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2019年 07月 03日 ( 1 )

オランダ・ロッテルダム動物園のヴァロージャの近況 ~ オリンカの繁殖への再挑戦と欧州の雄(オス)不足

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ヴァロージャ (Wolodja/Володя)  Photo(C)Ouwehands Dierenpark

ベルリン動物公園 (Tierpark Berlin) で昨年2018年12月に誕生したヘルタの父親であるモスクワ動物園生まれの7歳の雄(オス)のヴァロージャはその繁殖能力を期待されてオランダ・レネンのアウヴェハンス動物園に移動してフリーダムをパートナーとして今年の繁殖シーズンに「参戦」したわけですが、一区切りがついたため今度は同じオランダのロッテルダム動物園に移動してきた件については先月に投稿しています。そのヴァロージャのロッテルダム動物園到着後の様子について同園が公式映像を公開していますので復習の意味も込めて短い映像ではありますが見ておくことにしましょう。ロッテルダム動物園の飼育展示場の環境の素晴らしさも理解していただけるかと思います。



さて、私は6月の投稿でこのヴァロージャのロッテルダム動物園への移動の意味について果たしてオリンカとの間での繁殖を狙ったものなのか、それともアウヴェハンス動物園のスペースの確保のための個体のポジショニングが移動の理由なのかよくわからないと述べました、ところがその後の地元の報道でロッテルダム動物園が彼が同園に移動してきた理由が語れれていることがわかりました、それによりますと、26歳になっているオリンカの健康チェックの結果、彼女は完全に健康な状態であり繁殖能力も依然として保持していることが判明したためにヴァロージャをパートナーにしてオリンカが繁殖への挑戦を行うことが適切であると判断したEAZAのコーデフィネーターの判断によってヴァロージャがロッテルダム動物園に来園したということだそうです。ごく最近のロッテルダム動物園におけるヴァロージャの映像を二つほど見てみましょう。最初の映像は約25分間の長さがあり実に見応えがあります。





さて、こうして26歳のオリンカは再び繁殖に挑戦することになったというわけですが、しかしかなり疑問を感じる点があります。第一に、オリンカのパートナーだったエリックが亡くなったのは2015年2月のことでした。そのエリックがオリンカとパートナーを組んで生まれた最後の子供であるシゼルとトーズの双子が誕生したのは2014年12月です。オリンカは当然この双子の育児を2015年、2016年の二年間行ったのですが通常で考えれはオリンカは一昨年の2017年には新しいパートナーを得て再度繁殖に挑むことができたはずでした。ところがそういった状況になっていたにもかかわらず彼女は新しいパートナーを得ることができす、さらに翌年の2018年も彼女にはパートナーはいなかったのです。そして彼女は現在26歳になっています。2017年の春にパートナーが得られていたならば彼女はその時まだ24歳だったわけで、まだまだ繁殖成功の確率は高かったでしょう。何故オリンカは2017年と2018年の二年間の繁殖シーズンを棒に振ることを余儀なくされたにもかかわらず今になってヴァロージャという新しいパートナーが来園したのかは非常に不可思議なことです。


昼下がりのオリンカ - Olinka the Polar Bear around Wednesday noon, at Rotterdam zoo (Diergaarde Blijdorp), the Netherlands, on May.22 2019

次に第二点として、ヴァロージャがロッテルダム動物園に来園したのは去る6月14日のことです。この時期は繁殖行動期の最後の最後といった時期に当たりよほどのことが無い限り今年2019年の繁殖シーズンへの参加は困難だったはずです。現在のオリンカとヴァロージャの状態がどうなっているのかはわかりませんが、要するに今年2019年の繁殖シーズンも事実上オリンカは棒に振っているに等しい状態なのです。来園2020年の繁殖シーズンにはオリンカはいかに繁殖に多くの実績があるとはいえ27歳になっているわけで、これでは出産は難しいだろうと思います。


オリンカの午後の表情 - Olinka the Polar Bear on Wednesday afternoon at Rotterdam zoo (Diergaarde Blijdorp), the Netherlands, on May.22 2019.

要するに欧州では繁殖に実績のあった雄(オス)が次々に亡くなってしまったという不幸な事情があり、そしてこうなったからにはイチかバチかの勝負に出たということ以外には考えられません。こうした状況下でシモーナの息子であるノルド(現 オールボー動物園)やヴァロージャが引っ張りだこになってしまったということなのでしょう。ノルドとヴァロージャはシモーナの息子たちのなかでは欧州で出世頭となったというわけです。チェコのブルノ動物園、ミュンヘンのヘラブルン動物園、エストニアのタリン動物園、フィンランドのラヌア動物園.....これらの動物園は全て繁殖に実績のある雌(メス)が飼育されているのですが彼女たちのパートナーは全てここ2~3年の間にまだ十代後半、あるいは20歳前後という若さで亡くなってしまっているのです。そして彼女たちの新しいパートナーとなる雄(オス)は補充されていないというのも残念なことです。つまり雄(オス)が不足しているのです。デンマークのオールボー動物園、オランダのアウヴェハンス動物園、そして今回はロッテルダム動物園と、やはり雄(オス)がここ数年の間にいなくなった動物園がようやく雄(オス)の補充が(一時的ではあるにせよ)できたといった様相なのです。シモーナの息子たちが大活躍です。


モスクワ動物園でのシモーナ - Simona the polar bear at Moscow Zoo (Белая медведица Симона в Московском зоопарке) (2), on Sep.29 2015.

ここで一つ大胆な予言をしておきましょうか。私はノヴォシビルスク動物園のカイ(クラーシン)の欧州の動物園への転出は将来的に有り得るだろうと思っています。それから日本では、旭川のイワンと姫路のルトヴィク(ホクト)の交替です。このイワンとホクトの件については大胆な予想というよりは、もうそうするしか手が無いということです。ホクトとピリカのペアを形成させることは意味があります。またあります、ルトヴィク(ホクト)と横浜のジャンブイの交代です。まだあります、仙台のラダゴル(カイ)を旭川に移し旭川のイワンを姫路に移し、姫路のホクトを仙台に移す...これです。

(資料)
AD.nl (Jun.15 2019 - Russisch ijsberenmannetje nu al thuis in Blijdorp: ‘Hopelijk zorgt hij voor kleintjes’)

(過去関連投稿)
ベルリン動物園のヴァロージャがオランダ・レネンのアウヴェハンス動物園へ ~ 欧州の苦渋の選択
アウヴェハンス動物園 (Ouwehands Dierenpark) での四頭のホッキョクグマたちとの再会
ロッテルダム動物園 (Diergaarde Blijdorp) を四年振りに訪問 ~ 偉大なるオリンカとの再会
オランダ・アウヴェハンス動物園のヴァロージャがロッテルダム動物園へ
オランダ・ロッテルダム動物園に到着したヴァロージャが飼育展示場に登場
by polarbearmaniac | 2019-07-03 23:55 | Polarbearology

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