街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

プロフィールを見る

<   2018年 02月 ( 40 )   > この月の画像一覧

ウィーンのシェーンブルン動物園のリンがデンマークのコペンハーゲン動物園へ ~ いとこ同士のペアの解消

a0151913_11314431.jpg
リン (Eisbärin Lynn) Photo(C)Tiergarten Schönbrunn

オーストリアの首都ウィーンのシェーンブルン動物園では2月27日に「国際ホッキョクグマの日」の前日にさりげなく一つのニュースを公式に明らかにしました。それは、同園で飼育されている6歳の雌(メス)のリン (Lynn) が三月初旬にデンマークのコペンハーゲン動物園に移動することになったというニュースです。この移動が意味することは明白です。それは、現在まで彼女の(将来の) 繁殖上のパートナーとしていた6歳の雄(オス)のランツォはリンとはいとこの関係にある、同じ「ロストック系」だからです。

EAZAのコーディネーターはランツォがフィンランドのラヌア動物園から、そしてリンがオランダ・レネンのアウヴェハンス動物園からいずれもシェーンブルン動物園に移動してきた時点からこのペアの将来的な解消を狙っていたことに間違いありません。そんなことなら何故この二頭を最初からシェーンブルン動物園に移動させたのかという疑問は残りますが、その理由はラヌア動物園とアウヴェハンス動物園は次の繁殖のためにこの二頭を他園に移動させる必要があったもののEAZAのコーディネーターがその移動先の選定に非常に苦労したために、とりあえずこの二頭をシェーンブルン動物園に移したというのが真相であるということです。特にラヌア動物園の園長さんがEAZAのコーディネーターに大きくプレッシャーをかけたことは周知の事実でした。しかしとうとうEAZAのコーディネーターはタリン動物園から4歳の雌(メス)のノラをシェーンブルン動物園に移動させることに成功し、そしてノラとランツォの相性は悪くないといった感触をつかんだ上でリンをコペンハーゲン動物園に移動させてリンとランツォという「ロストック系」同士のペアを解消させることに成功したわけです。そしてシェーンブルン動物園ではノラとランツォという新しいペアが形成されることになったわけです。
a0151913_23332224.jpg
ノラ (Eisbärin Nora) Photo(C)Tiergarten Schönbrunn

次の映像ではシェーンブルン動物園の園長さん(多分)が「国際ホッキョクグマの日」の意義について語り、そしてシェーンブルン動物園ではノラとランツォが繁殖を担っていくことになったことを話しています。



実のところ私の予想では、雌(メス)のリンをシェーンブルン動物園に残して彼女のパートナーは現在イギリスのヨークシャー野生動物公園で暮らしている4歳の雄(オス)のニッサン(「アンデルマ/ウスラーダ系(カザン血統)」)になるのではないかと思っていました。以前にニッサンがロシアのイジェフスク動物園からモスクワを経由してヨークシャー野生動物公園に移動した時に、このニッサンの所有権を獲得したのはおそらくシェーンブルン動物園ではないかという推測を述べたのはこれが理由だったからです。ランツォをシェーンブルン動物園に残したくない理由は、彼の両親であるヴィーナスと故マナッセは共通の祖父を持っているためです。そういったランツォとリンは今度は共通の祖母と共通の祖父を持つペアとなるとすればかなりの問題ですからランツォとリンのペアの解消は当然としても、その解消の仕方はランツォをウィーンに残すのではなくリンをウィーンに残すやり方が行われるだろうと思っていたからです。リンを「追い出す」よりもランツォを「追い出す」ほうが欧州のホッキョクグマ界全体から考えればより一層、血統面では有利となるはずだからです。

いずれにせよ、欧州ではホッキョクグマの繁殖のための再配置を決めるのはEAZAのコーディネーター(アメリカではAZAのSSPの繫殖推進委員会の座長)であり、それは「推薦 (recommendation)」という用語で行われるわけです。「決定 (decision)」という用語を用いないのは、たとえば個体の所有権を持つ動物園がその権利を主張して拒否することが可能であるからです。しかし「拒否」すればその個体が将来の繁殖上のパートナーを得ることは事実上不可能となります。ですから、「推薦」という用語を用いても実質的には「決定」を同じ意味を持つわけです。こういった個体の再配置を「推薦」するのはEAZAのコーディネーター(アメリカではAZAのSSPの繫殖推進委員会の座長)に一元化されているわけで、自治体の首長や企業の思惑は排除されているわけです。それは当然でしょう。

(資料)
Tiergarten Schönbrunn (Feb.27 2018 - Internationaler Eisbärentag)
Heute (Feb.26 2018 - Eisbären genießen die Kältewelle im Wiener Zoo)

(過去関連投稿)
オーストリア・ウィーンのシェーンブルン動物園でのランツォとリン ~ 「ロストック系」の若年個体の悩み
エストニア・タリン動物園のノラがウィーンのシェーンブルン動物園へ ~ ロシアではなく欧州を向いた同園
エストニア・タリン動物園のノラのハロウィン ~ 生まれ故郷での最後のハロウィン
エストニア・タリン動物園のアロンの満一歳の誕生会、そしてノラの故郷での最後の誕生会
エストニア・タリン動物園のノラのウィーンへの旅立ち ~ 父親の生まれ故郷に向かうノラ
エストニア・タリン動物園のノラがウィーンのシェーンブルン動物園に無事到着
ウィーンのシェーンブルン動物園の飼育展示場にタリン動物園から来園したノラが登場する
ウィーンのシェーンブルン動物園の飼育展示場に慣れつつあるノラ ~ 期待されるウィーンでの繁殖
by polarbearmaniac | 2018-02-28 23:45 | Polarbearology

