街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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スコットランド、ハイランド野生公園でヴィクトリアお母さんの赤ちゃんに対する水泳教室が始まる

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ヴィクトリアお母さんと赤ちゃん Photo(C)Highland Wildlife Park

昨年2017年の繁殖シーズンでホッキョクグマの赤ちゃんが誕生して無事に成育しているのは世界では4つの施設(イジェフスク、ムィコラーイウ、ゲルゼンキルヘン、キンクレイグ)にしかすぎません。これは今までの年の半分から三分の一の頭数ですので毎年よりもそれぞれの赤ちゃんの成長を詳しく追っていくことが可能になっているのは皮肉な結果です。イギリス北部スコットランドのキンクレイグにあるハイランド野生公園 (Highland Wildlife Park) で12月下旬に21歳のヴィクトリアから誕生した赤ちゃんは先日、水の入った容器が与えられて水遊びを初めていたことはすでに投稿しています。この赤ちゃんですが、なんと29日の午後にヴィクトリアお母さんと初めて飼育展示場にある池に入ったようです。画質は良くないですがその映像をご紹介しておきます。これは偶然に撮影されたものですが、こういった池のある場所で赤ちゃんが初めて水に入る時に母親がいかに泳ぎを教えてやるかがよくわかる映像です。下をワンクリックして下さい。
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この光景を見ていた来園者によりますとヴィクトリアお母さんは細心の注意を払って赤ちゃんにしっかりと寄り添っています。赤ちゃんがお母さんの後ろで泳いでいるようには見えますが実際はお母さんの尻尾につかまっていたそうです。この赤ちゃんはまだ性別はわからないのですが生後100日ほどでこうして母親と一緒に水に入っているのですから、この点に関するならばその成長は非常に早いように思います。

(資料)
Daily Mail (Mar.31 2018 - Britain's only polar bear cub has its first swimming lesson with mother – holding on to her tail to stay afloat in wildlife park's pond)

(過去関連投稿)
スコットランドのハイランド野生公園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生! ~ 英国で25年振りの赤ちゃん誕生
スコットランドのハイランド野生公園で誕生の赤ちゃん、生後30日を通過 ~ "bursting with excitement..."
スコットランドのハイランド野生公園で誕生の赤ちゃん、遂に母親と一緒に戸外に登場!
スコットランド、ハイランド野生公園の赤ちゃんの屋外初登場の映像 ~ Channel 4 の番組予告編映像より
スコットランド、ハイランド野生公園のヴィクトリア親子が遂に野外の飼育展示場に登場 ~ 一般公開開始へ
スコットランド、ハイランド野生公園の赤ちゃんが小さな容器のプールで水遊び初体験
by polarbearmaniac | 2018-03-31 03:00 | Polarbearology

アメリカ・ネブラスカ州オマハのヘンリー・ドーリー動物園のバンバン(ファニー)がカンザスシティ動物園へ

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バンバン(ファニー) Photo(C)Henry Doorly Zoo and Aquarium

合衆国中西部のネブラスカ州・オマハにあるヘンリー・ドーリー動物園 (Henry Doorly Zoo and Aquarium) がSNSで発表したところによりますと、同園で一頭で飼育されている30歳の雌(メス)のホッキョクグマであるバンバン(Bam Bam - 血統台帳上では「ファニー(Fanny)」となっています)が4月にカンザス州のカンザスシティ動物園に移動することになったそうです。これはヘンリー・ドーリー動物園に新しい飼育展示場をを建設するプロジェクトが進行のために現在のホッキョクグマの飼育展示場を解体せねばならないからだそうです。

30歳になったホッキョクグマを移動させねばならないことはリスクが伴うわけですが、その移動作業には一定の温度が保たれた車両が用いられるそうで、まだ気温が高くならない4月のうちに行うそうです。高齢の彼女の健康の維持を考慮してオマハから最も距離的に近い場所にあるホッキョクグマを飼育している動物園としてカンザスシティ動物園が選ばれたそうです。この移動はAZAのSSPを推進するホッキョクグマ繁殖推進委員会の推薦によるものだそうです。

ここでヘンリー・ドーリー動物園におけるバンバン(ファニー)の姿を見ておきましょう。水に浮かんでいるのが好きなようですね。







このバンバン(ファニー)を迎え入れるカンザスシティ動物園では28歳の雌(メス)のホッキョクグマであるバーリンが一頭で飼育されていますのでバンバン(ファニー)の来園後は一定期間を経て二頭を同居させる予定だそうです。さて、カンザスシティ動物園のファンの中には率直にこのバンバン(ファニー)の来園を喜ぶ人々だけではないというのは予想されたことです。以前にその経緯を詳しく投稿したことがありましたが(下の三つの過去関連投稿を御参照下さい)、数年前にこの動物園で飼育されていた超人気者の雄(オス)のニキータが繁殖目的でノースカロライナ動物園に移動することが決まった時のファンの反応は実に冷ややかだったのです。「ニキータを残してバーリンを追い出せ」といった辛辣な声がいくつも上がったのでした。今回は28歳のバーリンと30歳のバンバン(ファニー)という繁殖可能年齢を過ぎた二頭がカンザスシティ動物園で飼育されることに対して案の定、以下の意見(あえて口には出さないにしても、おそらくカンザスシティ動物園のファンの典型的な意見)が上がっています。

- Have we become the retirement home for polar bears? I’d hope after making the $11,000,000 investment and creating such a beautiful exhibit we could be apart of the breeding program rather then just a place for these bears to spend their final days.

