街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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欧州へ!

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現在、成田国際空港第一ターミナル内のラウンジです。これから欧州へ向かいます。「暑さを逃れて」と言いたいところですが、ここ数日はやや涼しい日が続いていますので皮肉な話です。これからポーランド航空にてまずワルシャワに向かいます。ワルシャワに行くのは9年振りになりますが、もちろんそれから先の目的地は複数あるわけです。
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5月にロシア、ラトヴィア、エストニアを旅行しましたが、それ以降私の体調があまり良くなく本来でしたらもっと前に今回の旅行に出かける予定でした。今回の旅行も旅程は比較的ゆったりとしたものにしています。時間をかけてホッキョクグマたちと向かい合いたいと思っています。成田からワルシャワまでの飛行時間は約11時間です。旅先では可能な限りブログを更新するつもりです。
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それではまた!

(2018年8月20日 @成田国際空港・第一出発ターミナル内ラウンジ)
by polarbearmaniac | 2018-08-20 09:15 | 異国旅日記

チェコ・ブルノ動物園の二つの別れ ~ ノリアの間近の旅立ちと彼女の父親ウムカの死

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ノリア Image:SeznamZprávy.cz

チェコのブルノ動物園は二つの別れをほぼ同時に経験うることになってしまいました。一つは先週土曜日の雄(オス)のウムカの突然の死、そして次は今月末日に予定されているウムカの娘である二歳のノリアのドイツ・ロストック動物園への旅立ちです。特別給餌によるノリアのお別れ会は25日に行われる予定だそうですが、ブルノの地元のファンにとっては非常に複雑な気持ちでしょう。ブルノ動物園のSNSサイトにはウムカの19愛での突然の死を悼む地元ファンのメッセージで一杯になっています。皆さんとてもショックだったことに間違いありません。ウムカが亡くなりノリアが旅立っていくとブルノ動物園のホッキョクグマはコーラだけになってしまいます。しかしブルノ動物園のスタッフは彼女の行動の変化などから今年の暮れ、多分11月にコーラは出産する可能性が高いと述べていますので是非とも成功して欲しいものです。成功すればコーラにとっては6頭目の子供ということになります。ここで地元ブルノのTVニュース映像をご紹介しておきます。登場しているのは勿論ノリアです。これはおそらくウムカが急死する直前のものでしょう。



ブルノ動物園のスタッフが語るには、過去12ヵ月間に欧州(多分ロシアを入れているのでしょう)の動物園で誕生した赤ちゃんは12頭だが生き残っているのは4頭だけであると言っていますが確かにそうです。ハイランド野生公園(英スコットランド)、ゲルゼンキルヘン動物園(ドイツ)、イジェフスク動物園(ロシア)、ムィコラーイウ動物園(ウクライナ)でそれぞれ一頭、つまり合計4頭です。ブルノ動物園が語るには、コーラの母親(つまりウスラーダ)が最後に出産に成功したのは26歳の時だったので現在19歳のコーラもその年齢までは十分に繁殖は可能であると述べて自信を示していたわけですが、その矢先にコーラのパートナーであるウムカが急死してしまったというわけです。ブルノ動物園のスタッフの落胆には計り知れないものがあるだろうと思います。
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コーラ Photo(C)Zoo Brno

(資料)
SeznamZprávy.cz (Aug.18 2018 - Brněnská rarita. Lední medvědice Cora posílá do světa páté odchované mládě)

