街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ロシア・イジェフスク動物園で誕生の赤ちゃん (仮称 スネジンカ・アイオノヴナ) が生後三ヶ月へ

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Image : Зоопарк Удмуртии

ロシア・ウドムルト共和国のイジェフスク動物園で昨年2017年11月22日にドゥムカお母さんから誕生した赤ちゃん (仮称 スネジンカ・アイオノヴナ - Снеженика Айоновна) が生後三ヶ月を無事に経過しました。その親子の2月15日の産室内の映像が公開されましたのでご紹介しておきます。前半と後半に映像の場面は分かれています。下をワンクリックして下さい。
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非常に足取りがしっかりしてきています。3月初旬にはこの赤ちゃんは屋外デビューする可能性が大きいでしょう。
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Image : Зоопарк Удмуртии

(資料)
Зоопарк Удмуртии (Feb.15 2018 - Новости из жизни белого медвежонка)

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ロシア・イジェフスク動物園で誕生の赤ちゃん (仮称 スネジンカ・アイオノヴナ) が無事に生後二ヶ月となる
by polarbearmaniac | 2018-02-23 00:30 | Polarbearology

ロシア・ノヴォシビルスク動物園のカイ(クラーシン)とゲルダのさらなる挑戦

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カイ(クラーシン)Photo(C)Новосибирский зоопарк
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ゲルダ Photo(C)Новосибирский зоопарк

ロシアのノヴォシビルスク動物園ではすでに今年の繁殖シーズンのためのカイ(クラーシン)とゲルダの同居がすでに始まっています。ともに十歳になったばかりであるこのペアは、これから約十数年間にわたって、単にロシアでだけではなく世界的レベルで考えても最も脂の乗り切ったペアの一つとして活躍していくことは間違いありません。このペアの間にはすでに2013年12月生まれの雌(メス)のシルカ、そして2015年12月生まれの雄(オス)のロスチクといった二頭の子供たちがいます。ゲルダは6歳になったばかりの時期に出産に成功したわけで、こういった母親は今後も順調に繁殖に成功していく確率が高いと考えられます。

ただし、問題はこのペアが繁殖に成功してできた子供の移動先の動物園の確保が難しくなってきているということです。それはスペースの点においてだけではなく、このペアの血統はすでに今まででもロシア国内に多く存在しているといった点においてもです。こういったことに対しては.ロシア動物園水族館連合 (Союз Зоопарков и Аквариумов России) が十分にノヴォシビルスク動物園を支援していくことが不可欠でしょう。どうも最近これが足りないような気がしています。ノヴォシビルスク動物園が独自で動くことにはやはり限界があるからです。この「アンデルマ/ウスラーダ系(カザン血統)」というのはすでに日本はもちろんのこと欧州でも受け入れに難しくなりつつあるほどの巨大血統勢力になっており、おいそれと簡単には将来の繫殖のためのパートナーが見つけられなくなる可能性があるからです。

さて、数日前から開始されたらしいこのカイ(クラーシン)とゲルダの同居の様子を見てみましょう。







やはりカイ(クラーシン)がゲルダの後にくっついていき接触を試みようとしているといったところです。2月のこの時期ではペアの標準的な姿であるように感じます。今年もこのペアの滑り出しは良好のようです。

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by polarbearmaniac | 2018-02-23 00:15 | Polarbearology

ドイツ・ゲルゼンキルヘン動物園で誕生の赤ちゃんが生後二カ月半となる ~ 母親の育児の安定感

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Image : ZOOM Erlebniswelt Gelsenkirchen

ドイツ・ルール地方のゲルゼンキルヘン動物園で昨年2017年の12月4日に13歳の雌(メス)のララ (Lara) が産んだ赤ちゃんですが、生後二カ月半が無事に経過しました。依然として担当飼育員さんは産室のある場所に定期的に行って母親のララの食べ物を補給しているそうです。梨やサラダから食べ始めて現在ではララお母さんはどんなものでもたいらげてしまうそうです。食欲もなかなかのものだそうです。以下は2月6日の産室内の様子です。下の写真をワンクリックしていただくと映像の開始画面に飛びます。
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現在はもうこの赤ちゃんは完全に歩けるようになっているそうで、ララお母さんと一緒に飼育員さんが姿を見せる格子のある場所にまで出てくるそうです。ララお母さんは冷静であり、神経質な様子を全く見せないとのことです。赤ちゃんは母親の母乳以外で初めて与えられたのは細かく裂いた肉だったそうで、非常においしそうに食べていたようです。赤ちゃんは一日のほとんどを母親と一緒に寝ていたり、うとうとしていたりといった感じで過ごしてはいるものの少しずつ活発にもなってきているとのことです。ゲルゼンキルヘン動物園の担当者は母親であるララのしっかりとしていて安定感のある育児の様子を賞賛しています。

(資料)
DERWESTEN (Feb.22 2018 - Tolle Neuigkeiten: Das Eisbärbaby in der Zoom Erlebniswelt kann jetzt laufen - dieses zuckersüße Video ist der Beweis)
Parkerlebnis.de Freizeitpark-Magazin (Feb.21 2018 - Eisbär-Baby in Gelsenkirchen auf den Beinen: Nachwuchs in der ZOOM Erlebniswelt läuft)

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by polarbearmaniac | 2018-02-22 00:15 | Polarbearology

アメリカ・フィラデルフィア動物園の37歳、世界最高齢のコールディロックスが亡くなる

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コールディロックス (Coldilocks the Polar Bear) 
Photo(C)Philadelphia Zoo