認識と理解が完全に間違っているこういった意見を持つファンが他にも多くいるであろうカンザスシティ動物園に移動する30歳のバンバン(ファニー)には同情してしまいます。バンバン(ファニー)は将来カンザスシティー動物園から新飼育展示場完成後のヘンリー・ドーリー動物園に帰還することはないそうですから、まさに彼女にとってカンザスシティ動物園は余生を過ごす場所となります。生まれて以来30年をこのヘンリー・ドーリー動物園で暮らしてきたバンバン(ファニー)の、まずは無事のカンザスシティへの到着を願っています。

(資料)
Henry Doorly Zoo and Aquarium (facebook/Mar.29 2018)
Omaha World-Herald (Mar.29 2018 - The Omaha zoo's lone polar bear is moving to Kansas City, freeing space for a new exhibit)
The Daily Nonpareil (Mar.29 2018 - The Omaha zoo's lone polar bear is moving to Kansas City, freeing space for a new exhibit)
Kansas City Star (Mar.29 2018 - Kansas City Zoo getting a second female polar bear to join its solitary Berlin)

(過去関連投稿)
アメリカ・カンザスシティ動物園のニキータがノースカロライナ動物園へ ~ 超人気者に移動を迫った繁殖計画
アメリカ・カンザスシティ動物園でニキータのお別れ会が開催される ~ “Logic has to overcome emotion.”
アメリカ・カンザスシティ動物園のニキータが同園を出発 ~ 権利関係が繁殖計画にもたらす要素
by polarbearmaniac | 2018-03-30 15:00 | Polarbearology

ロシア・イジェフスク動物園のドゥムカお母さんとプルガの近況 ~ 「種」より「個」への発想

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ドゥムカお母さんと娘のプルガ Photo(C)Izhlife

昨年2017年11月22日にロシア・ウドムルト共和国のイジェフスク動物園(公式にはウドムルト動物園 - Зоопарк Удмуртии)でドゥムカお母さんから誕生した雌(メス)の赤ちゃんが "プルガ (Пурга)" と命名されたところまでが前回の投稿でした。この親子が公開されているのは午前中だけなのですが地元メディアがこの親子に会うためにイジェフスク動物園を訪問してその様子を短い映像にまとめていますので下に御紹介しておきます。プルガの体重は22.5kgsになっているそうです。



プルガはまだドゥムカお母さんにくっついて飼育展示場を動き回っているだけだそうですが、まだプールには入っていないそうで、それというのもドゥムカお母さんがそうするのを禁じている状態だそうです。プルガ自身も水には興味を示していないそうです。

私は2014年の9月にイジェフスク動物園で二日間にわたってドゥムカお母さんが彼女の最初の子供である雄(オス)のニッサン(現 ヨークシャー野生動物公園)の育児の様子を観察できましたが、ドゥムカお母さんというのは実に豪快な母親でした。自分では息子を気にしないで大胆に振舞っていたものの、その一方で息子を完全に操縦しており意のままに操っていた様子でした。神経質なところがまるでない母親であり、なかなかスケールが大きいと思いました。以前から何度も述べていますがホッキョクグマの母親というのはその育児スタイルは全て全く異なるのです。どれ一頭として同じ母親はいないのです。動物学といった世界に住む方々は動物たちをほとんど「種」として捉えてその行動を一般化してしまうのですが、私は動物学の世界の外側にいる人間ですので「個」の違いのほうに興味があります。「個」の違いを把握するためにはある種の感性の働き、そして対象と自分との間の向き合い方を考える方法論としての文化的・人間学的思考、この両方が要求されるわけで、なかなか容易にはいかない忍耐度が必要になるのですが、そういったことと格闘することはなかなか楽しいことだと私は感じています。
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ドゥムカお母さんとプルガ Photo(C)Izhlife

私は今年は海外に何回か行こうと思っていますので、間違いなくこのドゥムカとプルガの親子に会うことになるでしょう。再びドゥムカお母さんの豪快な母親ぶりを見たいと思っています。今年はロシアで FIFAワールドカップが開催されますので、うまくその期間 (Jun.14~Jul.15)を避けなければいけませんが。

(資料)
Зоопарк Удмуртии (Mar.27 2018 - Растем в любви, заботе и внимании)
Izhlife (Mar.29 2018 - Как поживает белый медвежонок в Ижевском зоопарке)