(過去関連投稿)
チェコ・ブルノ動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生! ~ コーラお母さんが待望の出産
チェコ・ブルノ動物園で誕生の赤ちゃん、最初の関門を突破 ~ 屋外で出産していたコーラお母さん
チェコ・ブルノ動物園から遂に待望の産室内ライブ映像の24時間配信が開始!
チェコ・ブルノ動物園で誕生の赤ちゃんの産室内映像ハイライト ~ コーラお母さんの手堅い育児
チェコ・ブルノ動物園の赤ちゃん、元気に間もなく生後二カ月へ ~ ライブ映像のみに託した情報発信
チェコ・ブルノ動物園で誕生の赤ちゃんの近況 ~ コーラお母さんに少量の給餌が再開
チェコ・ブルノ動物園で誕生の赤ちゃんが生後80日を無事経過
チェコ・ブルノ動物園で誕生の赤ちゃんが突然短時間、戸外に姿を現す ~ 想定外の早さに驚く同園
チェコ・ブルノ動物園で誕生の赤ちゃん、明日3月18日より一般へのお披露目が同園より告知
チェコ・ブルノ動物園の赤ちゃん一般公開開始の様子がネットでライブ生中継
チェコ・ブルノ動物園のコーラ親子の一般への公開が開始となる ~ 深夜でも動き回る親子
チェコ・ブルノ動物園のコーラお母さんの育児スタイルに変化 ~ 経験よりも頭数が重要な要素か?
チェコ・ブルノ動物園のコーラ親子の映像を解釈する ~ 育児方法の転換が不十分なコーラお母さん
チェコ・ブルノ動物園の赤ちゃんの性別は雌(メス)と判明 ~ 名前の公募始まる
チェコ・ブルノ動物園のコーラお母さん、プールに転落した赤ちゃんを救出 ~ 落ち着いた対応
チェコ・ブルノ動物園の雌(メス)の赤ちゃんの名前が「ノリア(Noria)」に決まる
チェコ・ブルノ動物園、幾分どっしり構えるコーラお母さんと遊び好きで活動的な赤ちゃんのノリア
チェコ・ブルノ動物園、コーラお母さんの「水泳教室」 ~ 娘のノリアへの関与性を高める
チェコ・ブルノ動物園の赤ちゃんノリアが泳ぎ始める ~ 母親の役割を見事に発揮するコーラお母さん
チェコ・ブルノ動物園のノリアの水遊び ~ 雌(メス)のほうが雄(オス)よりも遊び好きが多いのは何故か?
チェコ・ブルノ動物園の飼育展示場に落下した帽子をノリアが引き裂いて「首飾り」にしてしまう
チェコ・ブルノ動物園のコーラ親子を的確に捉えた視点 ~ “Nature imitates Art.”
チェコ・ブルノ動物園のノリアが無事に生後半年が経過
チェコ・ブルノ動物園のノリアの近況 ~ コーラお母さんの余裕と熟練の育児
チェコ・ブルノ動物園のコーラお母さんと娘のノリアの充実した時間
チェコ・ブルノ動物園のコーラ親子の近況 ~ 「偉大なる母」の領域に入りつつあるコーラお母さん
チェコ・ブルノ動物園のノリアが母親コーラから会得した行動の規範
チェコ・ブルノ動物園、コーラとノリアの母娘を見つめる同園の一貫した視線
チェコ・ブルノ動物園のノリア、そして母親であるコーラとの間に流れる緊密で濃厚な時間
チェコ・ブルノ動物園のコーラ、その磨きのかかった母親としての存在感
チェコ・ブルノ動物園のコーラとノリアの母娘の近況
チェコ・ブルノ動物園の間もなく一歳になるノリアについて聞こえてこない将来の移動先の噂
チェコ・ブルノ動物園、母親として最絶頂期に差し掛かったコーラお母さんと娘ノリアの楽しい時間
チェコ・ブルノ動物園のノリアの満一歳が祝われる ~ ホッキョクグマ一家の合同お誕生会となる
チェコ・ブルノ動物園のコーラとノリアの母娘、その冬の日の姿 ~ 「偉大なる母」へと変貌したコーラ
チェコ・ブルノ動物園、コーラとノリアの冬の寒波の日
チェコ・ブルノ動物園の一歳のノリアに対して、まだ母親コーラの監視の目が光る
チェコ・ブルノ動物園の「国際ホッキョクグマの日」 ~ コーラとノリアの母娘の近況
チェコ・ブルノ動物園の一歳半のノリアの成長 ~ 優れた資質と磨かれた感性
チェコ・ブルノ動物園の一歳半を過ぎたノリアの近況 ~ 欧州ホッキョクグマ界の次世代の有望株の姿
チェコ・ブルノ動物園でコーラ親子に現金で多額の寄付を行い、名も告げず去った人物
チェコ・ブルノ動物園のコーラとノリアの母娘の近況 ~ 母親と娘を長く同居させる最近の欧州の傾向について
チェコ・ブルノ動物園のノリアが間もなく満二歳へ ~ 母親の年齢と子供の潜在能力との関係
チェコ・ブルノ動物園のライブカメラの整備・調整が完了し映像配信が再開 ~ 視界不良のノリアの将来
チェコ・ブルノ動物園のノリアがドイツ・ロストック動物園へ ~ 再び西側のEAZAを向いたブルノ動物園
チェコ・ブルノ動物園のコーラとウムカの同居が開始 ~ 今年の繫殖シーズンに参戦する大物ペアの登場
ドイツ・ロストック動物園の新飼育展示場の主役はノリア(ブルノ)とアキアク(レネン)と発表
チェコ・ブルノ動物園のノリアの旅立ちの日が迫る ~ 8月31日に同園を出発の予定
by polarbearmaniac | 2018-08-20 02:00 | Polarbearology