今年は年明けからホッキョクグマの訃報が相次いでいます。アメリカ・ペンシルベニア州のフィラデルフィア動物園で飼育されていた全米最高齢であると同時に世界最高齢でもあることも確定的であった37歳の雌(メス)のホッキョクグマであるコールディロックスが月曜日の19日に安楽死という処置で亡くなったとのことです。彼女の死を報じるTVニュースです。



彼女はここ一週間のところ老齢によると思われる体調の悪化と食欲の減退の症状を見せていたそうで獣医さんを中心としたチームがその状態を詳しくモニターしていたそうですが、彼女の健康状態の観察、そして今週月曜日に麻酔をかけての診察の結果、安楽死の処置が適当であるとの合意に達し、それが執行されたとのことです。先日2月7日にロシアのペルミ動物園で亡くなったアンデルマは、一部の報道では世界最高齢のホッキョクグマの死と報じられていたわけですが、それは正しくありません。アンデルマは確かにロシア最高齢ではありましたが彼女は34~35歳であったと考えるのが正しく、コールディロックスのほうが高齢だったというのが事実なのです。フィラデルフィア動物園が「コールディロックスを偲んで (Remembering Coldilocks)」という映像を早速制作していますのでそれを見てみましょう。



さらに2015年12月の映像を見てみましょう。



次は2016年1月の映像です。



そして今から僅か二か月前の昨年2017年12月に行われたコールディロックスの37歳の誕生祝いの映像を再度ご紹介しておきます。





次は彼女が亡くなる9日前の2月10日の映像です。



これでアメリカの大都市であるフィラデルフィアにはホッキョクグマが不在となってしまいました。

心より謹んでコールディロックスの死に哀悼の意を捧げます。

(資料)
Philadelphia Zoo (Feb.20 2018 - Remembering Coldilocks)
Philly.com (Feb.20 2018 - Coldilocks, Philadelphia Zoo polar bear, euthanized after 'serious decline' in health)
CBS Philly (Feb.20 2018 - Philadelphia Zoo’s 37-Year-Old Polar Bear Coldilocks Dies)
abc7 (Feb.20 2018- Zoo: Coldilocks, oldest polar bear in US, passes away)
WSMV (Feb.20 2018 - Oldest polar bear in the country dies at 37)

(過去関連投稿)
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アメリカ・フィラデルフィア動物園の36歳のコールディロックスへの朗報 ~ "WINTER at Zoo" の試み
アメリカ・フィラデルフィア動物園のコールディロックスが満37歳となる ~ 世界最高齢ほぼ確定的
by polarbearmaniac | 2018-02-21 06:00 | Polarbearology

オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園の三歳になった双子のアキアクとスラの近況

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アキアクとスラ Photo(C)Ouwehands Dierenpark Rhenen

近年の欧州において非常に重要なホッキョクグマの繁殖基地としての機能を担ってきたオランダ・レネンのアウヴェハンス動物園ですが、雄(オス)のヴィクトルが繁殖からは「引退」という措置をとられてイギリスのヨークシャー野生動物公園に移動してしまい、残った二頭の雌(メス)であるフギースとフリーダムに新しいパートナーが用意されないことから考えて(正確にはフギースのパートナーとして短期間フェリックスが来園しましたが)、これから数年間は繁殖はお休みということになりるかもしれません。現在飼育されているのは24歳の雌(メス)のフギース (Huggies)、彼女の娘である16歳の雌(メス)のフリーダム (Freedom)、そしてフリーダムが2014年11月に産んだ双子である3歳の雄(オス)のアキアク (Akiak)と雌(メス)のスラ (Sura) といった四頭です。フギースは年齢そして彼女の子供たちの頭数から考えてもう繁殖を狙うということはないような気がしますがフリーダムについてはまだあるような気がします。ただしフギースとフリーダムという母娘の子孫が多くなってきたために(前者は7頭、後者は4頭)欧州全体に血統的な偏りを生じさせつつありますので(ほとんどが「ロストック系」です)、果たしてフリーダムに次のパートナーが用意されるかどうかは注目しておきたいとも思います。

さて、アキアクとスラの双子ですが、最近の様子を見ておきましょう。この下の映像は昨年12月のものでこの双子が彼らからみて祖母にあたるフギースに接近している様子です。雄(オス)のアキアクと雌(メス)のスラには体の大きさにかなりの違いが生じています。



ちなみに下の映像は2015年の5月に私が撮影したもので、フリーダムが当時まだ生後半年ほどのアキアクとスラを従えてフギースと接した場面の映像です。上の映像と比較すると隔世の感がありますね。


フギースを警戒するフリーダム親子 - Freedom the polar bear with her twin cubs is alert to Huggies, at Ouwehands Dierenpark, Rhenen, the Netherlands, on May.3 2015.