(過去関連投稿)
ロシア・イジェフスク動物園のドゥムカの幼年時代 ~ モスクワ動物園での「発達障害」の克服
ロシア・イジェフスク動物園がドゥムカの出産準備体勢へ ~ 野生出身のペアによる「新血統」誕生なるか?
ロシア・イジェフスク動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生! ~ 遂に「新血統」の誕生!
ロシア・イジェフスク動物園で誕生の赤ちゃんが生後一ヶ月を無事に通過し両目も開く
ロシア・イジェフスク動物園で誕生の赤ちゃん (仮称 スネジンカ・アイオノヴナ) が無事に生後二ヶ月となる
ロシア・イジェフスク動物園で誕生の赤ちゃん (仮称 スネジンカ・アイオノヴナ) が生後三ヶ月へ
ロシア・イジェフスク動物園の赤ちゃん(仮称 スネジンカ・アイオノヴナ) が間もなく生後四カ月へ
ロシア・イジェフスク動物園の赤ちゃんが初めて屋外に登場!~ 性別は雌(メス)と判明
ロシア・イジェフスク動物園の雌(メス)の赤ちゃんの名前の公募が始まる
ロシア・イジェフスク動物園のドゥムカお母さんと雌(メス)の赤ちゃんの活動範囲が拡大する
ロシア・イジェフスク動物園の雌(メス)の赤ちゃんが元気に生後四カ月が経過
ロシア・イジェフスク動物園の雌(メス)の赤ちゃんの名前が "プルガ (Пурга)" に決まる
by polarbearmaniac | 2018-03-30 02:00 | Polarbearology

フランスのセルザ動物園に一緒に移動したオランダ「動物帝国」の双子姉妹のニッキーとシモーネ

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セルザ動物園に到着したニッキーとシモーネ Image:Franceinfo

欧州でまた広々としたホッキョクグマの飼育展示場が新設されました。以前に「ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクの待機続く ~ 移動先候補にフランスのセルザ動物園が急浮上か?」という投稿でご紹介していますが、フランスの北西部・ノルマンジー地方のリジュー (Lisieux) 近郊のエルミヴァル・レ・ヴォー (Hermival-les-Vaux) にあるセルザ動物園 (Le Parc Zoologique de Cerza) に誕生したホッキョクグマのための新しい飼育展示場ですが、ホッキョクグマだけのために敷地面積が約3ヘクタール(30,000平方メートル)という欧州でも屈指の広さのある飼育展示場だそうで当面は性別の同じ幼年・若年個体を複数頭受け入れるという方針だそうですから欧州における集中プール基地としての機能を持つことになると思われます。欧州にはすでに雄(オス)についてはイギリスのヨークシャー野生動物公園、雌(メス)についてはオランダのエメン動物園がそういった機能を果たしているわけで、今回このセルザ動物園がこの機能を持つということになりますと果たして雌(メス)を対象とするのか雄(オス)を対象とするのかがよくわからなかったわけです。ところが3月22日の夕方に突然、オランダ・ヌエネンの「動物帝国 (Dierenrijk)」で2015年の11月に誕生した二歳の雌(メス)の双子姉妹であるニッキー (Nicky) とシモーネ (Simone) がこのセルザ動物園に到着したことが報じられました。その様子を報じる映像を下にご紹介しておきます。ワンクリックして下さい。
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シモーネ (Simone) を単にモナ (Mona) と呼んでいるようですが本ブログでは引き続いてシモーネ (Simone)と呼ぶことにします。フランス語では本来は「シモーヌ」と表記すべきですがオランダ時代との連続性を考慮して「シモーネ」としておきます。もう一つ映像をご紹介しておきます。下をワンクリックして下さい。 
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さて、こうなりますとセルザ動物園は雌(メス)の幼年・若年個体の集中プール基地となることを意味しているわけです。欧州では2010年あたりから数年間は雌(メス)の個体が不足していたわけですがここ数年は雄(オス)が不足してきているわけで、そういった意味でもこのセルザ動物園が雄(オス)ではなく雌(メス)の二つ目の集中プール基地となるのも頷けることかもしれません。

さて、このニッキーとシモーネという二歳の双子姉妹ですが、さすがに欧州では雌(メス)の双子姉妹を引き離すといったようなことはしなかったわけです。双子兄弟は別として、双子姉妹は引き離さないというのは欧米の繁殖計画立案者や飼育現場では常識となっています。何度も何度も繰り返しますが円山動物園がマルルとポロロを引き離してそれぞれ熊本と徳島に移動させたのは間違いなのです。引き離してしまうと将来の繁殖には不利になるのです。以前に「ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクの欧州への移動は2018年以降の可能性が高い?」という投稿のなかでご紹介したオランダ・レネンのアウヴェハンス動物園の専門員であるヨゼ・コック (José Kok) さんが映像で語っていることですが、飼育下のホッキョクグマに関する過去からの調査によって血統的に繋がりのある雌(メス)の二頭(つまり双子姉妹)を長期間にわたって引き離さないでおくことは将来の繁殖にとって有利となるということが実践的・経験的観点から欧米の飼育現場ではすでに共通認識となっているわけです。

さて、このニッキーとシモーネを送り出したオランダの「動物帝国」ではこの双子の母親であるフリーマスが今年2018年のシーズンに繁殖に挑戦することを意味しているように思います。繁殖としては不作な年であった2017年のシーズンからは一転して、今年2018年の年末には昨年以上の頭数の赤ちゃんが誕生することだけは間違いないでしょう。

(資料)
Franceinfo (Mar.22 2018 - Nicky et Mona, deux ours polaires, arrivent au Cerza) (Mar.25 2018 - Les deux ourses polaires, Mona et Nicky, sont arrivées au zoo du Cerza)

