街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

プロフィールを見る
更新通知を受け取る

2019年 08月 08日 ( 3 )

ムルマ (Белая медведица Мурма)、その受動的生き方の美学

a0151913_237372.jpg
この雌(メス)のムルマは野生孤児出身で現在28歳である。彼女は男鹿水族館の豪太の母であることで日本のホッキョクグマ界とのつながりがある。
a0151913_1174968.jpg
2000年代から2010年代にかけてこのムルマはシモーナと共にモスクワ動物園の二枚看板として繁殖に成功してきた。彼女はモスクワ動物園において8頭の出産と育児に成功しているから札幌のララと同数である。ただし出産(成功)回数ではムルマは7回、ララは6回である。ララは双子を二回出産しているがムルマは一回だからである。そのムルマの2007年の双子の出産に関しては誕生したのはどの個体なのかについて血統情報は周辺の客観情報とは矛盾した情報を記載してきた。私の説ではラスプーチン(南仏アンティーブ、マリンランド)とゲルダ(ノヴォシビルスク動物園)であり現在の血統情報ではラスプーチンと中国・大連の個体となっている。その他にもムルマが2011年に産んだ一頭の雄(オス)の成長の経緯に不明な点が多く、この個体はノヴォシビルスク動物園を経てやはり中国に行っている。
a0151913_1351148.jpg
ムルマの子供たちには共通した性格や特徴といったものを見いたすことは難しい。これがウスラーダとその子供たちやシモーナとその子供たちなどの場合とは大きく違う点である。ムルマの8頭の子供たちのうち最初の二頭を除き、その他は全て彼女がウムカ(ウンタイ)をパートナーとして繁殖に成功した個体である。このウムカ(ウンタイ)は2013年の6月にこの世を去っているが、私が実際に彼に会って受けた印象では際立って個性的というホッキョクグマではなかった。しかし体が柔らかくて運動神経の発達した個体だった。しかしウランゲリほどの存在感はなかったのである。そして豪太もラスプーチンも際立った個性や存在感を発散する個体ではない。そしてそれは彼らの母親であるムルマ自身も同様なのである。だたし私は釧路市動物園のミルクの運動神経は彼女の祖父であるウムカ(ウンタイ)から引き継いでいるような気がする。
a0151913_152722.jpg
このムルマは「筋の一本通ったホッキョクグマ」という感じはあまりしない。彼女は周囲の状況に流されやすいタイプの個体であると私は感じている。性格的にムルマはそう強い特徴を持つホッキョクグマではない。彼女は受動的な要素を多く内包したホッキョクグマでると私は思っている。そういった点で言えばシモーナと比較してみるとムルマへの評価は高くなりにくいのである。そしてそれはシモーナの子供たちとムルマの子供たちを比較してみても同様のことが言える。
a0151913_163476.jpg
ただし私がムルマを見ていて素晴らしいと思うのは、その年齢と比較して姿が若々しいことである。老け込んだホッキョクグマという感じはまるでしない。


モスクワ動物園のムルマの表情 - Murma the Polar Bear (Белая медведица Мурма), her profile at Moscow Zoo, Russia, on Aug.7 2019.
a0151913_225921.jpg
ともかく、このムルマが真に偉大なホッキョクグマであるかどうかは彼女の子供たちのこれからの活躍によってフィードバックされてくるものが多いかどうかだろうと思われる。
a0151913_248438.jpg
ムルマの長寿を期待したい。
a0151913_2522838.jpg
a0151913_2525717.jpg
Olympus OM-D E-M1 Mark II
LEICA DG VARIO-ELMARIT 50-200mm / F2.8-4.0 ASPH.
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
Panasonic HC-W870M
(Aug.7 2019@モスクワ動物園)

