街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

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今年一年ご訪問の皆様への心よりの感謝 ~ “Die Lieb' und ach, das Leid...”

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アンデルマ (Белая медведица Амдерма/Eisbärin Amderma)
(2017年7月15日撮影 於 ロシア、ペルミ動物園)

今年一年、当ブログを御訪問いただい皆様方に深く感謝申し上げます。正直申し上げましてまさか今年は12月31日まで本ブログを投稿し続けることができるとは思ってもいませんでした。極めて健康状態の悪い一年でしたので、そもそも12月31日まで生きていられるとは思わなかったというわけです。そういった意味では本日の御挨拶の投稿ができることを神仏に感謝したいわけですが、しかし一方で追い詰められ続ける日本のホッキョクグマ界を直視していかなければならなかったという点で非常に複雑な気持ちにもなるのです。所詮本ブログは私がいくつかの情報に基づいて考えたことを個人的に書き続けているものに過ぎません。しかし世界のホッキョクグマ界から流れてくるニュースは底の方で繋がっている重要な要素があるわけです。いくつかのニュースは見えない部分で繋がっているわけです。そこのところは決して見逃さないというのが本ブログ開設者の自負でもあり、それを見えるものとして提示したいというのが私の本意でもあります。そういった認識の下でかなり思い切った発言はこれからも行うでしょう。日本の飼育下のホッキョクグマたちは我々が考えている以上に遥かに危機的状態にあります。彼らは今後の世代にわたっての維持が極めて困難な状況なのです。そういった彼らの姿を見続けていかねばならない男の「悲哀のモノローグ」として本ブログの記述を受け取っていただくのが正しいでしょう。
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故メンシコフ (Белый медведь Меньшиков/Eisbär Menshikov)
(2014年9月14日撮影 於 レニングラード動物園)

健康状態が許せば来年2018年は国内外ともに長い旅行をしたいと考えています。毎週末にどこかに出かけていくといった以前のような短いスパンでの旅は体力的に難しいからです。その点で長期の旅行ならば体調を管理・維持しながらゆっくりと歩き回れる点で私には可能だろうと思うからです。ですから来年2018年は国内でしたら北海道、東北、関西といった地域を時間をかけて回りホッキョクグマたちと何日も向かい合いたいと願っています。3月あたりから活動を再開できればうれしく思います。国外でしたらやはり欧州とロシア、そしてアメリカでしょう。

それから、本ブログへの投稿を毎日継続していくことはやはりかなり難しいとも思っています。ホッキョクグマに関する話題ならば世界のどこかでいくつもあるわけですが、やはり重要なものに限定していきたいとも思っています。しかし私としては本ブログの更新はいつ止めても良いと思っている、というよりは毎日を「今日が人生最後の日だ」と思うようにすると充実した人生を過ごせる気がするいうのが本音のところです。

今年一年、本当にありがとうござました。 それでは皆様、よいお年をお迎え下さい!




"Im Frühling" 「春に」 (作曲: F.シューベルト 詩: E.シュルツェ)
Br. ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ
pf. スヴャトスラフ・リヒテル

by polarbearmaniac | 2017-12-31 00:30 | Polarbearology

アメリカ、ミルウォーキー動物園のスノウリリーが33歳となる ~ 寂しさの漂うお祝い会

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スノウリリー (Snow Lilly the Polar Bear) 
Image:Milwaukee County Zoo

アメリカ・ウィスコンシン州のミルウォーキー動物園で飼育されている雌(メス)のホッキョクグマであるスノウリリー (Snow Lilly) が33歳となり、それを祝って飼育員さんが12月5日に彼女にプレゼントを送りました。彼女は全米で二番目の高齢のホッキョクグマとなるはずです。彼女は先日ニューヨークのブロンクス動物園で亡くなったタンドラの母親にあたるわけです。このスノウリリーはブロンクス動物園で暮らしていた時代にタンドラを出産しているわけですが2005年にブロンクス動物園からミルウォーキー動物園に移動してきたというわけです。このスノウリリーの誕生祝いの映像を見てみましょう。下をワンクリックしていただくと映像の開始画面に移ります。
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上の映像で気が付くのですが、このスノウリリーが誕生日を祝ってもらっている場所はまるでかつて京都市動物園で故ポールが暮らしていた場所を思い出させます。多分これはスノウリリーの体調を考えてあえて狭い場所で行ったということでしょう。しかも来園者の姿が見えませんのでおそらく飼育員さんだけが彼女の誕生日を祝ってやったという内輪の会だったようです。二年前の彼女の31歳の誕生会の映像を下で見ることができますが、その時は通常の飼育展示場で行われています。



現在このミルウォーキー動物園ではスノウリリーしか飼育されていませんので高齢の彼女が亡くなってしまえばホッキョクグマが不在となってしまうのです。かつては多くのドラマが演じられたこのミルウォーキー動物園ですが本当に寂しい状態になりつつあるようです。飼育下のホッキョクグマの頭数が減っていくということは、要するにこういう状態の動物園が増えていくということなのです。