(過去関連投稿)
オランダ・ヌエネンの「動物帝国」でホッキョクグマの双子の赤ちゃん誕生! ~ フリーマスお母さん健闘
オランダ・ヌエネンの「動物帝国」で誕生の双子の赤ちゃんの産室内での近況
オランダ・ヌエネンの「動物帝国」の双子の赤ちゃんが生後82日が経過し健康チェックが行われる
オランダ・ヌエネンの「動物帝国」の双子の赤ちゃんの性別はどちらも「雄(オス)」と発表
オランダ・ヌエネンの「動物帝国」の双子の雄の赤ちゃんが遂に戸外へ
オランダ・ヌエネン、「動物帝国」の雄の双子の赤ちゃんが水に親しみ始める
オランダ・ヌエネン、「動物帝国」の雄の双子の赤ちゃんの名前がニク(Nick)とシモン(Simon)に決まる
オランダ・ヌエネン、「動物帝国」の双子の赤ちゃんの雄(オス)の性別判定に重大な疑惑生じる
オランダ・ヌエネン、「動物帝国」の双子に生じていた性別疑惑に結論 ~ DNA判定で共に雌(メス)
オランダ・ヌエネン、「動物帝国」のフリーマス親子のエンリッチメントに遂にドローンが登場
オランダ・ヌエネン、「動物帝国」のフリーマスお母さんとニッキーとシモーネの双子の近況
オランダ・ヌエネン、「動物帝国」のニッキーとシモーネの雌の双子が満一歳となる
オランダ・ヌエネン、「動物帝国」の雌(メス)の双子のニッキーとシモーネの近況 ~ 十分ではない情報
オランダ・ヌエネン、「動物帝国」の雌(メス)の双子のニッキーとシモーネの初夏の日
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクの待機続く ~ 移動先候補にフランスのセルザ動物園が急浮上か?
by polarbearmaniac | 2018-03-29 02:00 | Polarbearology

スコットランド、ハイランド野生公園の赤ちゃんが小さな容器のプールで水遊び初体験

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Image:Highland Wildlife Park

イギリス北部スコットランドのハイランド野生公園 (Highland Wildlife Park) で12月下旬に誕生した赤ちゃんはヴィクトリアお母さんと屋外に登場してすでに一般公開となっています。この赤ちゃんに対して同園の担当者は産室のある場所のすぐ外のエリアに容器を利用した小さなプールを設置してこの赤ちゃんが少しでも水に親しめるような準備を今のうちから行い始めたそうです。この赤ちゃんの反応を見てみましょう。下をワンクリックして下さい。
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この赤ちゃんは水には興味はあるようですが、まだまだお母さんにくっついているほうが楽しいようです。水の量も非常に少ないためにヴィクトリアお母さんも心配して見ているような態度は見えませんね。

一般公開が開始となったこの赤ちゃんですが、多くの時間を産室のあるエリアのそばで過ごしているそうで飼育展示場に出てくる時間はまだ短いそうです。同園は来園者に対して、この赤ちゃんの姿を常時見ることができない点を十分に留意してほしいと述べています。

(資料)
Independent (Mar.27 2018 - Adorable moment baby polar bear discovers his paddling pool for the first time)
STV News (Mar.26 2018 - UK's only polar bear cub keeps cool in paddling pool)

(過去関連投稿)
スコットランドのハイランド野生公園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生! ~ 英国で25年振りの赤ちゃん誕生
スコットランドのハイランド野生公園で誕生の赤ちゃん、生後30日を通過 ~ "bursting with excitement..."
スコットランドのハイランド野生公園で誕生の赤ちゃん、遂に母親と一緒に戸外に登場!
スコットランド、ハイランド野生公園の赤ちゃんの屋外初登場の映像 ~ Channel 4 の番組予告編映像より
スコットランド、ハイランド野生公園のヴィクトリア親子が遂に野外の飼育展示場に登場 ~ 一般公開開始へ
by polarbearmaniac | 2018-03-28 03:00 | Polarbearology

ドイツ・ゲルゼンキルヘン動物園で誕生の雌(メス)の赤ちゃんの名前の公募が始まる

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Photo(C)ZOOM Erlebniswelt Gelsenkirchen

ドイツのゲルゼンキルヘン動物園で昨年2017年の12月4日に誕生した雌(メス)の赤ちゃんですが、同園はこの赤ちゃんの命名を公募で行うことを発表しました。候補名の取りまとめについては "WAZ Gelsenkirchen" などの地元のメディアや金融機関の協力を得るそうです。そういったメディアのSNSのパージのコメント欄に候補名を書き込んでコメントとして応募するといった方法が採用されています。たとえばこちらのページへのコメントなどで受け付けられるそうです。応募を受け付けた三つの機関からそれぞれ一つずつの候補名が同園に送られ、次の段階として同園のHPで4月2日からその三つの候補名からネット投票で選ぶという順になるようです。
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(C)WAZ Gelsenkirchen

ここ二年ほどこういったホッキョクグマの赤ちゃんの名前の公募をSNSで行うというのが流行になっています。時代が変わったものだと思います。

(過去関連投稿)
ドイツ・ゲルゼンキルヘン動物園でホッキョクグマの三つ子の赤ちゃん誕生! ~ 一頭が元気に成育中
ドイツ・ゲルゼンキルヘン動物園で誕生の赤ちゃん、無事に生後二週間が経過
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ドイツ・ゲルゼンキルヘン動物園で誕生の赤ちゃん、生後五週間が無事に経過
ドイツ・ゲルゼンキルヘン動物園の赤ちゃんが生後六週間を無事に通過 ~ 赤ちゃんに体を密着させる母親
ドイツ・ゲルゼンキルヘン動物園で誕生の赤ちゃん、無事に生後50日が経過
ドイツ・ゲルゼンキルヘン動物園で誕生の赤ちゃんが生後二カ月半となる ~ 母親の育児の安定感
ドイツ・ゲルゼンキルヘン動物園で誕生の赤ちゃんの性別は「雌(メス)」と判明
ドイツ・ゲルゼンキルヘン動物園で誕生の雌(メス)の赤ちゃん、間もなく生後100日目へ
ドイツ・ゲルゼンキルヘン動物園で誕生の雌(メス)の赤ちゃん、母乳以外の固形物を口にし始める
by polarbearmaniac | 2018-03-28 01:00 | Polarbearology