ここでもう一つ、昨年12月の映像を見ておきましょう。登場しているにはフギース、フリーダム、アキアク、スラの四頭全部です。雪の上で快感を感じているのでしょうか。



私はもうかなり以前にオランダに在住していたことがありますが、冬のオランダは非常に寒いものの雪が積もるということはありませんでした。話は横にそれますが平昌の冬季五輪のスピードスケート女子500mで金メダルを獲得した小平選手はオランダでも修行したそうですが、オランダの放送局のインタビューにオランダ語で答えています。金メダルをとる人は、やはりさすがに違うものだと思いました、



さて、ここでアキアクとスラの双子の最も最近の映像を見てみましょう。とはいっても泳いでいるだけですからたいしたシーンではありません。下をワンクリックして下さい。
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この双子は三歳になったばかりですが性別が違いますので、おそらく雄(オス)のアキアクが年内には他園に移動するだろうと思います。四歳から一応はは繁殖が可能となりますので性別の異なる双子はどうしても別れさせねばならないからです。

(過去関連投稿)
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生後僅か三ヶ月の娘と一緒にスウェーデンからオランダへ移動した母フギース ~ バフィン親子の先例
オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園のアキアクとスラの成長 ~ 同年齢のモモやリラと比較する
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オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園のホッキョクグマたちに砕氷のプレゼント

(*アウヴェハンス動物園訪問記)
(2011年5月)
遂にレネン、アウヴェハンス動物園に到着!
シークーとセシ、その伸びやかさと無邪気さの大きな魅力
フリーダムを称える
(2012年3月)
レネン、アウヴェハンス動物園でホッキョクグマたちに御挨拶
アウヴェハンス動物園のフギースお母さんの双子の性格
フギースお母さんの性格と子育て
フリーダムお母さんと1歳になったシークーとセシの双子
(2015年5月)
フリーダムお母さんお久しぶりです、二頭の赤ちゃん、初めまして! ~ レネン、アウヴェハンス動物園へ
欧州屈指の偉大なる母フギースは今何を考える?
アウヴェハンス動物園二日目 ~ 三世代同居の問題点
アウヴェハンス動物園の双子の赤ちゃんの性格と素顔 ~ 「冒険家ちゃん」 と 「甘えっ子ちゃん」
フリーダム、偉大なる母のその素顔 ~ 「細心さ」から「鷹揚さ」を取り込み、咲かせた大輪の花
by polarbearmaniac | 2018-02-20 23:45 | Polarbearology

ロシア北東部、チェクチ海地域のホッキョクグマたち、海氷面積の減少にもかかわらず依然として頭数は安定

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シルカ (Белая медведица Шилка/Eisbärin Shilka)
(2015年7月15日撮影 於 大阪・天王寺動物園)

1973年に締結された「ホッキョクグマ保護に関する協定 (Agreement on the Conservation of polar bears) 」はホッキョクグマが生息している地域を自国領内に持つカナダ、アメリカ、ロシア、デンマーク(グリーンランド)、ノルウェー(スヴァールバル諸島)の五か国によって締結されたわけですが、その協定の締結以来、この五か国のホッキョクグマ保護を行う監督官庁の責任者及び幹部と関係団体は「ホッキョクグマ生息国 ("Polar Bear Range States")」としてのホッキョクグマ保護に関して密接な協力体制を構築しています。この五か国の担当責任者、担当者は二年おきに合同会議の場をもっているわけですが、今回は今年2018年の2月2~4日にアラスカのフェアバンクスにて開催されました。ちなみに前々回の2013年のモスクワでの会議については「モスクワで「ホッキョクグマ保護国際フォーラム」が開催 ~ 保護協定締結40周年と今後の行動方針に向けて」という投稿で御紹介しています。また、その内容の一部に関しては「ロシアでのホッキョクグマ生息数未調査地域で研究者チームが本格的に生態・生息数調査を開始する」という投稿で御紹介していました。
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今回2018年のアラスカでの会議についてはこの「ホッキョクグマ生息国 ("Polar Bear Range States")」の五か国の共同によって POLAR BEAR RANGE STATES というHPが最近立ち上げられ、そのHPの中の "2018 Biennial Meeting of the Parties" というページの中で議題や報告の要約などが簡単に紹介されています。しかし会議が終了して間もない現時点ではまだ報告された内容やレジュメがアップされていない資料がかなりあるようです。さらに現時点では事務当局が英語のレジュメを入手できていない報告もあったことが記載されているのですが、そういったまだ外部には資料として公表されていないものの中にロシア連邦政府の天然資源・環境省 (Министерство природных ресурсов и экологии Российской Федерации) の国際協力局の局長代理であるイーゴリ・ヴェレシャギン氏の報告発表があり、その内容についてチュクチ自治管区 (Чукотский автономный округ)がHPでその要旨を初めて明らかにすると同時にインターファクス通信がやや詳しく報道しました。実に驚くべき(そして喜ぶべき)内容です。
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2013年9月に「温暖化による海氷面積減少にも影響を受けず生息数が減らないチュクチ海地域のホッキョクグマたちの謎」という投稿を行っているのですが、その投稿ではロシア北東部のチュクチ半島とチュクチ海地域にホッキョクグマの生態に関する科学的調査がアメリカの魚類野生動物保護局 (U.S. Fish and Wildlife Service; USFWS) によって行われ、海氷面積の減少にもかかわらずホッキョクグマの生息数は安定しており。また健康状態も良好であることが判明したという内容でした。
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それから約4年経ったわけで北極海全体の海氷面積の減少(それによって北極海航路が開発などされているわけです)は続いているといった現状のもとで今度はロシアのロシア天然資源・環境省がこの地域、つまり上のエリアではCSとされている地域において再度、科学的調査を行ったそうです。その結果としては依然としてホッキョクグマの生息数は安定していることが判明したとの内容です。調査の過程で三つ子を連れた母親もしばしば見かけ、生息数の面でも母親の健康状態の面でもホッキョクグマたちには温暖化の影響による自然環境の変化は現時点においては脅威にはなっていないとも語っています。ロシア橋北に暮らすホッキョクグマたち、環境の変化にもかかわらず実にしぶとくて、したたかに生きているようです。いや、それどころではなくかなり豊かに暮らしているらしいことは、三つ子を連れた母親をしばしば見かけたということでも明らかなのです。この三つ子の存在はそのエリアでのホッキョクグマの生態状況を推し量るバロメーターであるとさえ考えられているからです。 通常は、