チェコ・ブルノ動物園のウムカ死す! ~ 歯科治療手術の翌日に非業の急死

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ウムカ (Lední medvěd Umca)  Photo(C)Zoo Brno

欧州の偉大な雄(オス)のホッキョクグマがまた亡くなってしまいました。チェコ・ブルノ動物園が8月18日の土曜日に発表したところによりますと同園で飼育されていた19歳の雄(オス)のホッキョクグマであるウムカ (Umca) が同日亡くなったとのことです。ウムカはここのところ歯の状態に問題が生じていたそうで先週にはそれが悪化したために金曜日に歯科治療手術が行われたそうです。ところが歯の状態は広範囲に悪化しており、麻酔からは覚醒したものの治療処置手術の翌日の土曜日に亡くなったとのことです。ブルノ動物園としてはウムカの歯科治療措処置手術はどうしても行わねばならないほどウムカの歯の状態は悪化ディており、それ以上この措置を遅らせることは許されないほどの段階になっていたと述べています。死因については検死にて明らかにする予定だそうです。私は到底納得できない気持ちです。ブルノ動物園はウムカの死の状況についてもっと説明する必要があるでしょう。
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ウムカ Photo(C)Ondřej Požár

ウムカの死は間違いなく歯科治療手術に関係があると思われますが彼の死の具体的状況につぃてブルノ動物園は非常に漠然とした内容しか発表していません。それにしてもウムカの死は痛恨事です。ここのところ欧州では繁殖に実績のある雄(オス)が次から次へと亡くなっています。これでコーラのパートナーはいなくなってしまいました。このウムカはカザフスタンのアルマトイ動物園で人工哺育で育てられた個体ですがチェコのブルノ動物園ではすでに5頭の子供たちの父親になっています。ウムカの父親はアルマトイ動物園のアリコル、そしてアリコルの母親はカリーニングラード動物園で飼育されていた故スネジンカです。このスネジンカは私にとっては非常に印象の強いホッキョクグマでした。ウムカト彼のパートナーであるコーラとの間には今年の春に繁殖行為があったようですからコーラには今年の年末に出産の期待がかかっています。なんとかうまくいってほしいと願わざるを得ません。ここで生前のウムカの姿をもう一度見ておきましょう。



心より謹んで偉大なホッキョクグマであったウムカの死に哀悼の意を表します。

(資料)
České noviny (Aug.18 2018 - V brněnské zoo uhynul lední medvěd Umca, trápily jej zuby)
iDNES (Aug.18 2018 - Brněnský lední medvěd Umca zemřel. Trápily ho problémy se zuby)
Blesk.cz (Aug.18 2018 - Smutný víkend v brněnské zoo: Po operaci zubů uhynul lední medvěd Umca)
Brněnský deník (Aug.18 2018 - Brněnskou zoo zahalil smutek. Lední medvěd Umca uhynul, měl problémy se zuby)

(過去関連投稿)
来シーズンの繁殖に向けて動き出したチェコ・ブルノ動物園 ~ コーラとウムカの同居開始
チェコ・ブルノ動物園のウムカ、「偉大なホッキョクグマ」への道を歩む ~ 人工哺育された雄の大器
チェコ・ブルノ動物園のウムカ、人工哺育の過去を全く感じさせない「頼りになる男」の姿
チェコ・ブルノ動物園のノリアがドイツ・ロストック動物園へ ~ 再び西側のEAZAを向いたブルノ動物園
チェコ・ブルノ動物園のコーラとウムカの同居が開始 ~ 今年の繫殖シーズンに参戦する大物ペアの登場
by polarbearmaniac | 2018-08-19 00:15 | Polarbearology

モスクワ動物園・ヴォロコラムスク附属保護施設のアヤーナの近況 ~ 優れた外部環境への適応性

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アヤーナ(ウムカ-アヤーナ) (Умка-Аяна) 
Photo(C)Павел Воробьев/Вечерняя Москва

モスクワ動物園のヴォロコラムスク附属保護施設で飼育されている生後18カ月の雌(メス)のアヤーナ(正式には"ウムカ-アヤーナ (Умка-Аяна)") は昨年2017年の10月初頭にロシア北東部のサハ共和国の内陸部のコルィマ河岸で保護された野生孤児個体です。モスクワ動物園は飼育下のホッキョクグマの血統の多様性を維持するためにこのアヤーナについて将来の繁殖に大きな期待を持っており、同じく野生孤児市出身で一歳年上の雌(メス)であるニカと共に大事にヴォロコラムスク附属保護施設で保護・飼育しています。ヴォロコラムスク附属保護施設は特定の日だけモスクワ市内で募られたツアーで参加する人々にだけ公開する以外は原則的に非公開施設です。
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アヤーナ Image:МТРК «МИР»