ロシア・イジェフスク動物園の雌(メス)の赤ちゃんの名前が "プルガ (Пурга)" に決まる

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プルガ (Белый медвежонок Пурга / Eisbärbaby Purga) 
Photo(C)Зоопарк Удмуртии

ロシア・ウドムルト共和国のイジェフスク動物園(公式にはウドムルト動物園 - Зоопарк Удмуртии)で昨年2017年11月22日に13歳のドゥムカお母さんから誕生した雌(メス)の赤ちゃんについて同園のSNSサイトのコメント欄で名前の公募が行われていたわけですがその名前が決まりました。「プルガ (Пурга / Purga)」という名前だそうです。これは名前の最終選考を行った同園のスタッフが一致して選考した名前だそうです。この名前の由来は、この語が北極圏における「大吹雪」を意味しており、そして同時にウドムルト語で「ふわふわしたもの」という意味でもあり、ホッキョクグマの赤ちゃんの名前として適しているということが選出の理由となったそうです。
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プルガとドゥムカお母さん Photo(C)Зоопарк Удмуртии

プルガというのははかなか新鮮な名前だと思います。今まであまり聞いたことのない名前ですがはっきりと雌(メス)であることがわかる名前ですし将来この赤ちゃんが他園に移動しても改名される可能性は非常に少ない名前です。素晴らしい名前だと思います。

(資料)
Зоопарк Удмуртии (Mar.27 2018 - Белому медвежонку выбрали имя)
Izhlife (Mar.27 2018 - В Зоопарке Удмуртии выбрали имя для белого медвежонка)
Комсомольская правда в Ижевске (Mar.27 2018 - Белому медвежонку из зоопарка Удмуртии выбрали имя)
ИжевскИнфо.РУ (пресс-релиз) (Mar.27 2018 - Зоопарк Удмуртии выбрал имя для белого медвежонка)

(過去関連投稿)
ロシア・イジェフスク動物園のドゥムカの幼年時代 ~ モスクワ動物園での「発達障害」の克服
ロシア・イジェフスク動物園がドゥムカの出産準備体勢へ ~ 野生出身のペアによる「新血統」誕生なるか?
ロシア・イジェフスク動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生! ~ 遂に「新血統」の誕生!
ロシア・イジェフスク動物園で誕生の赤ちゃんが生後一ヶ月を無事に通過し両目も開く
ロシア・イジェフスク動物園で誕生の赤ちゃん (仮称 スネジンカ・アイオノヴナ) が無事に生後二ヶ月となる
ロシア・イジェフスク動物園で誕生の赤ちゃん (仮称 スネジンカ・アイオノヴナ) が生後三ヶ月へ
ロシア・イジェフスク動物園の赤ちゃん(仮称 スネジンカ・アイオノヴナ) が間もなく生後四カ月へ
ロシア・イジェフスク動物園の赤ちゃんが初めて屋外に登場!~ 性別は雌(メス)と判明
ロシア・イジェフスク動物園の雌(メス)の赤ちゃんの名前の公募が始まる
ロシア・イジェフスク動物園のドゥムカお母さんと雌(メス)の赤ちゃんの活動範囲が拡大する
ロシア・イジェフスク動物園の雌(メス)の赤ちゃんが元気に生後四カ月が経過
by polarbearmaniac | 2018-03-27 18:30 | Polarbearology

ロシア・カリーニングラード動物園がホッキョクグマ飼育の再開を計画しロスネフチ社へ援助を求める

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故スネジンカ (Белая медведица Снежинка) (1973~2011)
(2011年9月20日撮影 於 ロシア・カリーニングラード動物園)

ロシア最大の資源会社であるロスネフチ (Роснефть) 社はロシア国内でホッキョクグマを飼育している動物園に対して大きな支援を行っていることは本ブログで何度もご紹介してきました。同社の支援はそういった動物園のホッキョクグマだけに対してだけ行われており他の動物たちは全く対象にしていないほどにまでホッキョクグマに特化している援助です。さて、そういった同社の飼育下のホッキョクグマたちに対する大きな支援を知るロシアの動物園のなかで、過去にホッキョクグマを飼育していたものの現在は不在となっている動物園が、再びホッキョクグマを飼育することを前提としてロスネフチ社からの支援を得られないかという考えを持ったとしても不思議ではありません。それがロシア西端でポーランドとリトアニアに挟まれた位置にあって他のロシアからは飛び地になっている都市であるカリーニングラードの動物園なのです。
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このカリーニングラード動物園には本ブログを開設した時点ではスネジンカ (Снежинка) という老齢の雌(メス)のホッキョクグマが飼育されていたわけで、私は今から約6年半前の2011年の9月に当時はもう37歳となっていて世界最高齢だったスネジンカに会うためにわざわざカリーニングラードを訪問したことがありました。そのレポートについては過去関連投稿を御参照下さい。死の約一月半前に会ったスネジンカは実に素晴らしいホッキョクグマでした。彼女に会えた体験は今までの私のホッキョクグマ体験のなかで最も強い印象に残ったもののうちの一つでした。生後たった半年で生まれ故郷のキエフ動物園で母親から引き離されてこのカリーニングラード動物園に移動して以来、約37年間をこの動物園で暮らしたスネジンカは私のカリーニングラード動物園の訪問から僅か一月半後の2011年11月に亡くなってしまい、それ以来このカリーニングラード動物園ではホッキョクグマは不在となっています。新たにホッキョクグマを導入するためには飼育環境の大幅な改良のために飼育展示場の大改造が必要となるために同園としてはその予算が十分ではないということが新たなホッキョクグマの導入が困難であることの理由として挙げられていたわけです。