① 海氷面積の減少によるアザラシ狩り可能期間の短縮。
② 接食不足による体重の減少。
③ 体重の減少した母親の出産による子供の成育頭数の減少。
④ 全体の生息数の減少


といった順番でホッキョクグマが絶滅に追いやられていくと考えられるわけですが、一般論として①による②は程度の差こそあれ比較的ストレートに起こり、③による④も必然の結果と考えられます。現在の時点で特定の地域は別としてあくまで全世界的レベルではホッキョクグマたちがなんとか持ちこたえている(と思われる)のは、②から生じるはずの③と④がすぐには起こっていないらしいからです。ところが今回問題となっているチュクチ海、チュクチ半島の地域のホッキョクグマたちは①が起こっているにもかかわらず②が生じていないということなのです。多くの三つ子を連れた母親の存在は②が起こっていないことを意味するわけです。仮に②が生じていれば三つ子の出産と育児は体力的に無理だからです。 ということは、あくまでこの地域のホッキョクグマたちに関する限りでは、まだ④までにはかなり時間があるということを意味しています。これは仮にあくまでこのチュクチの地域だけのことであったとしても、やはり嬉しいニュースだと思います。
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シルカ (Белая медведица Шилка/Eisbärin Shilka)
(2016年1月23日撮影 於 大阪・天王寺動物園)

さらにヴェレシャギン氏の報告内容では世界のホッキョクグマの生息数は約三万頭であるとも述べているそうですが、これは以前の投稿である「ロシアのホッキョクグマ生息数未調査地域への調査進行中 ~ 世界推定生息数約2万5千頭が上方修正必至の情勢」を御参照いただきたいのですが、非常に遅れていたロシア極北地域におけるホッキョクグマの科学的な生息数調査が行われている過程で、かつて(ソ連時代)の生息数調査に問題があり、実際はそういった過去の調査の結果よりももっと多くのホッキョクグマたちが生息していることがここ数年にわたって判明しつつあることが反映された生息数の数字であることは間違いありません。
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シルカ (Белая медведица Шилка/Eisbärin Shilka)
(2016年1月23日撮影 於 大阪・天王寺動物園)

国際自然保護連合 (International Union for Conservation of Nature and Natural Resources -IUCN)は間もなくレッドリスト (Red List) におけるホッキョクグマに関する評価の改定バージョンを発表するのですが、果たしてロシア極北で進行中の生息数調査の数字を部分的ではあれ採用して世界のホッキョクグマ生息数の数字を上方修正するかどうかに注目が集まります。常識的に考えれば2019年に終了するロシア政府の調査の最終報告がなされてからではないかとも思うのですが、ひょっとしたら現時点で評価地に何らかの形で反映させてくる可能性はあると思います。

(資料)
Polar Bear Range States (2018 Biennial Meeting of the Parties/2018 - Anchorage, Alaska)
Чукотский автономный округ (Feb.19 2018 - Белые медведи Чукотки адаптируются к изменениям климата)
Интерфакс - Россия (Feb.19 2018 - Популяции белых медведей на Чукотке ничто не угрожает - власти)
Nadv.ru (Feb.19 2018 - Учёные успокоили: Белому медведю на Чукотке ничто не угрожает)

(過去関連投稿)
モスクワで「ホッキョクグマ保護国際フォーラム」が開催 ~ 保護協定締結40周年と今後の行動方針に向けて
ロシアでのホッキョクグマ生息数未調査地域で研究者チームが本格的に生態・生息数調査を開始する
アメリカ地質調査所 (USGS) がアラスカで野生のホッキョクグマにカメラを装着し生態研究を開始
アラスカ北側のボーフォート海で2001年からの10年間にホッキョクグマの生息数は40%の減少が明らかになる
温暖化による海氷面積減少にも影響を受けず生息数が減らないチュクチ海地域のホッキョクグマたちの謎
ホッキョクグマの生態・生息数調査に衛星画像利用の試みがなされる ~ 果たして本当に有効か?
ホッキョクグマの生態調査方法 (“Capturing-and-Tagging 法”) が個体に悪影響がないことが判明
近年の海氷面積減少によりホッキョクグマの集団レベルでの北極点方向への移動傾向が明らかになる
ホッキョクグマの生息数評価をめぐる 「主流派」 と 「反主流派」 の主張の対立 ~ 過去、現在、未来..
ホッキョクグマ/ハイイログマ(グリズリー)のハイブリッドとホッキョクグマの将来に関する異なる見解
アメリカ地質調査所(USGS)の報告書が語るホッキョクグマの将来 ~ 彼らへの挽歌
ロシアのホッキョクグマ生息数未調査地域への調査進行中 ~ 世界推定生息数約2万5千頭が上方修正必至の情勢
by polarbearmaniac | 2018-02-19 23:00 | Polarbearology

ハンガリー・ニーレジハーザのソスト動物園のホッキョクグマたちの近況 ~ 若いペアを見守るシンバ

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フィーテ、スネジンカ(スネジャナ)、シンバ(ゾラ)の三頭同居
Photo(C)Nyíregyházi Állatpark