昨日、複数のメディア関係者がこのツアーに参加してヴォロコラムスク附属保護施設を訪問し、保護されてから約10カ月になったアヤーナの様子についてレポートしています。そのニュース映像をいくつか見てみましょう。まず最初の映像では開始後22秒あたり以降からが昨日のヴォロコラムスク附属保護施設の訪問記になっています。1分6秒あたりからニカの姿も登場していますが彼女は非常に体が大きくなっていて順調な成育をしているようです。アヤーナは歯の治療の甲斐もあってか今ではきちんと食事が摂れるようになっているそうです。スタッフは彼女を「アナーシャ」という愛称で呼んでいるそうです。モスクワ動物園はこのアヤーナにやはり野生出身のパートナーを当てがって飼育下のホッキョクグマの遺伝子の多様性を確保することが重要であると力説しています。それから、アヤーナは隣の区画にいるニカとはなんとなく交流があるそうで、ニカとは別区画での飼育にもかかわらず思いのほかアヤーナの「適応化」が進んだためか敢えて急いでこの二頭を同居させることはないといった考え方になっているそうです。



次の映像ではこのアヤーナのサハ共和国からモスクワまでの移送に大きな援助を行ったロシアの議会の与党である「統一ロシア」のメンバーの方が語っていますが、三角コーンなどのおもちゃを差し入れてホッキョクグマたちが退屈しないように努めているとも語っています。



次はアヤーナが保護されたサハ共和国、その首都であるヤクーツクのTVニュースの映像で、最初の映像のシーンと共通部分が多いです。



次はやはりニュース映像ですが、下の写真をワンクリックして下さい。アヤーナは蜂蜜を付けたパンが好物だそうで、その他にもちろん肉や魚を食べるそうですが果物や野菜はあまり好きではないそうです。彼女はやはりまだ同年齢の飼育下生まれのホッキョクグマよりも体は小さいそうです。



このアヤーナは以前は神経質な性格だったものの驚くほど環境に適応して、現在では雌(メス)らしさと柔軟さを兼ね備えたホッキョクグマに変貌しているそうです。やはりこうした野生孤児個体の扱いについてはモスクワ動物園は手慣れているように感じます。この生後18カ月のアヤーナ、そして一歳年上のニカという二頭の雌(メス)の野生出身の個体を将来はうまく繁殖に導いていく動物園としてはモスクワ動物園が最もその技量に優れているということでしょう。この二頭はロシアのホッキョクグマ界の救世主であり、将来的には彼女たちの子供が「新血統」として欧州の動物園に移動することとなるはずです。

(資料)
Вечерняя Москва (Aug.16 2018 - Яркие подарки для спасенной Умки)
МТРК «МИР» (Aug.16 2018 - Белую медведицу Умку-Аяну навестили в годовщину ее спасения)
SAKHALIFE.RU (Aug.17 2018 - Медвежонок Умка-Аяна: Вспомним, как ее нашли)

(過去関連投稿)
ロシア北東部サハ共和国で北極海岸より700キロも離れた内陸で野生孤児が目撃 ~ 保護に動く自然管理監督局
ロシア北東部の内陸をさまよう個体への対応の二つの選択肢 ~ 動物園での保護か生息地への移送・解放か?
ロシア北東部 サハ共和国の内陸でホッキョクグマの幼年個体が保護 ~ 生後一年未満の雌(メス)と発表
ロシア北東部 サハ共和国の内陸で保護された雌(メス)の幼年個体がスレドネコルィムスクの街に移送される
ロシア北東部 サハ共和国の内陸で保護された幼年個体がヤクーツクに到着 ~ ただちにモスクワへ
ロシア北東部サハ共和国で保護された幼年個体がモスクワ動物園のヴォロコラムスク附属保護施設に無事到着
ロシア北東部サハ共和国で保護された幼年個体、検疫終了後にただちにモスクワ動物園の本園に登場の予定
モスクワ動物園 ヴォロコラムスク附属保護施設で保護された孤児の名前が「ウムカ-アヤーナ」に決まる
モスクワ動物園 ヴォロコラムスク附属保護施設のアヤーナがニカと同居の見通し ~ 「適応化」へ
モスクワ動物園 ヴォロコラムスク附属保護施設のアヤーナの近況 ~ 魚の給餌量の多いロシアの動物園
モスクワ動物園・ヴォロコラムスク附属保護施設のアヤーナ、歯の治療から発見場所の謎を考察する
by polarbearmaniac | 2018-08-18 02:00 | Polarbearology