ロシア・ノヴォシビルスク動物園の「国際ホッキョクグマの日」

a0151913_329287.jpg
カイ(クラーシン - 左)とゲルダ(右) 
Photo(C)ВЛАД КОМЯКОВ/Комсомольская правда

ロシア・西シベリアにあるノヴォシビルスク動物園では「国際ホッキョクグマの日 (Международный день белого медведя)」のイベントは昨日の2月27日に行われました。現在は同居中のカイ(クラーシン)とゲルダには午後3時から特別給餌がありました。ノヴォシビルスク動物園ではこの日のために大きなプラスチックの缶とか道路工事用のコーンとかの提供を来園者に事前に求めていました。下に映像を二つご紹介しておきます。二番目の映像は画面をワンクリックして下さい。


a0151913_2493242.jpg

「国際ホッキョクグマの日」の2月27日はペアによっては繁殖行動期に入っている場合がありますのでこういった時期にイベントを行うというのは微妙な場合があります。そもそもこの日は本来では、ホッキョクグマの生態に悪影響を与える温暖化を防止するために私たちが身近でできることを考えるといった趣旨が重要な部分であり、アメリカの動物園ではそういう考え方です。
a0151913_2575311.jpg
カイ(クラーシン - 左)とゲルダ(右) Photo(C)НГС.НОВОСТИ

上の映像を見るとカイ(クラーシン)とゲルダのペアはさすがに迫力があることがよくわかります。彼らと比較すると日本のホッキョクグマは何か「吹けば飛ぶようなホッキョクグマ」といった印象すら持ちます。津語の映像はこの日のロスチクです。





彼の将来はどうなるのか、現時点ではなかなか予想は難しいです。ともかく、もう少し事態の進展を見守るしかありません。地元ノヴォシビルスクのファンにしてみれば、彼は冬には雪のある場所で暮らしてほしいというのが本音のところでしょう。

(資料)
НГС.НОВОСТИ (Feb.27 2018 - Новосибирцы подарили канистры белым медведям из зоопарка)
Комсомольская правда (Feb.27 2018 - В Новосибирском зоопарке отметили Международный день полярного медведя)

(過去関連投稿)
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の「国際ホッキョクグマの日」 ~ ゲルダ親子を愛する「草の根のファン」
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダとロスチク、親子としての一つの「完成形」を達成か?
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクが母親ゲルダと別居となる ~ シルカもいた同園内の別の場所へ
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の「二つの愛の心」 ~ "Два любящих сердца"
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクが母親ゲルダと別居となる ~ シルカもいた同園内の別の場所へ
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクの別居は安全上の理由と同園は説明 ~ 移動先決定は難航か?
ロシア・ノヴォシビルスク動物園でゲルダとクラーシン(カイ)の同居が始まる ~ 従来の繫殖方針維持
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクの欧州への移動は2018年以降の可能性が高い?
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のホッキョクグマ飼育展示場にガラスフェンスが設置の予定 ~ 減じる魅力
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクの近況から、彼の今後の移動問題を考える
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のシロ園長がロスチクの移動問題について語る ~ 決断できぬ欧州側
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の「カイとゲルダ」の最近の話題 ~ このペアの名前の由来の真相を考える
ロシア・ノヴォシビルスク動物園が開園70周年を祝う ~ ホッキョクグマ飼育展示場に人工雪製造機が導入
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクの待機続く ~ 移動先候補にフランスのセルザ動物園が急浮上か?
ロシア・ノヴォシビルスク動物園で本格的な冬の到来を待つホッキョクグマたち ~ 「美しさ」への視点
ロシア・ノヴォシビルスク動物園で二歳となったロスチク ~ 欧州行きの可能性は消えた模様
ロシア・ノヴォシビルスク動物園での2014年のゲルダとシルカの親子の思い出のページ
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の動物たちの暮らしを記録し続ける常連の来園者に大きな賞賛の声
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のホッキョクグマたちの冬の日の光景 ~ 掴めぬロシア国内の繁殖計画の情報
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のカイ(クラーシン)とゲルダのさらなる挑戦
by polarbearmaniac | 2018-02-28 06:00 | Polarbearology

ロシア動物園水族館連合(СоЗАР)がモスクワを中心としたホッキョクグマの国内外の個体移動を映像で紹介

a0151913_19581022.jpg
シモーナと三つ子の子供たち (Белая медведица Симона и медвежата) (2012年9月22日撮影 於 モスクワ動物園)

ロシア動物園水族館連合 (СоЗАР - Союз Зоопарков и Аквариумов России)が、飼育下のホッキョクグマの繁殖について欧州のEAZA (European Association of Zoos and Aquaria - 欧州動物園水族館協会)との協力関係について紹介する素晴らしいプロモーション映像を公開していますのでご紹介しておきます。冒頭で挨拶しているのはモスクワ動物園のスヴェトラーナ・アクーロヴァ園長で、ロシアの動物園で飼育されている個体がEAZAのホッキョクグマの繁殖計画に協力する形での個体再配置の意義について語っています。以下をワンクリックしていただくと映像の開始画面に飛びます。
a0151913_17101430.jpg

この映像では以下の個体移動が映像で紹介されています。

①(開始後1分30秒から)野生孤児ニカのチュクチ半島からモスクワ動物園(ヴォロコラムスク附属保護施設)への移動

②(開始後1分55秒から)アイオンのモスクワ動物園(ヴォロコラムスク附属保護施設)からイジェフスク動物園への移動

③(開始後2分30秒から)野生孤児ウムカ - アヤーナのサハ共和国からモスクワ動物園(ヴォロコラムスク附属保護施設)への移動

⑤(開始後3分41秒から)ミラーナのモスクワ動物園(ヴォロコラムスク附属保護施設)からドイツ・ハノーファー動物園への移動

⑥(開始後4分7秒から)ノルドのイジェフスク動物園からデンマーク・コペンハーゲン動物園への移動

⑦(開始後4分53秒から)シェールィとビェールィのイジェフスク動物園からハンガリー・ブダペスト動物園への移動

⑧(開始後6分18秒から)スネジンカ(スネジャナ)のモスクワ動物園からハンガリー・ソスト動物園への移動

....いやはや、実にダイナミックな個体再配置です。上の全ての移動に関しては、その経緯や意味するところを全て当ブログでは詳しく投稿しています。ノヴォシビルスク動物園のロスチクも当初はこの大規模な移動計画の中に入っていたのですが結果としては外れてしまったわけです。