カリーニングラード動物園のスネジンカ (Белая медведица Снежинка в Калининградском зоопарке - 4)
(2011年9月19日撮影 於 カリーニングラード動物園)


さて、しかしカリーニングラード動物園はホッキョクグマ飼育の再開を悲願としていたことは事実であり、そして同園のスヴェトラーナ・サカーロヴァ園長は出張先のニジニ・ノヴゴロドでの動物園関係者との会議の機会に、その会議のスポンサーだったロスネフチ社の担当者と接触して同園における新しいホッキョクグマ飼育展示場の建設工事への資金援助について相談を持ちかけたようで、その結果を明らかにしました。サカーロヴァ園長が語るには、まずロスネフチ社はあくまで同社の飼育下のホッキョクグマに対する支援はあくまで現在ホッキョクグマを飼育している動物園に対してのみ行う方針となってはいるものの、カリーニングラード動物園との共同作業には興味を持っているとのことで、まず新飼育展示場建設の素案と建設費用の概算の提示を今年8月1日までに示してほしいということだったそうです。ロスネフチ社の担当者は、その素案に基づいて新飼育展示場の建設工事に対する財政的支援が可能かどうかを判断することをサカーロヴァ園長に約束したそうです。同社がその素案に対して支援が可能と判断した場合には新飼育展示場の設計費用について2019年に支援を行い、そして次の段階として建設費用の支援に対する交渉をカリーニングラード動物園と行いたいという意向だそうです。サカーロヴァ園長としてはロスネフチ社が設計費用の援助を行ってくれた後に、市当局に対してホッキョクグマの新飼育展示場の建設に対しての承認と建設のための予算の配分を申請するというステップに進む意向だそうで、実際の建設工事は2020~21年に行うという見通しを描いていると語っています。


カリーニングラード動物園のスネジンカ (Белая медведица Снежинка в Калининградском зоопарке - 3)
(2011年9月19日撮影 於 カリーニングラード動物園)


地元の報道ではロシア動物園水族館協会の「ホッキョクグマ飼育ガイドライン ("МЕТОДИЧЕСКИЕ РЕКОМЕНДАЦИИ по содержанию белых медведей в условиях зоопарков России")」について触れています。これについては以前に「ロシアの動物園のホッキョクグマ飼育ガイドラインよりの考察 ~ (1) 繁殖 - 「三年サイクル」を採用へ」という投稿でその一部をご紹介しておこたがありますが、その続編については私はまだ準備中です。このガイドラインにおいて規定されている要件である、ホッキョクグマの飼育展示場は屋根のない Open-air のものでなくてはならないとか、ホッキョクグマを見下ろすような場所に来園者の観覧場所があってはならないとか、プールの容積は最低でも160㎥なければならないとか、一頭当たりの面積は少なくとも300㎡なければならないとか、そういったロシアにおける飼育基準を挙げカリーニングラード動物園におけるホッキョクグマの新飼育展示場の規模について報じています。ホッキョクグマの市区展示場は屋外でなけえばいけないとか飼育展示場を来園者が見下ろす構造ではいけないとかといったこのロシア動物園水族館協会の「ホッキョクグマ飼育ガイドライン」ですが、こういった条件については以前の投稿の続編において述べる予定ですが以前に「ロシア極東・沿海州、ハバロフスク動物園のハバルの夏から秋にかけての話題」という投稿でも一部触れたことがありました。


カリーニングラード動物園のスネジンカ (Белая медведица Снежинка в Калининградском зоопарке - 5)
(2011年9月20日撮影 於 カリーニングラード動物園)


さて、こうなりますと問題は、果たしてカリーニングラード動物園は2019年にロスネフチ社からの新飼育展示場建設についての資金援助が得られることが決まった段階で、その完成前にホッキョクグマを事前に導入できるかどうかといった点が問題になるような気がします。私が考えますにそれは可能ではないかということです。そうなりますとカリーニングラード動物園に移動する個体の最有力候補はやはりノヴォシビルスク動物園のロスチクであるような気がします。このカリーニングラードというのは興味深い街で、ここは第二次大戦以前は東プロイセンのケーニヒスベルク (Königsberg) という名称でありドイツだったわけです。そのために街の構造や雰囲気がドイツの要素がいまだに存在しており私は2011年の訪問ではあまり時間が無くてそういったものをゆっくりと探訪する余裕がありませんでした。この動物園もドイツ時代はケーニヒスベルク 動物園 (Königsberger Tiergarten) という名称でした。動物園のゆったりとした広さや緑の多さにはロシアの動物園ではなくドイツの動物園といった雰囲気が色濃く感じられました。その時は翌年2012年にまたスネジンカに会うためにカリーニングラードに戻ってこようと考えていたのですが残念なことにスネジンカは私の訪問の一か月半後に亡くなってしまったわけです。カリーニングラード動物園がホッキョクグマの飼育を再開すれば、あの街にまたホッキョクグマに会いに行きたいと願っています。