(資料)
Milwaukee County Zoo (Dec.6 2017 - Happy Birthday Snow Lilly!)
fox6now.com (Dec.5 2017 - Zookeepers celebrate the 33rd birthday of Snow Lilly at Milwaukee County Zoo)

(過去関連投稿)
ホッキョクグマが堀に落ちたらどうなるか?(その2)(前) ~  動物園の危機管理
ホッキョクグマが堀に落ちたらどうなるか?(その2)(後)~ 堀に居座ったホッキョクグマ
アメリカ・ノースカロライナ動物園のアキーラがデトロイト動物園へ ~ 急ピッチの欧米の施設新築
アメリカ・ミシガン州、デトロイト動物園に移動したアキーラの姿
米・ノースカロライナ動物園のウィルヘルム、ミルウォーキー動物園へ一時移動 ~ 彼のサーカス団時代の境遇
アメリカ・デトロイト動物園のアキーラが施設改修工事が終了したノースカロライナ動物園に戻る
アメリカ・ノースカロライナ動物園のアキーラが改修後の展示場に元気に登場 ~ 「マニトバ基準」 を考える
アメリカ・ノースカロライナ州アッシュボロのノースカロライナ動物園のアキーラが急死
アメリカ・ノースカロライナ州 アッシュボロのノースカロライナ動物園の苦悩 ~ 主のいない新展示場
アメリカ・ウィスコンシン州、ミルウォーキー動物園のウィルヘルム、苦難を越えて28歳で生涯を閉じる
by polarbearmaniac | 2017-12-31 00:15 | Polarbearology

"Polar Bear(s) of the Year (2017)" in Japan

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イコロとキロルの双子兄弟 (Ikor and Kiroru the Twin Polar Bears)
(2011年2月5日撮影 於 おびひろ動物園)

当ブログでは毎年の年末に米国のタイム(TIME)誌にあやかってその年の日本のホッキョクグマ界で最も活躍したり話題になったりした日本のホッキョクグマの “Polar Bear of the Year” in Japan を選んでいます。今年もこの “Polar Bear of the Year(2017)” in Japan を選ぼうと思います。今年はイコロ (恩賜上野動物園)とキロル(釧路市動物園)という双子兄弟を選ぶという例年とは異なる変則的な選出となります。

さて実は毎年そうなのですが、この選定は非常に難しい場合がほとんどです。日本のホッキョクグマ界というのは変化に乏しいわけで欧州のホッキョクグマ界のようなドラマといったものがほとんどありません。ですから一年目立って活躍したり話題になったりしたホッキョクグマとなると前年に誕生した赤ちゃんとその母親といったものがノミネートされる以外は難しいのです。今年に関しては「該当なし」というのが正解だと思いますが、それでもあえて選んでおこうと思います。今年(2017年)はイコロとキロルという共に9歳となった双子兄弟を挙げておくことにします。彼らが今年活躍したというわけではないものの、この双子兄弟を今年のホッキョクグマにしたのは以下の理由からです。

10月に「上野のイコロ、釧路のキロルの繁殖能力に漂う大きな暗雲」という投稿を行っています。まずそれを再度御参照いただきたく思います。私はこの投稿を行った時点では、これはマイナーな問題であり日本のホッキョクグマ界全体から考えれば大した話ではないと考えていました。しかしそれから時が経過するにつれて、これはマイナーな問題ではなく実はかなり深刻な問題ではないかと次第に考えるようになってきたというわけです。確かにララファミリー全体から考えれば大した話ではりません。しかし視点を変えて日本のホッキョクグマ界全体での繁殖という視点で考えればこれは決して大した問題ではないと軽視するわけにはいかないようです。何故なら雄(オス)と雌(メス)という性別個体構成と血統構成のアンバランスが日本には存在しているからなのです。まず彼らのパートナーであるデアとミルクは日本における若年個体に勢力を急拡大してきた「アンデルマ/ウスラーダ系(カザン血統)」ではありません。つまり彼女たちは少なくとも日本のホッキョクグマ界では血統の孤立度が高く貴重な個体であるということになるわけです。ところがイコロやキロルが仮に繁殖能力に不足があった場合には彼女たちの血統の孤立度の優位性を活かすことができなくなってしまうという問題になるわけです。なにしろ日本のホッキョクグマ界の若年層には雄(オス)の個体が不足しているわけですから、イコロやキロルが繁殖に寄与できなければこれは深刻な問題となるのです。「デアが飼育展示場に復帰しました」「ミルクが飼育展示場に復帰しました」といったニュースが毎年1月初旬に延々と繰り返されるという悪夢が十分に想定できるということになるのです。さらに気になるのは「イコロ/デア」「キロル/ミルク」というのは仮に将来、パートナー交代の問題が提起されたとしても、おいそれとはいかない事情のある動物園で飼育されているということです。

最悪のケース、つまり「イコロとキロルには繁殖能力がない」といった場合を今のうちから想定して将来を見据えていくしかありません。我々ファンの側にできることはこの双子兄弟に対して可能な限りの声援を送る程度のことなのですが、声援は成功を導くものではありません。日本のホッキョクグマ界はますます厳しい状況になってきているのです。そういったことを今一度提起してくれたという点でイコロとキロルという双子兄弟を今年の“Polar Bear(s) of the Year” in Japan に選ばざるを得ないということです。