さて、こういったダイナミックな映像を見ますとホッキョクグマの繁殖に関してロシアと欧州との間に密接な協力関係が構築されているように見えます。つまり欧露間での飼育下のホッキョクグマの囲い込み体制が構築されてしまっているようにも見えます。そしてそういったことについて私は以前にも投稿していましたし、日本の動物園にはもうそこに入り込む余地などないと考えたわけです。しかしその後のいくつかの情報から推察するに、要するに鉄壁に見える欧露間の繁殖協力体制は実はそうではないらしいということがわかってきました。そういったことはいくつかの点において垣間見えるわけですが、一例としてまず上の映像はあくまでロシア側(ロシア動物園水族館連合、特にモスクワ動物園)が自分たちの実績を誇示している「自画自賛」の性格が強いと感じます。欧州とロシアは決して対等ではなく、欧州は血統面を考慮したホッキョクグマの入手先をロシアに求め、そしてロシアは単に欧州にそういった個体を配給しているにすぎないのです。本当の意味での対等の協力関係ならば欧州からロシアに移動する個体があっておかしくないにもかかわらず、そういった個体は一頭もいないのです。もちろん欧州には「EEP構成個体群」という概念があって、この個体群に属する個体はEAZAの飼育基準(マニトバ基準ではありません)を満たした場所で飼育せねばならないわけです。そういった基準を満たす動物園がロシア国内にないために欧州からロシアへの個体移動はないのだというのが一つの説明としてあるわけですが、しかし明らかに欧州の「ロストック系」の個体は多くなりすぎて欧州内では繁殖に寄与できず、従ってロシアに移動するという選択肢は有力なものとして有り得るはずなのです。ところがそれがなされない....つまり欧州の新規個体需要に対してロシアはそれを欧州に供給しているというだけの話なのです。これは全く非対称の関係であると言えましょう。
a0151913_2005613.jpg
シモーナと三つ子の子供たち (Белая медведица Симона и медвежата)(2012年9月22日撮影 於 モスクワ動物園)

こういった状態、つまりロシア動物園水族館連合は欧州のEAZAとホッキョクグマの繁殖に関しての密接な協力関係を構築したと自賛しているにもかかわらず実相は極めて非対称な関係であることが明らかであるわけですから、私は日本の動物園はロシアと欧州との協力関係の中に入り込むことは可能であると現在では考えるに至っています。つまり、ロシア動物園水族館連合を主導するモスクワ動物園に対していかに有効なアプローチができるかにかかっているのです。日本の動物園(とくに札幌)は、欧州と直接何かを行おうとするのではなくロシア(モスクワ)を介してアプローチするのが有効であろうと思います(モスクワ動物園を介さずに入手できる個体はノヴォシビルスク動物園のロスチクだけでしょう)。ただし日本の動物園は円山動物園の新飼育展示場に匹敵するだけの規模のある飼育展示場を新設する必要があるでしょう。仙台と横浜(ズーラシア)に関しては現在のもので大丈夫だと思います。

私は facebook などのSNSのアカウントを紹介するということは絶対やらない主義なのですが(そもそもこれは一般的にも禁じ手です)、今回は例外として一つ素晴らしい ものをご紹介したいと思います。ロシア動物園水族館連合 (СоЗАР - Союз Зоопарков и Аквариумов России)の facebook のアカウント内のコミュニティに "Группа Белые медведи России /Polar bears of Russia" (ロシアのホッキョクグマたち)という公開グループが、ごく最近立ち上げられました。これは主にロシアの飼育下のホッキョクグマや野生のホッキョクグマをトピックにして応援するグループだと思います。メンバーはまだまだ少数です。このグループの最初の記事がペルミ動物園のアンデルマがセリクとミルカ(ユムカ)の母親代わりとなって幼い二頭の面倒をみて、そしてアンデルマの終末期にはこの二頭はアンデルマにそれまでの恩返しでもするかのように彼女の面倒を見ていたというペルミ動物園の飼育主任の方の投稿です。この記事の内容は感動的で実に素晴らしいと思います。  ....ということで、御興味のある方は覗いてみて下さい。

(過去関連投稿)
モスクワ動物園が、今後ロシア国内で誕生の個体はロシア国内と欧州だけで飼育の意向を表明
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のホッキョクグマたちの冬の日の光景 ~ 掴めぬロシア国内の繁殖計画の情報
by polarbearmaniac | 2018-02-27 20:00 | Polarbearology

ドイツ・ゲルゼンキルヘン動物園で誕生の赤ちゃんの性別は「雌(メス)」と判明

a0151913_045504.jpg
赤ちゃんの性別判定と健康診断、予防接種
Photo(C)ZOOM Erlebniswelt Gelsenkirchen

ドイツのルール地方にあるゲルゼンキルヘン動物園で昨年2017年の12月4日に13歳の雌(メス)のラーラ (Lara) が産んだ赤ちゃんですが、先週の水曜日に同園お獣医さんによって性別判定と健康診断が行われ、その結果は雌(メス)だったとのことです。