(過去関連投稿)
モスクワ動物園のムルマ(1) ~ 巨体の醸し出す貫禄
モスクワ動物園のムルマ(2) ~ 鷹揚で懐の深い母性
モスクワ動物園のムルマ(3) ~ 初産、そして訪れた危機
モスクワ動物園のムルマ(4) ~ 危機の克服、そして豪太の誕生
モスクワ動物園のムルマ(5) ~ 豪太の日本への旅立ち
豪太(男鹿水族館) のモスクワ動物園での初公開日の映像
モスクワ動物園のムルマお母さんと息子の豪太との関係 ~ ミルクの運動神経は豪太の父のウムカ譲りか?
モスクワ動物園のウムカ (ウンタイ – 男鹿水族館・豪太の父) 闘病生活の後、すでに死亡の模様
モスクワ動物園のムルマの2003年の繁殖挑戦を振り返る ~ 5月の交尾で出産に成功したムルマとララ
モスクワ動物園五日目 ~ ムルマ(豪太の母)とウランゲリ(イワンの父)はやはり相性が悪い?
ムルマ(Белая медведица Мурма)の置かれた苦境 ~ ウランゲリとの微妙な関係
ムルマ (Белая медведица Мурма)、快適に過ごさせてやりたいその余生
モスクワ動物園でホッキョクグマの赤ちゃんが1月に誕生した模様 ~ 27歳のムルマに咲いた最後の花
モスクワ動物園のムルマが雪の上に登場 ~ 出産の有無を明らかにしない同園と偉大な一つの時代の終わり
ムルマ (Белая медведица Мурма)、その自然体の素顔
モスクワ動物園のムルマ (Белая медведица Мурма) の初夏の日の憂鬱
ムルマ (Белая медведица Мурма)、その「月見草」としての存在を考える
モスクワ動物園の女性スタッフが突進してきたムルマを冷静にホウキで追い払う
by polarbearmaniac | 2019-08-08 05:00 | 異国旅日記

ウランゲリ (Белый медведь Врангель)、首都モスクワに君臨する「偉大なる男」の素顔

a0151913_726356.jpg
この雄(オス)のウランゲリは野生孤児出身で現在28歳である。彼は言わずと知れた旭山動物園のイワンの父である。彼の性格、その他については「ウランゲリ、その優しさ、親しみやすさ、紳士的性格に見る繁殖への道」、「ウランゲリ (Белый медведь Врангель)、愛すべき男の素顔」、「モスクワ動物園のウランゲリ (Белый медведь Врангель)、その「偉大な時代」への讃歌」という三つの投稿を御参照頂きたい。彼についてはそれらの投稿で述べたことにさらに付け加えるべき内容はほとんどない。
a0151913_7452728.jpg
このウランゲリはレニングラード動物園のメンシコフ亡き後、ロシアでは最高の雄(オス)のホッキョクグマであることは間違いない。モスクワ動物園はこのウランゲリと彼のパートナーであるシモーナとの間で繁殖に成功した個体を「モスクワ血統 (московская линия)」と呼び始めた。これについては「モスクワ動物園がシモーナとウランゲリの系統を「モスクワ血統(московская линия)」に分類」という投稿を御参照いただきたい。
a0151913_8173785.jpg
このウランゲリは実に偉大なホッキョクグマなのである。


ウランゲリの肖像 - Wrangel the Polar Bear (Белый медведь Врангель), his profile at Moscow Zoo, Russia, on Aug. 7 2019.

a0151913_8251871.jpg
しかしその彼が自分にとっては相性が良いとは言えないムルマとの同居をせざるを得なくなったかは、彼にとっては不満だろう。私も見ていてあまりよい気持ちにはなれない。彼がムルマを本心で嫌っていることがよくわかるからである。
a0151913_8312370.jpg
モスクワ動物園もいろいろと考えての上でのことなのだろうが、あまり感心できない。
a0151913_842238.jpg
とはいうものの、やはりウランゲリの元気な姿を見ることができるのは非常に素晴らしいことである。ウランゲリもロシアにおけるホッキョクグマの飼育と繁殖の歴史に名を刻みこんだホッキョクグマなのである。私は彼を大いに賞賛している。そしてその偉大なる彼に会うためにこれからもモスクワ動物園に戻って来るだろう。

Olympus OM-D E-M1 Mark II
LEICA DG VARIO-ELMARIT 50-200mm / F2.8-4.0 ASPH.
Panasonic HC-W870M
(Aug.7 2019@モスクワ動物園)
by polarbearmaniac | 2019-08-08 04:30 | 異国旅日記