(過去関連投稿)
Polar Bear of the Year (2009)
Polar Bear of the Year (2010)
Polar Bears of the Year (2011)
Polar Bear of the Year (2012)
"Polar Bear of the Year (2013)" in Japan
"Polar Bear of the Year (2014)" in Japan
"Polar Bear of the Year (2015)" in Japan
"Polar Bear(s) of the Year (2016)" in Japan
上野のイコロ、釧路のキロルの繁殖能力に漂う大きな暗雲
by polarbearmaniac | 2017-12-30 15:00 | Polarbearology

ウィーンのシェーンブルン動物園の飼育展示場にタリン動物園から来園したノラが登場する

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ノラ (Eisbärin Nora) Photo(C)Tiergarten Schönbrunn

エストニアのタリン動物園で2013年11月に誕生した雌(メス)のノラ (Nora) はオーストリアの首都であるウィーンのシェーンブルン動物園に移動した件はすでにご紹介していました。そのノラはこれまで室内で新しい担当飼育員さんとの良好な関係を築き、27日に初めてシェーンブルン動物園の東側の飼育展示場に姿を見せたとのことです。ノラはそれまで暮らしていたタリン動物園の狭い旧飼育展示場からシェーンブルン動物園の広い展示場に出たわけですが最初は非常に警戒した様子で臭いなどを嗅ぎながら手探りの感じで動いていたものの次第に慣れていったそうです。非常に落ち着いた態度であったようです。その日の映像をシェーンブルン動物園が公開していますので見てみましょう。



この日は西側の飼育展示場には雄(オス)のランツォと雌(メス)のリンという共に六歳の若いペアがいたそうですが、この二頭はノラが到着してからはその存在に気が付いていたそうです。ノラが最初の登場が終わって室内に戻ったとところで東側の飼育展示場と西側の飼育展示場が全てランツォとリンに開放されたそうですがこの二頭はしきりにノラの残した臭いを嗅ぎまわっていたそうです。シェーンブルン動物園としてはノラにこういった屋外での単独の行動を許し、次の段階として室内での他の二頭との視覚のみによる接触を行う段階に進む予定だと述べています。やがて三頭同居というところまで持って行くつもりでしょう。この実際の狙いはランツォとリンのペアを解消させてランツォとノラというペアに入れ替えたいということに間違いないわけです。何故ならランツォとリンは共に「ロストック系」であるためにペアとしては好ましくないからです。シェーンブルン動物園のこれからのお手並み拝見といったところです。

(資料)
Tiergarten Schönbrunn (Dec.28 2017 - Nora erkundet Außenanlage)
Heute (Dec.28 2017 - Eisbärin auf Spaziergang im Tiergarten Schönbrunn)
ORF (Dec.28 2017 - Neue Eisbärin erkundet Schönbrunn)

(過去関連投稿)
エストニア・タリン動物園のノラのハロウィーン ~ ノラを愛するタリンの人々の願い
エストニア・タリン動物園のノラがウィーンのシェーンブルン動物園へ ~ ロシアではなく欧州を向いた同園
エストニア・タリン動物園のノラのハロウィン ~ 生まれ故郷での最後のハロウィン
エストニア・タリン動物園のアロンの満一歳の誕生会、そしてノラの故郷での最後の誕生会
エストニア・タリン動物園のノラのウィーンへの旅立ち ~ 父親の生まれ故郷に向かうノラ
エストニア・タリン動物園のノラがウィーンのシェーンブルン動物園に無事到着
by polarbearmaniac | 2017-12-30 02:00 | Polarbearology

ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃん、生後三週間となり遂に両目を開く

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Photo(C)Tierpark Berlin

ドイツ・旧東ベルリンのフリードリヒスフェルデにあるベルリン動物公園で12月7日にトーニャお母さんから誕生した赤ちゃんですが生後三週間になっています。そしてとうとう両目を開いたことを同園は明らかにしました。産室内の様子がまた公開されましたので見てみましょう。



両耳も外耳道が開いて赤ちゃんは外界の環境を認識しつつあるそうです。このトーニャお母さんはもともと旧西ベルリンにあるベルリン動物園の故クヌートのパートナーとなるべくモスクワ動物園からロストフ動物園を経由してベルリンにやってきたわけですが、その到着の前にクヌートは悲劇的な死を遂げ、結局クヌート/トーニャのペアは実現しませんでした。仮に実現していればどのようなことになったかについては想像の世界の話になってしまうわけです。こういった事情からトーニャはクヌートのいた旧西側のベルリン動物園ではなく旧東側のベルリン動物公園で暮らすようになったということです。ベルリン動物園の前園長だったブラスキエヴィッツ氏はベルリン動物園の園長時代に非常に直截的なものの言い方で多くのクヌートファンから手厳しい批判を受けた人だったわけですが、しかしクヌートのパートナーを獲得すべくしっかりとロシア側と交渉していたわけです。やはり大した人だったと思います。なにしろブラスキエヴィッツ氏はペルミ動物園まで出かけて行ってアンデルマに会い、そして彼女の子供を入手すべくペルミ動物園の園長さんと交渉して承諾の返事をもらったほどなのです。ただしアンデルマはそのあとには出産に至らずアンデルマの子供がベルリン動物園にやってくるということはありませんでした。