赤ちゃんをララお母さんから引き離すことはスムーズにできたそうです。ラーラお母さんを食べ物で産室の横の部屋におびき出してドアを閉めてしまうといった簡単な方法で親子を引き離したそうですが、親子共に大きな声を上げたものの数分間で獣医さんの仕事は完了したとのこと。その後に親子を再び一緒にしたとそうです。性別判定だけではなく体重測定、予防接種も行なわれたとのことで、獣医さんは「赤ちゃんを手で抱えて健康状態のチェックを行いましたが、赤ちゃんの見事な成長と健康状態に異常が無かったことは忘れ難い気持ちでした。」と語っています。下は最も最近の産室内の映像です。ワンクリックして下さい。
a0151913_2243418.jpg

(資料)
WAZ (Feb.26 2018 - Das Gelsenkirchener Eisbärbaby ist ein Mädchen)
Parkerlebnis.de Freizeitpark-Magazin (Feb.26 2018 - Eisbär-Baby in Gelsenkirchener ZOOM Erlebniswelt ist ein Mädchen – aber noch namenlos)
Bild (Feb.26 2018 - Eisbärbaby in Zoom Erlebniswelt ist eine SIE)

(過去関連投稿)
ドイツ・ゲルゼンキルヘン動物園でホッキョクグマの三つ子の赤ちゃん誕生! ~ 一頭が元気に成育中
ドイツ・ゲルゼンキルヘン動物園で誕生の赤ちゃん、無事に生後二週間が経過
ドイツ・ゲルゼンキルヘン動物園で誕生の赤ちゃん、順調に生後一ヶ月へ ~ 両目が開く
ドイツ・ゲルゼンキルヘン動物園で誕生の赤ちゃん、生後五週間が無事に経過
ドイツ・ゲルゼンキルヘン動物園の赤ちゃんが生後六週間を無事に通過 ~ 赤ちゃんに体を密着させる母親
ドイツ・ゲルゼンキルヘン動物園で誕生の赤ちゃん、無事に生後50日が経過
ドイツ・ゲルゼンキルヘン動物園で誕生の赤ちゃんが生後二カ月半となる ~ 母親の育児の安定感
by polarbearmaniac | 2018-02-27 01:30 | Polarbearology

ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園での「国際ホッキョクグマの日」

a0151913_353128.jpg
ウスラーダ (Белая медведица Услада) 
Photo(C)Ленинградский зоопарк
a0151913_16331144.jpg
ハールチャーナ (Белый медвежонок Хаарчаана)
Photo(C)Ленинградский зоопарк

ロシア・サンクトぺテルブルクのレニングラード動物園では2月25日の日曜日に「国際ホッキョクグマの日」の催しものが行われました。今年に関してはホッキョクグマたちへの特別給餌といったものはなかったようです。レニングラード動物園ではホッキョクグマについての講演とか飼育員さんのガイド、そして子供たち向けのクイズやゲームといったものがあったようです。非常に地味な企画ですが非常に啓蒙的で足が地についているといった試みのように思います。

同園で飼育されているのは今更言うまでもなく30歳となったウスラーダと1歳の雌(メス)のハールチャーナという二頭です。ハールチャーナはロシア北東部のヤクーツク動物園で生まれ昨年12月にレニングラード動物園に移動してきたというわけです。そのハールチャーナの日曜日の様子を報じた地元のTVニュースがありますのでご紹介しておきます。下をワンクリックして下さい。

a0151913_15242356.jpg

(*追記)ハールチャーナの様子をい報じる映像が入ってきましたので下に御紹介しておきます。ハールチャーナがウスラーダの横の飼育展示場に移るのは当初は春頃が予定されていたものの、その場所に追加の工事が行われることになったため、移動は幾分延期となり夏頃までにということになったそうです。


飼育員さんに言わせるとこのハールチャーナはなかなか適応力に優れて個体であるという趣旨の話をしています。ここで一昨年2016年と昨年2017年のレニングラード動物園での「国際ホッキョクグマの日」の様子をまたご紹介しておきます。子供たちへのクイズやゲームといったものがどのようなものかもわかります。最初のニュースの中では故メンシコフの偉大な姿も写っています。その他はウスラーダの姿です。





こういった素朴なイベントは日本の子供たちはあまり興味を持たないかもしれません。

(資料)
Ленинградский зоопарк (Feb.25 2018 - 25 февраля в Ленинградском зоопарке пройдет «Международный день белого медведя»)
Телеканал «Санкт-Петербург» (Feb.25 2018 - В Ленинградском зоопарке отметили Международный день белого медведя. Репортаж)
(*追加資料)
Якутия 24 (Feb.27 2018 - День полярного медведя: как поживает Хаарчаана в Ленинградском зоопарке)
НВК САХА (Feb.27 2018 - День полярного медведя: как поживает Хаарчаана в Ленинградском зоопарке)

(過去関連投稿)
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園のウスラーダが満30歳となる
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園でハールチャーナ到着の日のウスラーダの姿
ロシア・サンクトペテルブルクのレニングラード動物園に到着したハールチャーナの姿
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園でハールチャーナの引き渡し式が行われる
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園のハールチャーナへの市民の関心の高さ
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園がハールチャーナのパートナー探しに早々と着手へ
by polarbearmaniac | 2018-02-27 00:30 | Polarbearology

札幌・円山動物園でのララとリラの新飼育展示場への初登場の様子を報じた映像



札幌の円山動物園では新飼育展示場である「ホッキョクグマ館」が3月に一般にオープンされる予定になっていますが、それに向けてすでにデナリはその場所に慣れ親しむ訓練を終え、現在はララとリラの親子がその場所で毎日を過ごしています。その様子については前回、「札幌・円山動物園のララとリラが新飼育展示場である「ホッキョクグマ館」に非公開で登場」という投稿で触れています。このララ親子が旧飼育展示場の横にある暫定的なセルから新飼育展示場に移動させる過程をまとめた映像が地元TV局の番組で紹介されています。それを冒頭お映像で見てみることにしましょう。さすがにララの警戒心が如何なく発揮されたようです。そしてとうとう1月25日にこの親子は新飼育展示場に姿を見せたというわけです。

