街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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2019年 07月 09日 ( 1 )

モスクワ動物園がシモーナとウランゲリの系統を「モスクワ血統(московская линия)」に分類

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シモーナと三つ子の赤ちゃん (2012年) Photo(C)Московский зоопарк
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シモーナと双子の赤ちゃん(2015年) Photo(C)Московский зоопарк

モスクワ動物園はここのところ何日かおきに同園のホッキョクグマの素晴らしい写真をSNSに掲載しています。そういうページの中で同園は母親としてのシモーナを大いに賞賛し、彼女と彼女のパートナーであるウランゲリの間にできた子供たちを「ホッキョクグマのモスクワ血統 (московская линия белых медведей)」と呼び始めました。この「モスクワ血統」という言葉は初めて登場してきたわけですが、これは例の「カザン血統(アンデルマ/ウスラーダ系)」につらなっている血統であることは言うまでもありません。シモーナの母親であるウスラーダ(レニングラード動物園)、そしてウスラーダの母であった故ディクサがカザン市動物園で飼育されていたことからロシアでは「カザン血統」という呼び方がされていますが私は「アンデルマ/ウスラーダ系」と呼んでいます。


モスクワ動物園でのシモーナ - Simona the polar bear at Moscow Zoo (Белая медведица Симона в Московском зоопарке) (2), on Sep.29 2015.


モスクワ動物園のウランゲリ - Wrangel the polar bear at Moscow Zoo, on Aug.18 2015.

さて、このシモーナ (1994年11月27日 レニングラード動物園生まれ)とウランゲリ (1990年冬 ウランゲリ島生まれの野生孤児)との間で何頭の子供たちが成育したかについては血統情報の混乱もあって必ずしも明確ではありません。モスクワ動物園は15頭であると述べていますが私は13頭が正しいと考えています。最も大きな問題なのは2007年に彼女が産んだのが双子なのかそれとも一頭なのかという点で、これは現在でも謎に包まれています。モスクワ動物園のシモーナとムルマという二頭の子供たちに関する血統情報は以前から不正確な個所かあり日本に関係したものでは以前はシモーナが2000年に産んだと登録されていたのはホクト(姫路)だったわけで、これが例の「イワンとゴーゴ兄弟説」の根拠だったわけですが、当ブログでは状況証拠の積み上げによってそれに疑義を提起し、そして日本の動物園のホッキョクグマの血統管理を行っている旭山動物園の努力により血統情報が覆されてイワン(旭川)が正しいことになったわけです。そして血統情報がモスクワ動物園によって訂正され、現在ではイワン(旭川)は2000年にシモーナが産んだ個体であることが明確になったというわけです。この経緯についてはここで改めて繰り返すまでもありません。


シモーナの父である故メンシコフ - Menshikov finds himself relaxed at the exhibit of Leningrad Zoo, in St.Petersburg,Russia, on Mar.25 2012.


シモーナの母であるウスラーダ - Uslada the polar bear in contemplation(2) at Leningrad Zoo, St.Petersburg, Russia, on Sep.22 2015.


シモーナの祖母である故アンデルマ - Amderma the Polar Bear at Perm zoo, Russia on Jul.20 2017

シモーナの産んだ子供たち(私は13頭が正しいと考えています)のなかですでに死亡したのはたった一頭です。それは彼女が2011年11月に産んだ三つ子のうちの一頭です。これについては2013年8月12日に死亡したとされ検死によっても死因は判明しなかったとのことです。しかしこの死亡した個体は生後半年を過ぎていますので血統登録はなされていますからシモーナの繁殖成功個体としてカウントすることになりますので、シモーナの子供たちは13頭であり、そのうち現在まで成育しているのは12頭である」というのが正しいだろうというのが私の考え方です。モスクワ動物園は今日に至ってもシモーナの産んだのは15頭であり、それらは全て現在もロシア内外の動物園で元気であると述べています。同園がそうまで言い切るには、今後また血統情報の訂正があり得るだろうと考える以外にはありません。

さて、そういったことはともくとしてシモーナは実に素晴らしい母親です。そういうことをこれまでの度重なるモスクワ動物園訪問で骨の髄まで思い知らされてきたわけです。シモーナは札幌のララと同じ年齢で誕生日が一週間しか違いません。育児スタイルもララと非常によく似ています。ですから私にとってもシモーナは非常に親しみを感じるホッキョクグマなのです。現在彼女はモスクワ動物園のヴォロコラムスク附属保護施設で暮らしています。来たる7~8月の旅行ではなく、秋に計画している旅行では是非シモーナに会ってきたいと思っています。

(資料)
Московский зоопарк (Jun.14 2019 - СИМОНА: МАТЕРЬ МЕДВЕДЕЙ) (Jul. 9 2019 - СНЕЖА И ХАБАР: как белые медвежата из Московского зоопарка покоряют мир)
РИАМО (Jul.9 2019 - Обнять кобру и увидеть амурского тигра: зачем ехать в зоопитомник Московского зоопарка)
by polarbearmaniac | 2019-07-09 23:55 | Polarbearology

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