ちなみに旧東ベルリンのベルリン動物公園 (Tierpark Berlin) と旧西ベルリンのベルリン動物園 (Zoologischer Garten Berlin) は現在では経営が一体化されています。トーニャ親子のいるのはベルリン動物公園、クヌートがいたのはベルリン動物園です。この二つの場所は非常に離れています。

(資料)
Tagesspiegel (Dec.29 2017 - Schau mir in die Augen, Kleiner)

(過去関連投稿)
ベルリン動物公園がトーニャの出産準備体制へ ~ 自ら産室に入ったトーニャの出産は間近か?
ベルリン動物公園でホッキョクグマの双子の赤ちゃん誕生! ~ 一頭は死産でもう一頭は生存中
ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃん、元気に生後四日目が経過
ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃんが生後一週間を無事に経過
ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃんが無事に生後十日目を経過 ~ 1992年撮影の謎の映像は故ホクトの姿か?
ベルリン動物公園のホッキョクグマ担当主事による解説のライブ中継が行われる
ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃんが順調に推移 ~ 授乳間隔が広がり始める
by polarbearmaniac | 2017-12-30 01:00 | Polarbearology

今年2017年の日本のホッキョクグマ界を振り返って ~ 急務となるララの娘たちのパートナー選び

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リラ (Lilas the Polar Bear)
(2015年10月24日撮影 於 札幌・円山動物園)

今年も押し詰まってきました。ここで今年2017年の日本のホッキョクグマ界を振り返ってみたいと思います。

一言で言えば全くの無風状態だったということです。ただしかし、訃報はありました。6月26日に浜・八景島シーパラダイスのユキヒメが亡くなったということです(「横浜・八景島シーパラダイスのユキヒメ逝く ~ 鶴首された繁殖成功への夢を果たせぬままの悲運の死」)。長年繁殖の成功を期待されながらそれがなされなかったということは残念でなりません。赤ちゃんの誕生に関しては断言はできないものの今年は誕生はなかった(のではないか)と思います。今年は世界のホッキョクグマ界全体を見渡してみてもこれまでに実績のあった大物の母親たちのほとんど全てが繁殖に挑まなかったという特異なシーズンだったわけですが、今まではそういった大物の母親たちの繁殖挑戦の多少にかかわらず「ホッキョクグマの神様」は見事に帳尻を合わせて誕生個体の数の極端な増減は見られなかったのです。ですから私は今年こそが今まで実績の挙げられなかった日本の動物園の雌(メス)の出産成功には大きなチャンスがあるだろうと考えていたわけです。ところがさすがの「ホッキョクグマの神様」も今年のシーズンばかりは如何ともし難かったようです。客観的に言ってもこれは惨状以外の何物でもありません。

今年の日本のホッキョクグマ界での最大のニュースといえばやはり札幌の円山動物園の新飼育展示場である「ホッキョクグマ館」の完成でしょう。ただしかしやはり遅きに失した感があることは否めません。同園の新飼育展示場における新しいドラマの展開を期待したいところですが日本のホッキョクグマ界自体が細ってきておりドラマの新しい主役を演じる個体の登場はおいそれとは望めない状況です。つまり、ララの娘たちのパートナーになりうる雄(オス)の個体の導入が極めて難しいのです。

ララの子供たちのパートナー獲得について私は今まで幾度も具体的な提言を行ってきたつもりですが、ただしかしかしその私にも一つの大きな考え違いをしていたことを認めざるを得ません。どういうことかと言えば、ララの子供たちのうちで生まれた順番でパートナーを獲得すべきであるといった考え方です。こういった考え方のもとで私はツヨシのパートナー獲得を最優先課題であると認識してしまったことです。「順番に、まずはツヨシからなんとかせねばならない。次にピリカである。」といった発想が根底にあったことです。これが私の大きな間違いでした。ツヨシというのは「特殊な空間」に存在しているホッキョクグマだったわけです。「特殊な空間」は周囲の「特殊な人々」の存在によって成立していたわけです。本ブログは海外の情報を非常に多く紹介してきたつもりでし、そうしてきたことの根底には「日本のホッキョクグマ界は世界のホッキョクグマ界の一部である」という認識だからなのです。ところが「特殊な空間」やら「特殊な人々」やらは世界のホッキョクグマ界からは、はみ出た存在なのです。ツヨシの繁殖問題などは最初から無視しておくのが正解でした。
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ララとリラ (Lara the Polar Bear and her female cub Lilas)
(2015年10月24日撮影 於 札幌・円山動物園)