ハンガリーのニーレジハーザにあるソスト動物園では31歳となった雌(メス)のシンバ(Simba/Zora - 姫路のユキ、仙台のポーラの母でありソスト動物園ではゾラという愛称で呼ばれています)、そしてロストック動物園から来園した3歳の雄(オス)のフィーテ (Fiete) に加えて昨年12月にモスクワ動物園からシモーナの娘である3歳となったスネジンカ(Snezhinka)(ソスト動物園ではスネジャナ - Sznezsana と呼ばれています)が来園して三頭が同じ飼育展示場で同居しています。このフィーテとスネジンカ(スネジャナ)はおそらく4歳となる来年のシーズンからペアとなってソスト動物園で繁殖に挑戦していくことになるでしょう。最近の彼らの様子を見てみましょう。まず地元のTV局の取材番組の映像です。プールの中にいるのがスネジンカ(スネジャナ)、歩いているのがフィーテ(のはず)です。



次もニュース映像ですが、やはりプールの中はスネジンカ(スネジャナ)です。ワンクリックして下さい。
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このスネジンカ(スネジャナ)とフィーテのペアはなんとなく繁殖成功の可能性が大きいように思います。「アンデルマ/ウスラーダ系(カザン血統)」と「ロストック系」の組み合わせということですね。
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ネジンカ(スネジャナ)とフィーテ Photo(C)Nyíregyházi Állatpark

これからはハンガリーの動物園も再び過去の栄光を取り戻してくるのではないでしょうか。ともかくまだこのペアは共に三歳ですので繁殖を狙うのは来年のシーズン以降になります。現在はこの二頭に加えてさらにシンバ(ゾラ)が同居していますので、彼女がこれから果たしていく役割にも注目して行きたいと思います。31歳の彼女がこの若いペアの繁殖成功へのカギを握っているように思います。

(資料)
Nyíregyházi Állatpark (Jan.29 2018 - Januári csobbanás – Így élvezi a telet a Nyíregyházi Állatpark jegesmedvéje)
NLCafé (Jan.29 2018 - Napi cuki: így élvezi a telet a nyíregyházi jegesmedve)
TV2.hu (Dec.22 2017 - Tudd meg, hány kilogramm eledelt esznek a jegesmedvék egy nap!) (Feb.3 2018 - Poggyász)
Mokka (Dec.23 2017 - Sznyezsana a 3 éves maci Moszkvából érkezett Nyíregyházára, ahol egy hím mellé helyezték remélve, hogy hamarosan új utód születik majd.)
RTL.hu (Feb.9 2018 - Vannak, akik élvezik a telet)
Szabolcs Online (Jan.6 2017 - Videó: Imádja ezt a hideget a nyíregyházi jegesmedve pár)

(過去関連投稿)
(*スネジンカ関連)
モスクワ動物園のシモーナの2歳間近の双子の雌 (雪ちゃん - 仮称) がハンガリーのソスト動物園へ
モスクワ動物園のホッキョクグマたちの近況 ~ 雌(メス)のスネジンカが間もなくハンガリーへ移動
モスクワ動物園のシモーナがヴォロコラムスク附属保護施設に移る ~ 血統調整で繁殖の舞台から引退か?
モスクワ動物園のスネジンカ、依然として同園で待機 ~ 欧州側の繁殖計画に急な変更か?
モスクワ動物園のスネジンカが24時間かけてハンガリーのソスト動物園に無事到着
ハンガリー・ニーレジハーザのソスト動物園でモスクワ動物園から来園したスネジンカが報道陣に公開

(*フィーテ関連)
ドイツ・ロストック動物園のフィーテがハンガリーへ ~ 同園の新しい飼育展示場の工事が開始へ
ドイツ・ロストック動物園から旅立つ日の近いフィーテの成長を振り返る
ドイツ・ロストック動物園でホッキョクグマたちの「お別れ会」が行われる ~ 判明した移動先
ドイツ・ロストック動物園のフィーテがハンガリーのソスト動物園に無事到着
ハンガリー・ソスト動物園に到着したドイツ・ロストック動物園のフィーテのその後の近況
ハンガリー・ニーレジハーザのソスト動物園に移動したフィーテが満二歳となる ~ 知り得ぬ母親の死
ハンガリー・ニーレジハーザ、ソスト動物園でのフィーテの冬の日 ~ 三十歳のシンバとの同居
(*シンバ関連)
25年前の東ドイツにいた「もう一頭のクヌート」 ~ ユキ(姫路)とポーラ(仙台)の父親の物語
セルビア・パリッチ動物園のビョルン・ハインリヒ死す ~ ユキ(姫路〕 とポーラ(仙台) の父親の訃報
セルビア・パリッチ動物園のシンバ (姫路のユキ、仙台のポーラの母) がハンガリーのソスト動物園へ
ハンガリー、ニーレジハーザのソスト動物園の28歳のシンバと36歳のオーテクの老境に咲く満開の花
ハンガリー・ニーレジハーザのソスト動物園、シンバ (姫路のユキ、仙台のポーラの母) の夏の日
ハンガリー・ニーレジハーザ、ソスト動物園のシンバ (姫路のユキ、仙台のポーラの母) の近況
by polarbearmaniac | 2018-02-18 23:45 | Polarbearology

ウクライナ・ムィコラーイウ動物園のナヌクに故郷のファンからプレゼント ~ ホッキョクグマファンの二類型

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ナヌク Photo(C)Миколаївський зоопарк