正直言いますと、たっぷりとした雪の上に駆け出すリラの姿を見ていますと一つ前に投稿した大阪のシルカが可哀想になってくるほどです。しかしこればかりは気候の違いで如何ともし難いことです。欧州の動物園でもスカンジナヴィア諸国の動物園やスコットランドの動物園を除けば、冬期にこれだけ安定的な雪が存在している動物園はありません。ロシアの動物園もやはり雪があります。日本の動物園が欧州の動物園に対抗しようとすれば、こういった雪の存在を広くアピールするのがよいと思います。「飼育下のホッキョクグマの飼育基準には冬期の雪の存在はあるのですか?」と問えば、オランダやドイツの動物園は黙ってしまうでしょう。

さて、この札幌の新施設ですが、私としてはタムロンの 18-400mm F/3.5-6.3 Di II VC HLD というレンズを使用するのが適しているような気がします。接近した姿や遠方の姿を一本のレンズで撮ろうとすればやはりこのレンズかなと思うのですが....。

(*後記)冒頭の番組の続きが後日放送されていますのでご紹介しておきます。


(資料)
H B Cテレビ「きょうは、円山動物園」(Feb.25 2018 - 1月15日の取材

(過去関連投稿)
札幌・円山動物園の「新ホッキョクグマ飼育展示場」が竣工 ~ その経緯と意義を考える
札幌・円山動物園で完成の「ホッキョクグマ館」が報道関係者に公開される
札幌・円山動物園のデナリが新飼育展示場(ホッキョクグマ館)に登場 ~ 同園の馴致訓練の戦略を推理する
札幌・円山動物園のララとリラが新飼育展示場である「ホッキョクグマ館」に非公開で登場
by polarbearmaniac | 2018-02-26 12:35 | Polarbearology

大阪・天王寺動物園での「国際ホッキョクグマの日」 ~ シルカに雪のプレゼント

a0151913_9415447.jpg
Photo(C)あべの経済新聞

大阪の天王寺動物園で昨日2月25日に「国際ホッキョクグマの日」のイベントとしてシルカに北海道の雪のプレゼントがありました。その映像がありますので見てみましょう。



予想以上の喜び方のように思います。北海道の動物園ならばホッキョクグマたちは冬には雪をたっぷりと楽しんでいるのですが、東北地方を除いて本州や四国、九州に暮らすホッキョクグマたちにとってはこうした雪は不意打ちのプレゼントです。とりわけシベリアのノヴォシビルスクで生まれたシルカにとっては、久々の雪の感触だったと思います。ノヴォシビルスク動物園での雪の上でのシルカの姿を振り返っておきましょう。音声は必ずonにして下さい。





上の映像を見てみますと今更ながらゲルダお母さんの超大物振りがわかります。これぞロシアのホッキョクグマといった感じです。

(資料)
あべの経済新聞 (Feb.26 2018 - 天王寺動物園のホッキョクグマ「イッちゃん」にファンが雪のプレゼント)

(過去関連投稿)
ロシア、ノヴォシビルスク動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生! ~ ロッシーの双子兄弟が父親となる
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園で誕生の赤ちゃん、ゲルダお母さんと共に初めて戸外へ!
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園で戸外に登場したゲルダお母さんと赤ちゃんの追加画像
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃんの戸外映像 ~ ゲルダとクラーシンの幼年時代
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃんの戸外映像追加 ~ 絵になる親子
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園で誕生の赤ちゃんの性別は雌(メス)と判明
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園のゲルダお母さんと雌の赤ちゃんの週末
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園の雌の赤ちゃんの名前の公募始まる
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園の雌の赤ちゃんの近況  ~ 名前公募の一次募集が終了
ロシア、ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃんの選考候補名が決まる ~ なんと"ミユキ" (美雪)も候補に
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃんの命名決定投票の中間結果が発表される
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園の雌の赤ちゃんの名前が 「シルカ」 に決定
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園の6歳のゲルダお母さんの育児に同園が高い評価を与える
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園のゲルダお母さんと娘のシルカの展示場にライブカメラ設置!
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園のライブカメラ映像に見るゲルダお母さんとシルカとの関係
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のシルカの入手を狙う日本の動物園 ~ 売却金額は三千万円前後か?
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園のゲルダお母さんとシルカとの関係を探る ~ 映像分析は難解
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園のゲルダお母さんと娘のシルカのライブ映像が大人気
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園のゲルダ親子の展示場改修工事が終了 ~ 映像配信再開へ
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園のシルカの旅立ちの日近づく ~ 移動先は日本の動物園か?
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダとシルカの母娘が本日突然永遠の別れ ~ ゲルダお母さんの動揺
ロシア・ノヴォシビルスク動物園で別離したゲルダお母さんと娘のシルカの近況 ~ 母娘共に依然として動揺
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園のゲルダとシルカの母娘をめぐってシロ園長の発言
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園で母親と別離したシルカの奇妙な常同行動への同園の解釈
ロシア、ノヴォシビルスク動物園でクラーシン(カイ)とゲルダの再会、同居開始の光景に割れる市民の意見
「ホッキョクグマ飼育マニュアル(Care Manual)」よりの考察(11) ~ 母子をいつ引き離すか
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園のシロ園長が批判する近年の欧米の 「三年サイクルの繁殖」
ロシア、ノヴォシビルスク動物園のシルカの今春来日が決定的! ~ 日本の動物園との契約の締結が完了
ロシア、ノヴォシビルスク動物園のシルカは3月に来日の模様 ~ 地元のファンのシルカへの熱い想い