本ブログを開設したのは2009年の暮れですが、2010年代以降ララはアイラ、マルル、ポロロ、リラと立て続けに雌(メス)を出産してきたわけですが、こういったララの娘たちについては彼女たちが母親ララのもとを離れて1~2年以内に必ず具体的なパートナーを選択するという発想を持って提言しておくべきでした。そしてララの娘たちのパートナーはロシアに求めるべきだったのです。具体的に言えば2009年生まれのサイモンとサムソンの双子兄弟(母親はウスラーダ)、2011年生まれのロモノーソフ(母親はウスラーダ)、ヴァロージャ(母親はシモーナ)、萌宠(母親はムルマ)、2013年生まれのニッサン(母親はドゥムカ)、2014年生まれのハバル(母親はシモーナ)、2015年生まれのシェールィとビェールィの双子兄弟(母親はドゥムカ)、こういったロシア生まれの雄(オス)の個体の入手に注力を注ぐべきだったろうと思います。もちろんそれぞれのケースには大きな障害が存在しているわけですしこういった雄(オス)の個体の血統問題(つまり「アンデルマ/ウスラーダ系(カザン血統)」であるということ)は存在しているわけですが、そういったことはともかくとして入手のために円山動物園は恥や外聞などかなぐり捨てて大きく声を挙げるべきだったのです。特に2011年生まれの萌宠はロシアが国外の動物園に単純売却した最後の個体だったわけで、円山動物園は彼を是が非でも入手してアイラのパートナーとして確保しておきべきでした。しかも萌宠は母親がムルマであり「アンデルマ/ウスラーダ系(カザン血統)」ではなかったのです。そうしたほうがよいと私は提言すべきだったと思っています。しかしそうできなかったのは同園の園長さんが話の分かるSさんから別の人に交代していたということと、「アンデルマ/ウスラーダ系(カザン血統)」のプリンスである旭川のイワン、そしてウスラーダに寵愛された仙台のラダゴル(カイ)の存在があったためです。彼らは世界的にも繁殖能力の高さにおいて定評のある「アンデルマ/ウスラーダ系(カザン血統)」のなかにおいても期待できる個体でありイワンやラダゴル(カイ)は何頭もの子供たちの父親となる可能性は非常に大きく、そうなればララの娘たちのパートナーと血統的に重複して次の世代のパートナーの組み合わせに大きな障害となるだろうという危惧の念からだったわけです。ところが世界に冠たる「アンデルマ/ウスラーダ系(カザン血統)」の堂々たる雄(オス)たち、つまりイワン(旭川)、ホクト(姫路)、ラダゴル(カイ - 仙台)、ピョートル(ロッシー - 静岡)、ゴーゴ(白浜)といったメンバーで子供がいるのはゴーゴだけだ(それもモモというたった一頭)という惨憺たる事実に我々は直面しているわけなのです。そうならばさらに「アンデルマ/ウスラーダ系(カザン血統)」を日本に追加導入しても次世代における障害が増加する危険性は以前考えていたよりもそれほど大きくはないような気がするのです。
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リラ (Lilas the Polar Bear)
(2015年10月24日撮影 於 札幌・円山動物園)

こういったことから導き出される結論は、「現時点において円山動物園の最優先課題はリラのパートナーの獲得である」ということになるのです。ララの娘たちは年長の個体からパートナーの獲得を考えるというのは間違いであり、その時その時にすぐに求めていく必要があったということなのです。そこでリラのパートナーとして真っ先に浮かんでくるのがノヴォシビルスク動物園生まれのロスチク(2015年生まれ)の存在です。何故なら「ロシア・ノヴォシビルスク動物園で二歳となったロスチク ~ 欧州行きの可能性は消えた模様」という投稿で述べましたようにロスチクは欧州のEEPを形成する個体群には入れず欧州行は消えてしまったことがほぼ確実だからです。しかしさすがに私にはロスチク入手をためらうことなく提言するわけにはいかないのです。彼の母親であるゲルダの血統問題が無視できないからです。これを明らかにするためにはたった一つの方法があります。それは日本でだけでも可能なのです。つまり、男鹿の豪太と大阪のシルカをDNA鑑定によってこの二頭の血族関係の有無を明らかにすることです。血族関係があればシルカの母親であるゲルダの血統については血統登録情報が誤りで私の仮説が正しいことを意味します。血族関係がないのであれば血統登録情報は正しく私の仮説は誤りであることを意味するわけです。仮に豪太とシルカに血族関係があるのであれば円山動物園は何が何でもロスチクを入手してリラのパートナーにすべきでしょう。姉妹都市関係を最大限に利用して札幌市長からノヴォシビルスクのローコチ市長に話をもっていき、そしてノヴォシビルスク動物園にアプローチすべきです。全ての状況証拠を総合すれば豪太とシルカに血族関係は存在しているはずなのです。つまりゲルダの母親は血統登録情報のようにシモーナではなく、私の仮説のようにムルマであるはずなのです。しかし仮に豪太とシルカのDNA鑑定でこの二頭に血族関係が無かった場合は実に厄介なのです。この場合はロスチク入手は断念するのがやはり正解だと思います。

