている野生孤児出身の推定二歳の雌(メス)のウルスラ (Урсула) が内定したという報道内容です。私がここでこの「内定」という用語を使ったのは、報道でハバロフスク動物園とクラスノヤルスク動物園との間で事前合意(報道では "предварительная договоренность" という語が用いられていますので、これは「事前合意」あるいは「予備的契約」を意味することになります)が成立したということですので「内定」という語を用いるのが実質的に最も適しているだろうという理由からです。クラスノヤルスク動物園からハバロフスク動物園へ移動する個体についてウルスラとは明示されてはいませんが「野生孤児としてクラスノヤルスク動物園によって保護された若い雌(メス)の個体であり同園がその新しい飼育動物園を探している」と述べられていますので、これはウルスラ以外にはありえないわけです。また、この個体のハバロフスク動物園への移動時期は「年末までに」ということだそうです。またその移動の条件については「寄贈」になるか「期間限定」になるかは今後の本契約締結の際に決定されることになるそうです。ここで二つほど今年に入ってからのハバルの映像を見てみましょう。





さて.....ハバロフスク動物園はここ数年に渡ってハバルのパートナーを探していたものの非常に難航していたというのは事実です。難航した理由としてはハバルがモスクワ動物園のシモーナの息子でありロシアにおける飼育下のホッキョクグマに多い「アンデルマ/ウスラーダ系(カザン血統)」に属しているといった血統面の事情が挙げられるでしょう。しかしそのパートナーが野生孤児出身のウルスラになるというのは少し意外です。野生出身個体は血統面からいって非常に貴重です。それを血統的には頭数の多いハバルと組みあわせるというのは「繁殖資源」の有効活用の点から言えば難があるわけです。これはいったいロシアの飼育下のホッキョクグマのコーディネーター(繁殖計画の管理者)のモスクワ動物園のマリーナ・ガリシュークさんの承認のもとでなされた二園間での合意なのでしょうか? 私の予想ではマリーナ・ガリシュークさんはこの件については知らないのではないかと思います。

ハバルがモスクワ動物園からハバロフスク動物園に移動したのは欧露間のホッキョクグマ繁殖計画による個体再配置によってであるわけですからハバルのパートナー選びもコーディネーターが関与するのが当然であるはずです。さて、ここで今年になってからのクラスノヤルスク動物園のウルスラの姿を映像で二つご紹介しておきます。





クラスノヤルスク動物園ではフェリックスとオーロラという野生出身同士の個体のペアが存在しており繁殖成功が期待されています。また同園で人気者のセードフ司令官が年内には出張先のゲレンジークのサファリパークからクラスノヤルスク動物園に帰還することになっています。クラスノヤルスク動物園はウルスラを保護した直後から彼女の同園での飼育は暫定的なものであると明言していたわけですからウルスラをハバロフスク動物園に移動させることについては積極的な姿勢だろうと思います。しかしロシアのホッキョクグマ界全体から考えるとウルスラのパートナーとしてはペンザ動物園で飼育されている野生孤児出身のベルィが血統的にいって最も適しているのは明らかです。ハバルのパートナーとしては熊本のマルルが最も適しているだろうと思います。マルルの所有権を持つ札幌市(円山動物園)はマルルをBL契約にてハバロフスク動物園に移動させ、ハバルとの繁殖成功の果実を日本に還流させるのが最も現実的です。こうでもしませんとララ・ファミリーの若年個体のパートナーは得られません。最近では大阪のファンだろうが東京のファンだろうが札幌のファンだろうが何人ものファンがノヴォシビルスク動物園に気軽に出かける時代です。ハバロフスクなどはもっと簡単に行けますからマルルがハバロフスクに移動しても会いに行くファンは何人もいるでしょう。

今回のハバロフスク動物園とクラスノヤルスク動物園との間での「事前合意」が本契約にまですんなりと進むかはまだわからないような気がします。

(資料)
ДВ-новости (Jun.5 2019 - Белые медведи впервые создадут семью в зоосаде «Приамурский») (May.12 2019 - Белый медведь открыл купальный сезон в зоосаде под Хабаровском)
Комсомольская Правда (Feb.27 2019 - Хабар в Хабаровске отметил День белого медведя)
Сетевое издание «Информационное агентство «Хабаровский край сегодня» (May.8 2019 - Большой заплыв для хабаровского белого медведя начнётся в День Победы)
"Лаборатория новостей - Красноярск"(Feb.1 2019 - Красноярский зоопарк снял на видео игры молодой медведицы Урсулы) (May.20 2019 - В «Роевом ручье» показали рыбалку белой медведицы Урсулы)
Наш Красноярский край (May.20 2019 - Сотрудники «Роева ручья» сняли на видео рыбалку медведицы Урсулы)
Аргументы и факты - Красноярск (May.20 2019 - Любимица красноярцев белая медведица Урсула показывает, как ловит рыбу)
ИА "1-LINE" (пресс-релиз (May.20 2019 - В зоопарке Красноярска переживают за будущее белых медведей)

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by polarbearmaniac | 2019-06-17 02:00 | Polarbearology

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