(資料)
Клопс (Mar.23 2018 - Бассейн со ступеньками и вольер без крыши: могут ли в Калининградском зоопарке появиться белые медведи)
Калининград.Ru (Mar.23 2018 - Калининградский зоопарк ищет деньги на вольер для белых медведей)

(過去関連投稿)
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by polarbearmaniac | 2018-03-27 06:00 | Polarbearology

ウクライナ・ムィコラーイウ動物園のジフィルカ親子に天から与えられた季節外れの積雪のプレゼント

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ジフィルカお母さんと赤ちゃん Photo(C)Николаевский Зоопарк

ウクライナ南部の街であるムィコラーイウは通常この3月下旬にはもう春が訪れている時期なのですが今年はどういうわけか積雪があったそうです。昨年2017年の12月8日にムィコラーイウ動物園で誕生した赤ちゃんにとっては天からの素晴らしいプレゼントだったと同園の担当者は語っています。また最新の映像を一つご紹介しておきましょう。



この赤ちゃんがジフィルカお母さんと共に屋外に登場したのは3月13日でしたが、その時にはすでに雪は消えてしまっていたわけで、雪の上でのホッキョクグマの赤ちゃんの恩財を見ることができなかったのですが、こうして天候の不順がもたらせた雪によってこの親子は気持ちがよかったようです。
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赤ちゃん Photo(C)Николаевский Зоопарк

ムィコラーイウ動物園では早速、自園のSNSのページのカバー写真を上のようなホッキョクグマの赤ちゃんの写真に入れ替えたのですが、やはり雪の上での赤ちゃんの姿をどうしても撮影しておきたかったようです。
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Photo(C)Николаевский Зоопарк

飼育下でホッキョクグマの赤ちゃんの初登場が雪の上といった環境が得られるのはロシアの大多数の動物園、アメリカの内陸北部の動物園、カナダの動物園、日本の北海道の動物園、欧州の北欧の動物園といったところでしょう。実は意外に少ないのです。実際にそういったシーンが見られたのはモスクワ動物園、ノヴォシビルスク動物園、イジェフスク動物園、ヤクーツク動物園、ラヌア動物園、トロント動物園、オールボー動物園、札幌の円山動物園といったごく少ない動物園だけなのです。

(資料)
Інше.ТВ (Mar.20 2018 - У Николаевского зоопарка есть своя версия «зимы среди весны» — чтобы белый медвежонок снег увидел!)
ГЛАВКОМ (Mar.20 2018 - Медвежонок из Николаевского зоопарка радуется снегу: появились забавные фото)
КП в Украине (Mar.20 2018 - В Николаевском зоопарке показали как белый медвежонок радуется мартовскому снегу)

(過去関連投稿)
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by polarbearmaniac | 2018-03-26 02:00 | Polarbearology

ラトヴィア・リガ動物園のロメオの飼育環境への非難を迅速に鎮火する同園 ~ 「カザン血統」の実像

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ロメオ Photo(C) Sergejs Čičagovs

バルト海沿岸のラトヴィアの首都であるリガの動物園に暮らしているのが28歳の雄(オス)のホッキョクグマであるロメオ (Romeo) です。彼が同園のHPやSNSのページにほとんど姿を見せなくなってからもう数年経っています。何故このような状態になってしまったかについては「ラトヴィア・リガ動物園のロメオ、「隠者」のように暮らし「幻のホッキョクグマ」への道を歩む」という投稿で述べたことがあります。ホッキョクグマは動物園においては人気動物なのですがリガ動物園においてはその存在はあたかも隠匿されたようになってしまっているというのは世界でも稀なケースでしょう。要するにHPやらSNSに彼の姿を登場させると動物保護活動家が騒ぎ出し、EAZA加盟の欧州の動物園が彼のリガ動物園からの移動を要求してくるわけで、リガ動物園としてはロメオを守るために彼の存在の情報を事実上消してしまっているということなのです。

さて、ところが先日ある来園者が自己のSNSのページにこのロメオを見たときの不快感を投稿しました。彼の体が汚れていて到底ホッキョクグマには見えないといったことや、プールに全く水がないといった状態についてその来園者はロメオに同情して怒りの声を上げたわけです。その来園者が撮影したのが下の写真です。
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Photo(C)Julija Supatashvili