昨年一か月間の旅行中に私はロシアの動物園関係者のOBの方と長く話す機会がありました。ホッキョクグマについても詳しい方でした。その方は私にこう言ったのです。「あなたはモスクワ動物園などがホッキョクグマの血統登録を意図的に事実とは異なる情報で登録したり事務上のミスで結果的に事実ではない登録を行っていると主張していることを私だけでなくロシアの動物園の同僚何人もがあなたの主張を知っていますが、そのあなたの主張は間違いです。”これこれこうだからこうしておくべきだ” ということで血統登録が行われているのであり、それが仮に万が一に実際の血統を反映していない場合があっても悪意があってなされていることではなく、事務上のミスなどでもないのですよ。 あなたは批判する相手を間違えていますし、批判そのものも公正ではありません。」ということでした。つまり、ゲルダは実際にシモーナの娘であるかどうかは問題ではなく、シモーナの娘であったほうが都合が良いということなのでしょう。要するにこれはロシアにおいては「大人の世界」の問題のようです。「あれこれ余計なことを言うな」ということのようです。ただしかしホッキョクグマは生身の存在ですので、やはり繁殖のためのパートナー選びには事実としての血統を知る必要があるわけです。ロシアはこれまで自国の動物園で誕生した個体はそのほとんど全てがロシア国外に移動してしまったわけですから血統登録情報が仮に実際の血統を反映していなくてもロシアではさほど困らないわけですが、そういった個体を受け入れた側の国の動物園ではこれでは繁殖に支障のある場合が生じてくるのです。

かなり話しが横にそれてしまいました。ともかく、来年の日本のホッキョクグマ界には変化を期待したいところです。

(過去関連投稿)
今年2012年の日本のホッキョクグマ界を振り返って ~ 真の 「開国」 となるか?
今年2013年の日本のホッキョクグマ界を振り返って ~ 漠然とした期待感の中で封印されてきたもの
今年2014年のホッキョクグマ界を振り返って ~ 世界のホッキョクグマ界における日本の現在の位置確認
今年2015年の日本のホッキョクグマ界を振り返って ~ ホッキョクグマたちが描いた絵巻物
阿蘇・カドリー ドミニオンのカアチャン亡くなる ~ 国内最高齢(1983年誕生) が実は真相だった
周南市・徳山動物園のユキが亡くなる ~ 「永遠の若さ」を抱いて星の彼方へ....
名古屋・東山動植物園のオーロラ逝く ~ 「生活感」に溢れた現実主義的ホッキョクグマの死
今年2016年の日本のホッキョクグマ界を振り返って ~ 訃報以外は「心地よき停滞状態」の一年?
(*シリーズ 「ロシア血統の謎」に迫る)
「ロシア血統の謎」に迫る(1) ~ ラスプーチン、ゲルダ、血統番号2893個体の三頭の謎を追う
南フランス・アンティーブ、マリンランドの「国際ホッキョクグマの日」~ "Savoir-vivre au Marineland"
「ロシア血統の謎」に迫る(2) ~ 日本ホッキョクグマ界最大の謎「イワンとホクトすり替り説」に挑む (前)
「ロシア血統の謎」に迫る(3) ~ 日本ホッキョクグマ界最大の謎「イワンとホクトすり替り説」に挑む (後)
「ロシア血統の謎」に迫る(4) ~ 横浜・ズーラシアのジャンブイの誕生・血統の真相を探る
「ロシア血統の謎」に迫る(5) ~ ジャンブイ(横浜・ズーラシア)の幼年時代の映像が示す深い謎
「ロシア血統の謎」に迫る(6) ~ エカテリンブルク動物園のアイナを巡る同園の奇怪な事実誤認
by polarbearmaniac | 2017-12-30 00:30 | Polarbearology

札幌・円山動物園のデナリが新飼育展示場(ホッキョクグマ館)に登場 ~ 同園の馴致訓練の戦略を推理する

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デナリ (Белый медведь Денали/Denali the Polar Bear)
(2013年4月7日撮影 於 札幌・円山動物園)

札幌の円山動物園に完成した新飼育展示場(ホッキョクグマ館)に12月26日に訓練の目的でデナリが初めて登場したことを円山動物園は報じています。その様子はこちらを御参照下さい。なかなか快調のようです。最後の写真が素晴らしいと思います。こういったものは写真よりも映像で見たほうがよくわかるのですが、そこまで同園に要求するつもりはありません。ホッキョクグマたちを新しい場所に入れたときの様子を撮影した映像は今まで数多く本ブログでも紹介してきました。そういったものの中から改めて三例を再びご紹介しておきます。こういった場合のホッキョクグマの行動というのはだいだい同じようなものです。