(2014年9月ノヴォシビルスク動物園訪問記)
◎2014年9月11日(木曜日)訪問
・リバーパークホテルからノヴォシビルスク動物園へ ~ ホッキョクグマたちに御挨拶
・容姿端麗なゲルダお母さん、その娘への態度に見る子育て初体験の初々しさ ~ 育児スタイルを模索中
・シルカ、順調に成長を遂げるその素顔
◎2014年9月12日(金曜日)訪問
・ノヴォシビルスク動物園訪問二日目 ~ ゲルダお母さんとシルカの不安定な関係
・ゲルダの将来への道のりと課題 ~ 一頭の母親と一頭の雌の二役の演技の動機となっているもの
・シルカ、その聡明かつ醒めた知性が発散する魅力 ~ ミルク、マルル、ポロロを超える逸材か?
・クラーシン(カイ)の性格とその素顔 ~ 双子兄弟のピョートル(ロッシー)との違い
◎2014年9月13日(土曜日)訪問
・ノヴォシビルスク動物園訪問三日目 ~ "Pour que Gerda et Shilka soient heureuse..."
・シルカちゃん、ゲルダさん、クラーシン君、お元気で! そしてまた会う日まで!
by polarbearmaniac | 2018-02-26 08:30 | Polarbearology

ロシア北東部・サハ共和国、ヤクーツク動物園の「国際ホッキョクグマの日」

a0151913_2133564.jpg
コルィマーナ Photo(C)Якутский зоопарк «Орто дойду»

「国際ホッキョクグマの日 (Международный день белого медведя/ International Polar Bear Day/)」は毎年2月27日なのですが多くの動物園ではこの日の最も直前の週末の土曜日、または日曜日にこの日のためのイベントが行われる傾向が強いです。ロシア連邦サハ共和国のヤクーツク動物園では土曜日の2月24日に展示やクイズなどの子供向けのイベントがあり翌日25日の日曜日にマイナス30℃の気温のなかでホッキョクグマたちの好物が入った氷のケーキのプレゼントを与えるイベントがあったそうです。その様子を報じている地元TV局のニュース映像を見てみましょう。



やはり気温のせいか来園者はあまり多くはなかったようですが、来園者にはヤクーツク動物園の動物たちが写真で登場しているカレンダーのプレゼントがあったそうです。
a0151913_22225685.jpg
Photo(C)Якутский зоопарк «Орто дойду»

このヤクーツク動物園で飼育されているのは言うまでもなく野生孤児出身の現在は6歳の雌(メス)のコルィマーナ、そしてウスラーダの息子である同じく6歳の雄(オス)のロモノーソフです。このペアの間に2016年の11月30日に誕生したのが現在サンクトペテルブルクのレニングラード動物園で昨年12月から暮らすようになった一歳の雌(メス)のハールチャーナです。このペアは今年2018年のシーズンにさらに繁殖に挑戦していくわけですが、二頭共にこの若さでたいしたものだと思います。私は2012年の9月にレニングラード動物園でウスラーダとロモノーソフの親子の姿をかなり観察できたのですがロモノーソフには確かに「偉大なホッキョクグマ」となるような片鱗は見えたものの、やはりウスラーダの母親としての姿の方に圧倒されてしまったという印象の方が強かったです。ロモノーソフというのは母親であるウスラーダに非常に従順な態度を見せていたですね。ウスラーダというのは子供たちに対して圧倒的な権威を持って接するわけで、とりわけ彼女の息子たちは母親のいうことをよく聞いて付き従っていたという感じを強く持ちます。

報道によれば、ヤクーツク動物園でのコルィマーナとロモノーソフの同居開始は3月8日からになるそうです。その日にはイベントを開催するということを同園は語っています。

(資料)
НВК Саха (Feb.25 2018 - Колымана и Ломоносов отмечают свой праздник)
“Якутия 24” (Feb.25 2018 - Колымана и Ломоносов отмечают свой праздник)
News.Ykt.Ru (пресс-релиз) (Feb.26 2018 - Белые медведи Колымана и Ломоносов в ожидании воссоединения полакомились ледяным тортом)
YakutiaMedia (Feb.26 2018 - В марте у белых медведей Колыманы и Ломоносова начнется брачный сезон)

(過去関連投稿)
ロシア・ヤクーツク動物園のハールチャーナが11月にサンクトペテルブルクのレニングラード動物園へ
ロシア・サハ共和国、ヤクーツク動物園のハールチャーナが間もなく満一歳へ
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園がヤクーツク動物園のハールチャーナの12月来園を告知
ロシア北東部 ヤクーツク動物園のコルィマーナが娘ハールチャーナとの別れが迫ったことを直感的に理解
ロシア北東部 ヤクーツク動物園のハールチャーナが満一歳となる ~ ゲルダ/シルカの先例を危惧する同園
ロシア・ヤクーツク動物園のハールチャーナが本日ヤクーツクから予想外の出発 ~ 親子の永遠の別れの唸り声
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園でハールチャーナ到着の日のウスラーダの姿
ロシア・サンクトペテルブルクのレニングラード動物園に到着したハールチャーナの姿
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園でハールチャーナの引き渡し式が行われる
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園のハールチャーナへの市民の関心の高さ
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園がハールチャーナのパートナー探しに早々と着手へ
by polarbearmaniac | 2018-02-26 00:30 | Polarbearology

アメリカ・ウィスコンシン州、ヘンリー・ヴィラス動物園のスーカーが繁殖目的で他園に移動へ

a0151913_18554737.jpg
スーカー (Suka the Polar Bear) Photo(C)Henry Vilas Zoo

2月27日の火曜日は「国際ホッキョクグマの日」ですが、アメリカ合衆国ウィスコンシン州のマディソン市にあるヘンリー・ヴィラス動物園では24日の土曜日にそれが祝われ、そして同時に同園で飼育されている5歳の雌(メス)のスーカー (Suka) が繁殖目的で同園から他園に移動することが直前になって明らかにされたために24日の土曜日はスーカーのお別れ会も兼ねられるということになったそうです。