確かにこの写真を見るとロメオは悲惨な飼育環境に暮らしているといった印象を強く与えるわけです。そしてこの来園者のSNSによる「告発」が一部のメディアによって紹介されました。早速、リガ動物園の代表者から「火消し」を行う弁解が報道されています。ロメオは砂のある場所で転げまわるのが大好きでありそれによって体が汚れてしまうことや、冬に期間にはロメオは水に入ることをしないためにプールには水を入れなくしてしまったというや、彼は室内で水を飲むといったことなどの説明が行われました。このロメオが1991年にリガ動物園に来園した時には飼育展示場は現在の六分の一の面積しかなかったものの、その後に段階的に飼育展示場の追加改造が実施され現在では1000㎡の広さになっており、またコンクリート以外の部分もあることなどの説明が行われています。以前に「ラトヴィア・リガ動物園、創立100周年を迎えての苦悩 ~ ホッキョクグマのロメオを守る園長さんの決意」という投稿を行っていますが、リガ動物園としてはなんとかこのロメオを守ろうとしており、そのためならばホッキョクグマのイベントを行わないことによって注目を浴びないようにさえしているわけです。そういったことから、「火の粉」は早めに振り払ってしまおうということなのでしょう。ここで一つだけこのロメオのプールの中での姿をご紹介しておきます。これは2012年の映像のようです。ワンクリックして下さい。
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このロメオは1989年11月21日にロシアのカザン市動物園であの神秘的でカリスマ的なホッキョクグマであったディクサ (1973~2006) から誕生しています。つまりあのウスラーダのすぐ下の弟ということになります。その時代のカザン市動物園ではディクサの他にマーシャという雌(メス)のホッキョクグマも飼育されており、このマーシャも何頭もの子供たちを産んでいるのですがマーシャの産んだ子供のうち何頭かはディクサの子供として血統登録されているといった奇怪な状況が存在していたのです。
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カザン市動物園のカリスマ的ホッキョクグマ、ディクサ (1973~2006)
Photo(C)Вечерняя Казань
*仙台のラダゴル(カイ)、静岡のピョートル(ロッシー)、静岡のヴァニラの祖母、旭川のイワン、大阪のシルカの曾祖母

ディクサが本当に何頭の子供たちを産んだのかについては諸説あり最も多いものでは16頭という記述があるのですが私が複数の現地の資料を突き合わせて丹念に確認してみた限りでは11頭ではないか(あるいは12頭)というのが現在までの調査の結果の数字です。ウスラーダやロメオはそういった間違いなくディクサの子供であることに確認がとれています。一方でズーラシアの故チロはカザン市動物園生まれではありますがディクサの子供でないということです。カザン市動物園というのは謎の多い動物園で血統登録が正確に行われていないのが難点なのです。ディクサの産んだ娘たち、つまりサンクトペテルブルクのウスラーダ、カザンのマレイシュカ、バンコクのウディ(静岡のヴァニラの母)はことごとく複数回の繁殖に成功しています。ところがズーラシアの故チロは成功しなかったわけで、そういったことからも故チロがディクサの実際の娘ではなかったことの傍証にもなっているということでしょう。ディクサの娘であるウスラーダとマレイシュカは大変に気の強いホッキョクグマです。ではディクサの息子であるロメオはどういった性格なのでしょうか? これは興味のあるところです。

ロシアを支配し、そして日本を席巻して欧州にもその勢力を拡大している「カザン血統(アンデルマ/ウスラーダ系」というのは二つのラインから成立してシモーナ(コーラ、クラーシン/カイ etc.)の代で合体するわけです。つまり、

(A)アンデルマ - メンシコフ - シモーナ(コーラ、クラーシン/カイ etc.)
(B)ディクサ - ウスラーダ - シモーナ(コーラ、クラーシン/カイ etc.)

というわけです。リガ動物園のロメオは(B)のラインにのみ属するホッキョクグマということになります。日本に暮らすホッキョクグマたちの中でやはり同じく(B)のラインにのみ属するのは静岡のヴァニラです。一方で姫路のルトヴィク(ホクト)、白浜のゴーゴ、浜松のモモは(A)のラインにのみ属します。そして(A)(B)の両方のラインに属しているのが仙台のラダゴル(カイ)、静岡のピョートル(ロッシー)、旭川のイワン、大阪のシルカということです。ロシアのホッキョクグマ界で「カザン血統 ("происходят от одной казанской линии")」という場合には一般的には(B)のみを指すようです。私は少なくとも(A)(B)のどちらか片方にでも属すれば「アンデルマ/ウスラーダ系」という集合で呼ぶわけです。

(資料)
DELFI.lv (Mar.23 2018 - Читательницу шокировали условия содержания белого медведя в Рижском зоопарке)
Mixnews.lv (Mar.23 2018 - Очевидица: какого чёрта белый медведь в рижском зоопарке совсем "не белый"?!)
info.riga.lv-ru (Mar.23 2018 - Рижане спрашивают: почему белый медведь такой грязный?)

(過去関連投稿)
ラトヴィア・リガ動物園のホッキョクグマ・ロメオの不本意な「引退」
ラトヴィア・リガ動物園のロメオ、21歳の誕生日の苦渋 ~ 雄の繁殖能力年齢の上限は? 
ラトヴィア、リガ動物園のロメオに外国の動物園が食指 ~ 「小さくて弱い」 動物園に対するイジメか?
ラトヴィア・リガ動物園、創立100周年を迎えての苦悩 ~ ホッキョクグマのロメオを守る園長さんの決意
ラトヴィア・リガ動物園のロメオ、「隠者」のように暮らし「幻のホッキョクグマ」への道を歩む
by polarbearmaniac | 2018-03-25 06:00 | Polarbearology

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