最初はイギリスのヨークシャー野生動物公園の飼育展示場に初めて登場したヘラブルン動物園から来園したノビの様子です(2016年2月)。



次はやはり同じヨークシャー野生動物公園の飼育展示場に初めて登場したイジェフスク動物園から来園したニッサンの様子です(2015年10月)。



次はドイツのハノーファー動物園に登場したモスクワ動物園から来園したミラーナの様子です(2017年3月)。これなどはかなり落ち着いているように見えます。



ちなみに新しく完成した新飼育展示場で一般公開前にホッキョクグマを出してみた様子をライブ中継した動物園があります。それが今年の9月のエストニアのタリン動物園であり、新飼育展示場のオープン前にホッキョクグマたちをその場所に慣らそうといった目的で行われたわけですから今回の札幌のデナリとはほぼ同種のケースでした。ただしこのタリン動物園の映像は母親のフリーダと息子のアロン(当時まだ一歳になっていませんでした)の初登場の映像ですから、むしろこれから札幌で行われるララとリラの母娘の初登場の場面に近いでしょう。案の定、母親のフリーダは初めての場所に非常に神経質になっています。下をワンクリックして下さい。
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なにしろララは人一倍警戒心の強いホッキョクグマです。デナリのようにすんなりとはいかないでしょう。しかしそういったことよりも重要なのは同園がこの新しい飼育展示場で今後どのような繁殖に向けての展望を持っているかということです。複数ペアでの繁殖を狙うということを以前には述べていましたので、それは旧世代(ララ+デナリ)と新世代(ララの娘たち+他園からの個体)という二つの組み合わせなのか、それとも二つの新世代ペアでの繁殖を試みるのかということが不明のままです。そしていずれにせよ遅かれ早かれ登場する新世代のペアはどういった組み合わせになるのかというような展望こそに興味があるわけです。またキャンディに新飼育展示場への移動訓練を行うのかどうかについては未定のままなのも気になります。キャンディに新飼育展示場での訓練が行われないことの理由を推測してみれば、デナリとキャンディとの間の繫殖の最後の試みが行われるのではないか(その是非の問題は脇に置いておきます)といった理由が考えられます。そうだとすればキャンディには慣れ親しんだ旧飼育展示場の産室を使ってもらうほうが成功の確率は高いと考えていておかしくはありません。ということはララとリラの新飼育展示場での訓練が開始されるという1月中旬にデナリはララ親子と交代してキャンディとのペアリングのためにこの新飼育展示場から再び旧展示場に復帰して旧飼育展示場でキャンディとの同居が試みられるというシナリオが想定できるのです。少なくともこう考えればキャンディの新飼育展示場での訓練のスケジュールが未定であることの説明はつくと思います。この新飼育展示場(ホッキョクグマ館)が一体いつから正式に開館するのかは発表されていませんが、いずれにせよ一般へのオープンの日に姿を見せるのはララとリラの親子であることはほぼ間違いないでしょう。

(資料)
札幌・円山動物園 (Dec.27 2017 - 施設紹介 ホッキョクグマ館)
円山動物園ブログ (Dec.27 2017 - 初めてのホッキョクグマ館)
by polarbearmaniac | 2017-12-29 01:00 | Polarbearology

ニューヨーク・ブロンクス動物園のタンドラが亡くなる ~ ニューヨーク(NYC)にホッキョクグマが不在となる

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タンドラ (Tundra the Polar Bear) Photo(C)AP

ニューヨークのブロンクス動物園のブレーニー園長が明らかにしたところによりますと同園で飼育されていた26歳の雄(オス)のホッキョクグマであるタンドラ (Tundra) が先週の土曜日に腎臓疾患のために安楽死の処置がとられて亡くなったとのことです。検死のよればタンドラは関節炎もかなり進行していたとのことです。

このタンドラはブロンクス動物園の生まれで、それ以来ずっとこの動物園で暮らしてきました。血統を調べてみましたところ彼はクリーヴランドのメトロパークス動物園の故スノウボールの孫に当たります。ということは彼は旭川のサツキの甥(おい)にあたるということになります。故スノウボールの血統も本当に少なくなってきてしまったわけです。それだけではなく、アメリカの大都市であるニューヨーク市 (NYC - New York City) にはこれでホッキョクグマは全ていなくなってしまったということになるわけです。ニューヨーク州 (State of New York) にはまだホッキョクグマがいます。ここで生前のタンドラの姿を見ておきましょう。





タンドラの死に謹んで哀悼の意を捧げます。

(資料)
NBC New York (Dec.27 2017 - NYC's Only Polar Bear Is Euthanized Due to Kidney Failure)
New York's PIX11 (Dec.27 2017 - Bronx zoo’s polar bear euthanized)
amNY (Dec.27 2017 - Tundra, Bronx Zoo’s polar bear, euthanized as last of its kind in New York City)

(過去関連投稿)
ニューヨーク・ブロンクス動物園のタンドラに対する無邪気で荒唐無稽な批判意見
by polarbearmaniac | 2017-12-28 19:30 | Polarbearology

熊本市動植物園のマルルの預託期間が2019年1月まで延長へ

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マルル(右)とポロロ(左) - Marle(R) and Porolo(L) the Polar Bear twin cubs at Sapporo Maruyama Zoo, in Sep. 2013
(2013年9月8日撮影 於 札幌・円山動物園)

