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2019年 07月 05日 ( 1 )

エストニア・タリン動物園の二歳半のアロンの近況 ~ 難航するフリーダの新パートナー探し

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アロン (Jääkaru Aron) Photo(C)Inari Leiman

エストニアのタリン動物園のホッキョクグマたちについて投稿するのは半年ぶりになります。この動物園では現在、16歳の雌(メス)のフリーダと彼女の息子である2歳半のアロンが飼育されています。フリーダのパートナーだった雄(オス)のノルトは今年の1月に亡くなっています。ここ数年にわたって連続して亡くなった繁殖実績のある欧州の雄(オス)のホッキョクグマたちの一頭がノルトであったわけでした。ちなみにこのタリン動物園のノルトと現在デンマークのオールボー動物園で飼育されているノルドは両方ともに "Nord" という綴りなのですがタリン動物園の故ノルトはドイツ語圏のウィーンのシェーンブルン動物園で生まれていますので "Nord" の -d はドイツ語の発音通りに濁らずに「ト」と表記し、オールボー動物園のノルドはロシア語圏のモスクワ動物園の生まれですので "Nord" の -d はロシア語の発音通りに「ド」と表記することによって当ブログでは二頭を「ノルト」と「ノルド」というように区別して表記しています。

さて、ここで4月初頭のフリーダとアロンの親子の様子をタリン動物園の公式映像で見てみましょう。



実はこの直後の時期の4月中旬にフリーダとアロンは別区画での飼育になったそうです。母親と別れた直後の時期 (4月14日) のアロンの様子が映像としてアップされていますので見ておきましょう。このアロンの様子を見ると、おそらく母親と別れさせられた当日、あるいは翌日の映像ではないかと思います。やはり動揺しているようです。



次の映像は同じ日のものですがアロンも気を取り直したのか、おもちゃで遊び始めています。



次は5月16日、つまりアロンが母親であるフリーダと別居するようになってから約1ヶ月が経過した時期の映像です。



次は5月30日の映像です。アロンも単独生活に慣れてきたようです。



次は比較的最近 (6月18日) の映像です。タリン動物園のホッキョクグマ飼育展示場は二区画あるのですが今までいた区画とは別の区画に移っているようです。



雄(オス)の幼年個体というのは雌(メス)の幼年個体と比べると母親に従順で素直な個体が多いように思います、一方で雌(メス)の幼年個体は性格的に個性が非常に強くて母親に反抗する個体さえいるわけです。ここ約10年にわたって日本では飼育下のホッキョクグマの自然繁殖で誕生した個体は雌(メス)ばかりです。そうした雌(メス)の幼年個体たちとその母親たちの親子の姿を観察してきた私たちは、いつも「強烈な親子のドラマ」というものを見せられ続けてきました。その典型だったのが札幌のララとリラの親子です。このあたりでそろそろ日本でも雄(オス)の赤ちゃんを見てみたい気がします。母親と息子の姿は母親と娘の姿よりも爽やかで伸び伸びとしているというのが私のこれまでの印象です。

フリーダのパートナーだったノルトは亡くなってしまったためタリン動物園はフリーダの新しいパートナーを求めているそうですが、それを決めるのはEAZAのコーディネーターであると同園は語り、果たしてその雄(オス)がいつ来園するかについては具体的時期はわからないと述べています。血統的、年齢的に言えばスコットランドのハイランド野生公園のウォーカーが最適だろうと思いますが果たしてあの素晴らしい環境で暮らしているウォーカーをEAZAのコーディネーターが旧ソ連圏のエストニアまで移動させるかと言えば、そうしない確率が大きいでしょう。となるとオランダのフリースランド・アクア動物園のフェリックスが候補に浮上してくるような気もしますが、しかしオランダの動物園に暮らすホッキョクグマをエストニアに移動させるということは「オランダ贔屓」のEAZAのコーディネーターはやらないような気がします。では現在大活躍中のオールボー動物園のノルドとかロッテルダム動物園のヴァロージャというシモーナの息子たちをまたここで活用する手はないわけではありませんが、フリーダはロシアの「カザン血統」ですので、ノルドやヴァロージャという「アンデルマ・ウスラーダ系(カザン血統)」をパートナーとすることは現実的にはないでしょう。

ともかう、タリン動物園に雄(オス)のホッキョクグマが来園するまでにはまだまた時間が必要であると思います。欧州のホッキョクグマ界における雄(オス)不足は深刻なのです。

(過去関連投稿)
Postimees (Apr.11 2019 - Video: jääkarud Friida ja Aron tutvusid uue aedikuga) (Apr.15 2019 - Tallinna loomaaed pidi ema kiusu alla sattunud jääkaru teise aedikusse kolima)
Delfi (Apr.6 2019 - Lumi läks ja kevad tuli: loomaaia jääkarust sai ühtäkki pruunkaru)

(過去関連投稿)
エストニア・タリン動物園で秋の新飼育展示場オープンを待つホッキョクグマたち
エストニア・タリン動物園のフリーダとアロンの親子が完成した飼育展示場へ移動
エストニア・タリン動物園の新飼育展示場にフリーダとアロンの親子が初めて登場 ~ 落ち着かない親子の様子
エストニア・タリン動物園、苦節36年の果てに悲願の新ホッキョクグマ飼育展示場が完成
エストニア・タリン動物園の新ホッキョクグマ飼育展示場が公式にオープン ~ 日に日に環境に慣れる親子
エストニア・タリン動物園に降った雪、そしてフリーダと間もなく満一歳になるアロンの親子の様子
エストニア・タリン動物園、新しい飼育展示場で伸び伸びと行動するフリーダとアロンの親子
エストニア・タリン動物園のノルトが新飼育展示場への園内移動に必死に抵抗 ~ 「住めば都」の狭い旧展示場
エストニア・タリン動物園のアロンの満一歳の誕生会、そしてノラの故郷での最後の誕生会
エストニア・タリン動物園のアロンが飼育展示場のガラスを破壊 ~ おもちゃのリスク
エストニア・タリン動物園のフリーダとアロンの親子の近況 ~ 「カボチャの日」に市民から多くの差し入れ
エストニア・タリン動物園のアロンが満二歳となる ~ 父親のノルトの17歳の誕生日と同時開催の誕生会
エストニア・タリン動物園のノルトが亡くなる ~ 欧州でまたもや繁殖実績のある雄(オス)が消える
(*2018年5月 タリン動物園訪問記)
・タリン動物園へ ~ 伸び伸びと暮らすフリーダとアロンの親子
・アロン (Jääkarupoiss Aron)、その素顔と性格
・タリン動物園訪問二日目 ~ フリーダお母さんと息子のアロンにゆったりと流れる時間
・フリーダ (Jääkaru Friida) 、その素顔と性格 ~ 失敗に気が付き修正を行う能力の高さ
・タリン動物園訪問三日目 ~ フリーダとアロン、素晴らしき親子の姿への賞賛
by polarbearmaniac | 2019-07-05 23:55 | Polarbearology

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