モスクワ動物園で見るウランゲリとムルマの不調和

a0151913_5135943.jpg
ムルマさん、ウランゲリさん、こんにちは! お元気そうで何よりでございます。
a0151913_58436.jpg
なんのかんの言ってもやはりモスクワ動物園には自然と足が向いてしまう。
a0151913_595777.jpg
夏期だけあって平日でも来園者は多い。
a0151913_505285.jpg
雌(メス)のムルマ(手前)と雄(オス)のウランゲリ(奥)はモスクワ動物園においては今まで繁殖上のペアではなかった。しかし両者共に年齢的に繁殖からは引退している身であるため、こうして同居がなされている。
a0151913_5222418.jpg
このムルマ(左)とウランゲリ(右)は実はあまり相性が良いとは言えない。
a0151913_519681.jpg
ウランゲリ(奥)はムルマ(手前)を、かなりばかにしているところがあるのだ。
a0151913_5293934.jpg
このウランゲリの本来のパートナーはシモーナである。彼とシモーナとの相性が抜群なのだがシモーナが繁殖から引退させられてしまったので自動的にウランゲリも繁殖からは引退状態である。ちなみにウランゲリとシモーナの相性の良さについては2014年9月20日のモスクワ動物園訪問時の投稿である「モスクワ動物園が世界に誇るシモーナとウランゲリの名ペアの成功の理由の一端を垣間見る」を是非ご参照頂きたい。こういったシモーナとウランゲリとの姿を見ている私にとっては、ウランゲリの現在の状態は見ていてかなり気になってしまうのだ。
a0151913_5341485.jpg
このウランゲリはムルマなどの相手をしてやる気など、さらさらないのである。「せめて俺の邪魔だけはしないでくれ」と彼は言いたいのだろう。
a0151913_5401981.jpg
ムルマはそれほど気の強いホッキョクグマではないのでウランゲリと同居していると、いささか委縮気味である。


ウランゲリとムルマ、そのそれぞれの別の暮らし - Wrangel and Murma the Polar Bears, going in each way of their own at Moscow Zoo, Russia, on Aug.7 2019.


飼育展示場を歩き回るムルマ - Murma the polar Bear walking around at the exhibit of Moscow Zoo, Russia, on Aug.7 2019.

a0151913_6503622.jpg
機嫌の悪そうなウランゲリである。ホッキョクグマがこうして鼻を曲げている時は不満を感じている時なのである。
a0151913_6523899.jpg
Olympus OM-D E-M1 Mark II
LEICA DG VARIO-ELMARIT 50-200mm / F2.8-4.0 ASPH.
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
Panasonic HC-W870M
(Aug.7 2019@モスクワ動物園)
by polarbearmaniac | 2019-08-08 04:00 | 異国旅日記

カテゴリ

全体
Polarbearology
しろくま紀行
異国旅日記
動物園一般
Daily memorabilia
倭国旅日記
しろくまの写真撮影
旅の風景
幻のクーニャ
エッセイ、コラム
街角にて
未分類

最新の記事

アルマトイ動物園へ ~ アリ..
at 2019-09-20 23:30
ロシアからカザフスタンへ ~..
at 2019-09-19 23:55
ノヴォシビルスク動物園 第三..
at 2019-09-18 23:00
ノヴォシビルスク動物園 第三..
at 2019-09-17 23:45
ノヴォシビルスク動物園を二ヶ..
at 2019-09-16 23:45
成田からノヴォシビルスクへ ..
at 2019-09-15 23:30
秋のロシアと欧州へ
at 2019-09-15 08:15
ロシア・イジェフスク動物園の..
at 2019-09-15 01:00
ベルリン動物公園のヘルタ、そ..
at 2019-09-14 02:00
スコットランドのハイランド野..
at 2019-09-13 03:00

以前の記事

2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月

検索

ブログパーツ

  • このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます。

ライフログ


人生と運命 1


スターリン―青春と革命の時代


モスクワは本のゆりかご


私のモスクワ、心の記憶


自壊する帝国 (新潮文庫)


甦るロシア帝国 (文春文庫)


嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)


ロシア 春のソナタ、秋のワルツ-1999-21st


それからのエリス いま明らかになる鴎外「舞姫」の面影


ミチコ・タナカ 男たちへの讃歌 (新潮文庫)


わがユダヤ・ドイツ・ポーランド―マルセル・ライヒ=ラニツキ自伝


ベルリン戦争 (朝日選書)


Hof――ベルリンの記憶


カチンの森――ポーランド指導階級の抹殺


北京烈烈―文化大革命とは何であったか (講談社学術文庫)


慟哭の通州――昭和十二年夏の虐殺事件


主題と変奏―ブルーノ・ワルター回想録 (1965年)


藤田嗣治 異邦人の生涯


Barle's Story: One Polar Bear's Amazing Recovery from Life As a Circus Act


Lenin's Tomb: The Last Days of the Soviet Empire


Resurrection: The Struggle for a New Russia


Hotel Adlon: Das Berliner Hotel, in dem die grosse Welt zu Gast war


Ein seltsamer Mann


Alma Rose: Vienna to Auschwitz


St Petersburg: A Cultural History


Gulag