熊本の地元メディアが報じるところによりますと熊本市動植物園で飼育されている5歳の雌(メス)のホッキョクグマであるマルルの札幌・円山動物園よりの預託期間が2019年1月22日まで延長されることになったそうです。
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マルル (Marle the Polar Bear cub at Sapporo Maruyama Zoo, in Sep. 2013) (2013年9月8日撮影 於 札幌・円山動物園)

記事によりますとその延長要請の理由として挙げられているのが「園で1頭だけのホッキョクグマでもある」ということだそうですが、現在世界の動物園でホッキョクグマを飼育下でどのようにして繁殖させていくかといった問題意識のもとで個体配置が行われている現状から考えれば、こういった理由は成り立ち得ないというのが先進国の共通認識です。ましてや対象が5歳となった雌(メス)のホッキョクグマならば尚更です。

(資料)
熊本日日新聞 (Dec.28 2017 - 動物園のマルル、また1年会える 熊本での飼育期間を延長)

(過去関連投稿)
一年ぶりの熊本、マルルの成長を追って ~ 「天恵のホッキョクグマ」の待機期間
熊本市動植物園のマルルを想う
熊本市動植物園のマルルが一年八か月ぶりに一般公開 ~ 「熊本のマルル」という不幸度のバロメーター
by polarbearmaniac | 2017-12-28 18:00 | Polarbearology

とくしま動物園のポロロの預託期間が2019年1月まで延長へ ~ 繁殖可能年齢となったポロロ

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ポロロ(左)とマルル(右)- Porolo(L) and Marle(R), the Polar Bear twin cubs at Sapporo Maruyama Zoo in Sep. 2013
(2013年9月8日撮影 於 札幌・円山動物園)

とくしま動物園より昨日12月27日に同園で飼育されている5歳になったばかりの雌(メス)のホッキョクグマであるポロロの札幌・円山動物園よりの預託期間が一年間延長されることとなったことが明らかにされ、徳島新聞の本日12月28日付報道によりこれが報じられました。これは予想されたことでありとりたてて驚くべきことではありません。札幌・円山動物園に完成した新飼育展示場における今後の繁殖計画、そして日本の動物園におけるホッキョクグマの繁殖に関する長期展望が明らかになっていないという状況では今回の預託契約の延長は十分に予期できたことです。とくしま動物園はホッキョクグマを飼育している日本の動物園の中ではエンリッチメントに関して最も考慮され、そして行き届いた手法で行われている動物園です。「預けて安心」「まかせて安心」という動物園なのです。マルルとポロロの双子姉妹は引き離さずに一緒にこの動物園に預けられるべきだったでしょう。
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ポロロ (Porolo the polar Bear cub at Sapporo Maruyama Zoo in Sep.2013) (2013年9月8日撮影 於 札幌・円山動物園)

とくしま動物園はエンリッチメントの質の点でホッキョクグマを飼育している日本とロシアの全ての動物園を凌駕し、欧米の数少ないエンリッチメントについて深い考察と実践を行っている少数の動物園に肩を並べるだけの資格があるというのが私の評価です。一方で、欧米のいくつかの動物園のように飼育展示場自体が自然を活かした膨大な広さがあり飼育環境が非常に恵まれているがためにエンリッチメントにそれほど労力を割く必要がないというのも事実であることから考えれば飼育環境の優秀さ(特に飼育展示場の面積の広さ)とエンリッチメントとの間はトレードオフの関係にあるといった側面があることも考慮せねばなりませんが。

さてここで以前から見てきた「週刊ポロロ通信」の映像で最近のポロロの様子を見ておきましょう。まず9月の映像ですがポロロの体が丸みを帯びて美しくなっていることがわかります。



次は11月の映像ですが9月の映像と比較するとポロロはスリムでやや薄毛の以前のポロロに戻ったような印象も受けます。



次の二つの映像は12月になってのものですが上の映像と基本的には同じような印象を与えます。





給餌量やら季節やらでポロロの姿もいろいろな変化があるということでしょう。

(資料)
とくしま動物園 (Dec.27 2017 - 「今年最後のポロロ日和とお知らせ」(2017年12月27日))
徳島新聞 (Dec.28 2017 - ポロロ、貸与期間1年延長 とくしま動物園

(過去関連投稿)
熊本市動植物園のマルル、とくしま動物園のポロロの預託期間が1年延長へ ~ Polar Bears on call
とくしま動物園のポロロの成長を追う「週刊ポロロ通信」を称える ~ 世界で最も優れた若年個体の成長記録
とくしま動物園のポロロの成長を追う「週刊ポロロ通信」に見るポロロの質的な成長 ~ 母親ララを凌いだ技術
とくしま動物園のポロロの成長を追う「週刊ポロロ通信」の平凡な映像が伝える雄弁さ
とくしま動物園のポロロの預託期間が2018年1月まで延長となる ~ 札幌の新施設との関係で読めぬ今後の動向
とくしま動物園のポロロへの「三次元的エンリッチメント」
とくしま動物園のポロロの充実した成長 ~ 潜在的能力をうまく引き出した同園のエンリッチメント
by polarbearmaniac | 2017-12-28 15:00 | Polarbearology

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