ウクライナのムィコラーイウ動物園で暮らす5歳の雄(オス)のナヌクはチェコ・ブルノ動物園であのコーラから誕生した双子のうちの一頭です。もう一頭はロシア・ロストフ動物園で暮らす雌(メス)のコメタですが、このナヌクとコメタの双子はブルノ動物園時代には地元のファンから大いに愛されていました。ですから彼らがブルノ動物園を去る時には多くのファンが悲しんだわけですが、とりわけこの双子がウクライナとロシアの動物園に移動するという事実に対して大きな不安、そして不満の声が聞こえたわけでした。ウクライナに関しては同時は国内が非常に政治的・社会的に混乱しておいたということと、ロシアに関しては動物園からは個体に関してなかなか十分な情報が得られないというそれまでの状況があったからでした。この点についてはウクライナの動物園も同様な欠点があたわけです。そういうこともあってかチェコのファンの方々はこの二頭がブルノ動物園から旅立った後も彼らのことを非常に気にかけているのは当然のことだと思います。
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Photo(C)Миколаївський зоопарк

さて、先日チェコ(とドイツ)のファンからこのナヌクに小包のプレゼントが届いたそうです。それにはナヌクのためのプラスチックのおもちゃとチェコレートだったそうです。正確に言うと実はチェコレートはトプチィイ園長へのプレゼントだったようですが園長さんはそのチェコレートをナヌクに与えたそうです。ムィコラーイウ動物園ではこういったおもちゃのプレゼントを送ってもらうことに非常に感謝しているそうで、ウクライナではなかなかそういったおもちゃを用意するのは大変なようです。
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ナヌク Photo(C)Миколаївський зоопарк

このようにホッキョクグマが、生まれた動物園から他の動物園に移動した後も彼らに会いに行ったりプレゼントを送ったりするのは、おそらく日本のファンが最も熱心にやっていることだと思います。日本のファンはそうやってホッキョクグマたちを想い続けるということを知った日本国外の動物園関係者は非常に驚くようです。ムィコラーイウ動物園のトプチィイ園長は以前に、このようにチェコのファンからプレゼントが届くということは予想もしておらず、自分が動物園で働いてきた今までの経験でも初めてのことだったと述べていたほどですから、特定の個体を追い続けていくファンのは今まではあまりなかったということでしょう。日本の動物園で暮らしている海外生まれのホッキョクグマたちの両親や兄弟姉妹に会いにいくというファン(私にもその一人ですが)がいるのはおそらく日本だけでしょう。さらに言えば、そういったことを行う対象はホッキョクグマだけではないかと思います。他の動物のファンでそこまでやるという話はあまり聞いたことがありません。

私は同好のホッキョクグマファンの方々を見ていますとホッキョクグマファンには二つのタイプがあると感じています。その一つは「縦軸(たてじく)」を重視するファン、もう一つは「横軸(よくじく)」を重視するファンです。前者は、ホッキョクグマが移動するとその移動先に何度も足を運んで成長を追い続けるとか、あるいは海外にまで行って日本に暮らす海外生まれのホッキョクグマたちの両親や兄弟姉妹にまで会うといったファンです。後者は端的に言えばチャーチルに野生のホッキョクグマを見に行く (行きたい)といったファンです。こういう後者のファンは日本の動物園をくまなく訪問してホッキョクグマたちに均等に近い回数会うということを好み、特定の個体にそれほど執着しない傾向があります。前者のファンは「時間軸」を重視し、後者のファンは「空間軸」を好むわけです。前者のファンのうちで最も過激なファンは海外の動物園にまで行って日本の個体の両親にまで会ってくるということを決行、それも何度も行うわけです。こういった「過激派」は国内の個体の成長の過程を見るだけでは気が済まず、一世代、あるいは二世代前まで一気に特定の個体のルーツを「時間軸」で遡っていこうというわけです。後者のファンがホッキョクグマに会うためにわざわざ海外にまで行くときには、おおむねそこはチャーチルであって海外の動物園ではありません。前者のファンが指向するのは「記憶」であり、後者のファンが指向するのは「事実」です。前者のファンが見つめるのは個体の性格であり、後者のファンが見るのは個体の行動です。前者のファンはホッキョクグマの移り変わっていく姿を見ながら彼らの本質的姿を見つめようとしますが、後者のファンにとってはホッキョクグマは常に不変の存在であって、その彼らのその時その時の行動の差を見て楽しむということです。御自身がこのどちらのタイプに属するのかを端的に判断するには以下の質問への回答を考えてみるとすぐわかります。「ウスラーダや故アンデルマやゲルダや故クヌートや故クーニャに会いたいか(会ってみたかったか)、それともチャーチルに行って野生のホッキョクグマに会ってみたいか、そのどちらを選択しますか?」という問いです。

さらにもう一つ言えることは、前者のファンで後者のファンの要素を持つ人はいるが、後者のファンで前者の要素を持つ人はほとんどいないということです。この理由については私にはよくわかりません。

(資料)
НикLife (Feb.13 2018 - Николаевский зоопарк принарядился к Дню Святого Валентина, а мишка Нанук съел шоколадки директора)
НикВести (Feb.14 2018 - Николаевский зоопарк рассказал о подарках для Нанука и показал маленьких тигрят)