スーカーの移動はAZAのSSP (Species Survival Plan) による移動ですが、どの動物園に移動するかについてはヘンリー・ヴィラス動物園の担当者もまだ知らされていないようで、移動の時期は数週間後になる模様です。スーカーの移動決定に関する地元局のニュース映像をご紹介しておきます。



次のニュースは以下をワンクリックして下さい。
a0151913_19283639.jpg

スーカーは2012年11月にオハイオ州のトレド動物園であのクリスタルという全米でも屈指の母親から双子の一頭として生まれています。もう一頭は雄(オス)のサカーリであり彼は現在バッファロー動物園でルナのパートナーとして暮らしています。さて、このスーカーがどの動物園に移動するかに注目が集まります。通常で考えればセントルイス動物園に移動して同じ年齢のカリーとペアを組むというのが最も考えられる可能性です。しかし私はそうはならないのではないかとも思うのです。何故ならスーカーの双子のもう一頭のサカーリはバッファロー動物園で人工哺育されたルナとペアを組んでいるわけで、人工哺育されたルナの繁殖にはかなりの困難さがあるわけですから、そこにサカーリが移動したということはクリスタルの子供たちを繁殖にはやや難しいであろうパートナーを敢えて当てているという気がするわけです。特にクリスタルの子供たちのうちで双子姉妹であるアナーナとオーロラがコロンバス動物園で共に繁殖に成功していますから、クリスタルの血統の頭数を抑えようという意図が働いて当然なのです。ましてやセントルイス動物園のカリーは野生孤児出身という血統面での優位性があるため、彼のパートナーとしてスーカーを当てることは血統の孤立性の高さが優位性につながっているカリーの貴重な「繁殖資源 (Reproduction resources)」を浪費することに繋がるわけです。
a0151913_20384652.jpg
スーカー Photo(C)Madison.com

たとえば以下のような例を日本で考えてみてください。上野のデアのパートナーとしては「ララファミリー」のイコロよりも、クルミが亡くなったという現時点に於いてならば男鹿の豪太のほうが「繁殖資源」を効率的に活用できるのです。つまり「血統的孤立度」の高い個体同士をペアにするのが理想的であるということです。その理想的な最たる例は野生出身個体同士のペアなのです。ところがカリーとスーカーのペアは、片方が「血統的孤立度」が高く片方が低いというペアになるわけで、これは「繁殖資源」の非効率的活用ということになってしまいます。ヤクーツク動物園のコルィマーナとロモノーソフのペアとか、イジェフスク動物園のザバーヴァとバルーのペアなどはその点では本当は好ましくないのです。片方は野生孤児出身。片方は16頭もいるウスラーダの子供たちのうちの一頭というのでは「繁殖資源」の有効活用の点で実に非効率的なのです。(まあ、上野の場合はやはりデアのパートナーは「ララファミリー」であることは意義があると私は思っています。日本の首都である東京には日本のホッキョクグマを代表していララの子供たちがいるのが重要だからです。)

スーカーのパートナーとしてはやはりセントルイス動物園のカリーは確かに本命ではあるものの、私はそうはならないような気がしています。

それから、昨年に「アメリカ・ウィスコンシン州のヘンリー・ヴィラス動物園の18歳のベリットに人工授精が行われる」という投稿をしているのですが、ベリットには残念なことに出産はなかったようです。ヘンリー・ヴィラス動物園としては年内に一頭の雄(オス)のホッキョクグマを入手したい意向であり、その見通しもあるようです。ベリットの最新の映像をご紹介しておきます。以下をワンクリックして下さい。
a0151913_20334216.jpg

ホッキョクグマへの人工授精、これはまだ成功していないということで、これからも課題として残り続けるわけです。

(資料)
Henry Vilas Zoo (Feb.24 2018 - Suka will be leaving)
Madison.com (Feb.24 2018 - Vilas Zoo prepares to send polar bear Suka off to be paired with a mate)
channel3000.com (Feb.24 2018 - Henry Vilas Zoo announces polar bear departure)
WKOW 27 (Feb.24 2018 - Henry Vilas Zoo bids farewell to polar bear Suka)

(過去関連投稿)
アメリカ・ニューヨーク州 ロチェスターのセネカ動物園が史上初のホッキョクグマの人工授精を行う
アメリカ・ニューヨーク州 ロチェスターのセネカ動物園でのオーロラへの人工授精、結果は実らず
アメリカ・サンディエゴ、シーワールドの19歳の雌のスノウフレイクに人工授精が試みられる
アメリカ・シンシナティ動物園で雌のベリットと雄のリトルワンが飼育収容地域から一時脱出する
アメリカ・ミネソタ州 コモ動物園のスーカーとサカーリがウィスコンシン州のヘンリー・ヴィラス動物園へ
アメリカ・ウィスコンシン州のヘンリー・ヴィラス動物園で新展示場 ”The Arctic Passage”がオープン
アメリカ・ウィスコンシン州、ヘンリー・ヴィラス動物園のサカーリが繁殖のために他園移動が決定
アメリカ・ウィスコンシン州マディソン、ヘンリー・ヴィラス動物園のサカーリのお別れ会が開催される
アメリカ・シンシナティ動物園のベリットがウィスコンシン州のヘンリー・ヴィラス動物園へ
アメリカ・ウィスコンシン州のヘンリー・ヴィラス動物園の18歳のベリットに人工授精が行われる
アメリカ・セントルイス動物園の野生孤児出身のカリーの近況 ~ 注目すべきパートナー選定
by polarbearmaniac | 2018-02-26 00:15 | Polarbearology

アメリカ・タコマのポイント・ディファイアンス動物園のボリスに世界初の幹細胞移植治療が行われる

a0151913_0473338.jpg
ボリス (Boris the Polar Bear) Photo(C)TripAdvisor

アメリカ・ワシントン州、タコマ (Tacoma) のポイント・ディファイアンス動物園 (Point Defiance Zoo & Aquarium) で飼育されている32歳の雄(オス)のホッキョクグマであるボリス (Boris) はその年齢もあってか近年において関節炎の進行による炎症に悩まされており、段々と動き回ることがつらくなってきているそうです。いくつかの治療が行われてきたものの効果は表れていないそうです。
a0151913_0511741.jpg
ボリス Photo(C)Point Defiance Zoo & Aquarium

同園の獣医師長であるカレン・ウォルフ博士は、ある会議で幹細胞に関する報告を行ったコロラド州立大学のヴァレリー・ジョンソン博士と知り合い、それを治療に応用することによって関節炎に悩まされているボリスを救えないかと考えたわけでした。こうしてウォルフ氏とジョンソン氏は共同してボリスの治療を行うこととなったわけです。それはボリスの関節炎の治療に幹細胞移植を行うということでした、この幹細胞移植治療 (Stem-cell therapy) は世界では今までホッキョクグマに対しては行われたことのないものだそうです。ここでポイント・ディファイアンス動物園の制作した映像、及びコロラド州立大学の制作した映像の二つをご紹介しておきます。音声はonにして下さい。





上の最初の映像でもジョンソン博士が説明していますが、ボリスの脂肪組織からサンプルを採取してはコロラド州立大学に持ち帰って実験室で幹細胞を培養して2017年11月にそれをタコマのポイント・ディファイアンス動物園に再び持って行くということを何回か繰り返して、ボリスに対しての幹細胞移植を行ったそうです。その結果としてボリスの関節炎は幾分好転したそうですが、劇的な効果といったものはなかったそうです。ジョンソン博士が語るには、他の若いホッキョクグマの脂肪組織から培養した幹細胞をボリスに移植するのがベストのシナリオだろうということだそうです。ボリスももう32歳ですので、このように麻酔を使用して幹細胞移植を行うということ自体が危険を伴うわけですが、なんとかボリスの関節炎の治療を行いたい桑園の獣医師長のウォルフ博士は、新しい治療方法をジョンソン博士との共同作業において切り開いていこうという気概を持った獣医師である点で実に意義深い話だと思います。

(資料)
Point Defiance Zoo & Aquarium (Feb.21 2018 - Stem cell therapy)
Colorado State University (Source/Feb.23 2018 - Boris the polar bear, 32, receives stem cell treatment)

(過去関連投稿)
アメリカ・ワシントン州タコマ、ポイント・ディファイアンス動物園のケネス逝く
アメリカ・ワシントン州 タコマのポイント・ディファイアンス動物園のボリスに4時間半の複合治療処置
アメリカ・ワシントン州 タコマのポイント・ディファイアンス動物園の29歳のボリスに抜歯治療が行われる
アメリカ・ワシントン州タコマのポイント・ディファイアンス動物園のグレイシャーが亡くなる
by polarbearmaniac | 2018-02-25 01:00 | Polarbearology

カテゴリ

全体
Polarbearology
しろくま紀行
異国旅日記
動物園一般
Daily memorabilia
倭国旅日記
しろくまの写真撮影
旅の風景
幻のクーニャ
エッセイ、コラム
街角にて
未分類

最新の記事

アメリカ・ノースカロライナ州..
at 2018-06-18 23:55
エストニア・タリン動物園のア..
at 2018-06-17 23:45
ウクライナ・ムィコラーイウ動..
at 2018-06-16 20:00
シルカ (Шилка)、梅雨..
at 2018-06-15 22:30
シルカ (Шилка)、変貌..
at 2018-06-14 22:30
大阪・天王寺動物園のシルカ ..
at 2018-06-13 23:00
ロシア・ノヴォシビルスク動物..
at 2018-06-13 03:00
韓国・龍仁市のエバーランド動..
at 2018-06-12 00:30
二年前に「世界で最も悲しいホ..
at 2018-06-11 03:00
ロシア・ペンザ動物園のベルィ..
at 2018-06-10 03:00

以前の記事

2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月

検索

ブログパーツ

  • このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます。

ライフログ


人生と運命 1


スターリン―青春と革命の時代


モスクワは本のゆりかご


私のモスクワ、心の記憶


自壊する帝国 (新潮文庫)


甦るロシア帝国 (文春文庫)


嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)


ロシア 春のソナタ、秋のワルツ-1999-21st


それからのエリス いま明らかになる鴎外「舞姫」の面影


ミチコ・タナカ 男たちへの讃歌 (新潮文庫)


わがユダヤ・ドイツ・ポーランド―マルセル・ライヒ=ラニツキ自伝


ベルリン戦争 (朝日選書)


Hof――ベルリンの記憶


カチンの森――ポーランド指導階級の抹殺


北京烈烈―文化大革命とは何であったか (講談社学術文庫)


慟哭の通州――昭和十二年夏の虐殺事件


主題と変奏―ブルーノ・ワルター回想録 (1965年)


藤田嗣治 異邦人の生涯


Barle's Story: One Polar Bear's Amazing Recovery from Life As a Circus Act


Lenin's Tomb: The Last Days of the Soviet Empire


Resurrection: The Struggle for a New Russia


Hotel Adlon: Das Berliner Hotel, in dem die grosse Welt zu Gast war


Ein seltsamer Mann


Alma Rose: Vienna to Auschwitz


St Petersburg: A Cultural History


Gulag