(過去関連投稿)
(ナヌク関連)
チェコ・ブルノ動物園のコメタがロシア・ロストフ動物園へ ~ ブルノ、モスクワ、ロストフの巧妙な三角関係
チェコ・ブルノ動物園のコメタとナヌクの将来への不安 ~ 忍び寄るロシアとウクライナの紛争の暗い影
チェコ・ブルノ動物園のナヌクが同園を出発、ウクライナのムィコラーイウ動物園に向かう ~ 物語の終幕
チェコ・ブルノ動物園のナヌクが無事にウクライナのムィコラーイウ動物園に到着
ホッキョクグマ・アイカ と レディン一家の物語 ~ 愛情の日々、そして悲劇的な終末へ
ウクライナ、チェコ、ポーランド、スロヴァキアの四か国の動物園が「欧州スラヴ圏動物園共同体」を形成か?
ウクライナのムィコラーイウ動物園に移動したナヌクのその後 ~ 複雑なスラヴ圏のホッキョクグマ事情
ウクライナ・ムィコラーイウ動物園のナヌクにクリスマスツリーのプレゼント ~ ナヌクの不本意な存在感
by polarbearmaniac | 2018-02-17 23:45 | Polarbearology

アメリカ・ソルトレイクシティ、ホーグル動物園のノーラの成長 ~ スタッフの強い意思と苦闘の最前線

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ノーラ (Nora the Polar Bear) Photo(C)Hogle Zoo

2015年の11月6日にアメリカ・オハイオ州のコロンバス動物園で誕生し人工哺育で育てられた雌(メス)のノーラ (Nora) は昨年2016年の9月に西海岸オレゴン州ポートランドのオレゴン動物園に移動したものの彼女の「適応化 (socialization)」を行うための相手役だったタサルが亡くなってしまたっために当初の「適応化」の目的を果たすために彼女は2017年9月にユタ州ソレトレイクシティのホーグル動物園に移動して彼女と同年齢であるトレド動物園生まれのホープとの同居することになった件が今までの経緯でした。こういった一連のノーラの成長の過程を見事に "The Loneliest Polar Bear" というタイトルにまとめてネット上で公開しているのがポートランドのメディアである The Oregonian 紙です。このノーラの成長記録を書いてきた記者であるケイル・ウィリアム (Kale Williams) 氏はノーラがオレゴン動物園を去った後に初めてホーグル動物園を訪問して5ヶ月振りに現在では2歳となったノーラと再会し彼女の現在の様子について述べています。それをごく簡単にご紹介しておきます。
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ノーラ (Nora the Polar Bear) Photo(C)Hogle Zoo

ノーラはホーグル動物園での暮らしにもすっかり馴染んだ様子で、遊び友達であるホープと一緒に遊び回るなどノーラにとっての「適応化」のステップを確実に歩んでいる様子ではあるものの、いくつかの点でオレゴン動物園において直面した課題が依然としてノーラには付きまとっているとウィリアム氏は語っています。その前にまずホープと遊ぶノーラの現在の様子を見ておきましょう。下をワンクリックしていただくと映像の開始画面に飛びます。
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もう一つ、最近のノーラについてトレーニングの様子を見てみましょう。



さて。このノーラはホーグル動物園到着補に一ヶ月の検疫期間を経て遂に飼育展示場でホープとの同居が始まったわけですが、その日の様子を伝えたライブ映像がありますのでご紹介しておきます。これは以前にも一度ご紹介した映像です。ノーラとホープとのその時点での関係について非常によくわかる映像です。左端で固まっているのがノーラ、右側で動き回っているのがホープです。下をワンクリックしていただくと映像の開始画面に飛びます。
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上のライブ映像が公開されたときに大きな反響があったそうで、何故ノーラは寂しそうにしているのかとか、ホーグル動物園のノーラの扱いは間違っているといった非難の声がかなりあったそうです。やはりノーラは他の個体との同居経験がほとんどなく(オレゴン動物園でのタサルとの同居は極めて短期間で終了しています)、やはりかなり緊張していた感じが窺えます。しかしこの後にゆっくりとではありますがノーラはホープとの関係がうまくいく軌道に乗っていったそうです。ホープは同年齢のノーラよりも体重が約45キロ以上(以前の情報では約80キロでした)も重かったためにノーラは最初の頃はこうしてホープの姿を見ていただけだったそうです。ホープはノーラを無理やり遊びに誘い込むことはせずに辛抱強く行動していたのが幸運でした。そしてとうとうノーラとホープとの関係は親密になったそうです。その映像を御紹介しておきます。これも以前に一度、「アメリカ・ソルトレイクシティ、ホーグル動物園でノーラとホープが同居を開始し、一般公開となる」という投稿でご紹介しています。



ノーラはオレゴン動物園では非常に常同行動の時間が長かったそうですが、そういったものが現在の段階では見られなくなったそうです。ノーラは人工哺育されたコロンバス動物園時代には飼育員さんや来園者などという人間とだけ交流があり、そのためにそういった人間に対してある種の依存心を持ってしまったようで、このことが彼女に不安感を抱かせる結果となってしまったそうです。それは、担当飼育員さんの姿が見えなくなると癇癪をおこしてアザラシのような声を上げたりエサの容器を叩いたりしていたそうです。そしてあたりを歩き回るなどの常同行動を行うために、専門家は彼女に抗うつ剤の投与を行うこととしたそうです。やがて彼女の状態は好転したものの、不安感から生じていると考えられたそうした症状は完全には払拭はできなかったそうです。こういった症状をなくすための唯一の方法はノーラ自身がホッキョクグマであることを習得することだという結論となったというのが経緯だそうです。その具体的手段が彼女に、仲間としての遊び友達を与えてやることだったというわけです。
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次なる問題はノーラの関節の異常でした。ノーラはコロンバス動物園で誕生したあとの生後七週間のときに代謝性骨疾患 (Metabolic bone disease) と診断されたそうですが、これによって本来は真っ直ぐでなければならない骨が曲がっている箇所が少なくとも六か所あることがわかったそうです。特に問題だったのは左前脚の関節部分だそうで、現時点では最も初期の関節炎の徴候が見られるそうです。
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(C)Kale Williams/The Oregonian

下はノーラのサーモグラフィー画像ですが、明らかに左側の前脚の関節部分の温度が右前脚の同じ部分よりも高い値を示しているのが非常によくわかります。
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(C)Kale Williams/The Oregonian

上の写真が示している左前脚の温度の高さは、この部分に炎症が生じている可能性を示しであり、果たしてノーラが現在痛みを感じているのか、感じているとすればどの程度なのかについて人間の筋骨格についての専門家に意見を求めているそうです。ノーラは成長して体重は165キロほどになっているわけですが、彼女が水に中に留まる時間が長いという事実は、そうsることによって彼女が自分の体重が前脚にかかる体重の負担(そしてひょっとして炎症の影響)を軽減することに役立っているということが述べられています。今後果たして彼女の成長によるさらなる体重に増加やホープとの同居によってノーラの精神状態が再び悪化するのかについては現時点でははっきりとした予想はできないとも語られています。ここでまた一つ、ごく最近のノーラの映像を見ておきましょう。以下をワンクリックして下さい。
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やはり人工哺育された個体というのはいくつもの問題を抱えるケースが多いようですね。コロンバス動物園、オレゴン動物園、ホーグル動物園の三園の密接な連携と協力体制によってこのノーラという人工哺育された一頭のホッキョクグマをなんとが正常なレールの上に乗せようとしている姿勢には感心してしまいます。そういった姿勢の背景には、苦戦しているアメリカの動物園におけるホッキョクグマの繁殖について、どうしてもこのノーラを繁殖に寄与させたいという強い意思を感じます。今後もこのノーラを見守っていきたいと思います。

(資料)
OregonLive.com (Feb.7 2018 - Project Nora: We're headed to Utah to visit Nora. What questions do you have?) (Feb.12 2018 - Nora the polar bear finally easing into her new home)

(過去関連投稿)
アメリカ・ポートランド、オレゴン動物園を去るノーラに寄せた深い想い ~ 同園と地元紙の文章
アメリカ・ポートランド、オレゴン動物園でのノーラの最後の一日 ~ 彼女との別れを惜しむ地元の人々
アメリカ・オレゴン動物園のノーラがソルトレイクシティのホーグル動物園に無事到着
アメリカ・トレド動物園のホープがソルトレイクシティのホーグル動物園に無事到着
アメリカ・ソルトレイクシティ、ホーグル動物園でノーラとホープが同居を開始し、一般公開となる
アメリカ・ソルトレイクシティ、ホーグル動物園のノーラが満二歳へ ~ 必読の 'The Loneliest Polar Bear'
アメリカ・ソルトレイクシティ、ホーグル動物園でのノーラとホープの同居が充実への兆しを見せる
「ノーラの物語 "The Loneliest Polar Bear"」がダウンロード可能となる
by polarbearmaniac | 2018-02-16 23:45 | Polarbearology

ロシア極北・ヤマル半島の掘削工事現場でホッキョクグマがホッキョクギツネを襲う

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Image : Sergey Zubanov

ロシア極北・ヤマロネネツ自治管区のヤマル半島にあるサベッタ (Сабетта) の天然ガスの掘削工事現場で非常に珍しいシーンが現場作業員によって撮影されました。それはホッキョクグマがホッキョクギツネ狩りを行ったシーンです。
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私はホッキョクギツネの生態についてはほとんど知識はなく、野生のホッキョクグマを撮影した映像の中で登場しているのを時々見るといった程度です。旭山動物園で確かホッキョクギツネを見たような記憶があるのですが今一つ記憶が定かではありません。少し調べてみたのですがホッキョクギツネはホッキョクグマの食べ残したものを狙うということがよくあるようです。しかし今までホッキョクグマがホッキョクギツネを襲うといったシーンは映像ではほとんど見た記憶が無く、なんとなくホッキョクグマたちはホッキョクギツネを無視しており獲物とは考えていないのだろうと勝手に考えていました。ところが必ずしもそうでもないようです。その映像を下にご紹介しておきますが、襲いかかる瞬間の場面は映っていません。



このホッキョクグマは捕まえたホッキョクギツネを咥えて遠くにいる仲間のほうに去っていきます。おそらく仲間と共にこの獲物を食べてしまおうということなのでしょう。それにしてもホッキョクギツネというのはしたたかな動物のようです。上の映像では何頭ものホッキョクギツネたちも一緒に映っていますが、彼らは自分の「仲間」が襲われたにもかかわらずこのホッキョクグマからは逃げようとせず、隙あらば食べ残しにありつきたいと考えているようにすら見えます。

(資料)
URA.Ru (Feb.15 2018 - Голодные белые медведи ходят в ямальский поселок на охоту)
vesti-yamal.ru (Feb.15 2018 - В Сабетте белый медведь не обращая внимания на столпившихся людей, устроил охоту на песцов)

(過去関連投稿)
ロシア極北・ヤマル半島の掘削工事現場に現れたホッキョクグマ ~ 「手から口へ」というロシア人的発想
by polarbearmaniac | 2018-02-15 22:30 | Polarbearology

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