イギリスのヨークシャー野生動物公園のヴィクトルが花粉アレルギー検査を受ける

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Photo(C)Yorkshire Wildlife Park

なかなか興味深いニュースが報じられています。イギリスのサウス・ヨークシャー州 ドンカスター近郊にあるヨークシャー野生動物公園 (Yorkshire Wildlife Park)は欧州における雄(オス)のホッキョクグマの幼年・若年個体の集中プール基地として機能しているだけでなく繁殖から引退したホッキョクグマが余生を快適に過ごす場所にもなっています。ここで飼育されている19歳の雄(オス)のヴィクトルと4歳のノビの二頭が脚に腫れ物ができたそうです。ヨークシャー野生動物公園はその原因について、この二頭が飼育展示場にコンクリートのある動物園から草地ばかりのヨークシャー野生動物公園に移動したために花粉アレルギー (Pollen allergy) になったためではないかと考えているそうです。
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Photo(C)Yorkshire Wildlife Park

そこで、リヴァプール大学の複数の皮膚科医とヨークシャー野生動物公園の獣医さんなどの数名のチームがヴィクトルを麻酔にかけて体毛、血液、組織などを採取する検査を行い、いったいヴィクトルとノビのアレルギーの原因が何なのかについて解明することとなったそうです。体重620kgsのヴィクトルの検査について二つの映像が公開されていますのでご紹介しておきます。





検査の結果は後日判明するそうです。さて、こういったことですが札幌・円山動物園のララとリラはつい先ごろまでコンクリートばかりの飼育展示場に暮らしていたものの、草地の面積の多い新飼育展示場である "Polar Bear Museum" に移動したわけですから、こういったアレルギーになる危険性はあるかもしれません。ヨークシャー野生動物公園の場合は脚に腫れものができるといった症状になったわけで抗生物質での治療が行われるということになったという事例を記憶しておくほうが良いかもしれません。

(資料)
The Telegraph (Aug.16 2018 - Victor the polar bear undergoes pollen allergy test at Yorkshire Wildlife park)
The Times (Aug.16 2018 - In pictures: polar bear gets his allergy tests)
ITV News (Aug.16 2018 - Pollen allergy test for Victor the polar bear)
BBC News (Aug.16 2018 - Yorkshire Wildlife Park polar bears given pollen allergy tests)

(過去関連投稿)
イギリス・ヨークシャー野生動物公園のヴィクトルの姿 ~ 「飼育下の集団の維持」について
イギリスのヨークシャー野生動物公園に移動した二歳の雄のピセル ~ 「基準」を超えた環境へ進む欧州
モスクワ動物園の生後22ヶ月の雄のニッサンがイギリスのヨークシャー野生動物公園に到着
ドイツ・ミュンヘン、ヘラブルン動物園のネラとノビの双子が同園を出発、オランダとイギリスに到着
イギリス・ヨークシャー野生動物公園のヴィクトルの健康診断が実施される ~ 優れた紹介映像
(*「集中基地システム」関連)
欧州がホッキョクグマの幼年・若年個体をプールする 「集中基地」 を計画 ~ 雌はオランダ、雄はイギリスへ
オランダ・ヌエネン、「動物帝国」のピセルがイギリスへ ~ 欧州の若年個体「集中基地システム」が発動
オランダ・エメン動物園、来春に新施設が完成 ~ 幼年・若年個体集中基地システムの機能拡充へ
イギリス・ヨークシャー野生動物公園で暮らす四頭の雄たち ~ 「集中基地システム」の持つ別の意味
イギリス・ヨークシャー野生動物公園で悠々と暮らすホッキョクグマたち ~ Downgrade となる他園への転出
イギリスのヨークシャー野生動物公園でホッキョクグマたちの合同誕生会が開催 ~ 拡張計画で飼育の充実へ
by polarbearmaniac | 2018-08-17 02:00 | Polarbearology

フランス・ロレーヌ地方、アムネヴィル動物園のオラフが亡くなる ~ 「雪の練習生」の死

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オラフ Photo(C)Zoo d'Amnéville

今まで投稿していなかった動物園でのホッキョクグマの訃報です。報道によりますとフランス・ロレーヌ地方のアムネヴィル動物園 (Zoo d'Amnéville) で飼育されていた雄(オス)のホッキョクグマであるオラフ (Olaf) が7月27日に死亡しているのをスタッフが見つけたそうです。このオラフの年齢は報道によって異なり、31歳であるとも34歳であるとも報じられています。彼は1999年にベルリン動物園から来園したとしています。しかしもともと彼はサーカスで演技させられていたホッキョクグマであり正確な生年は不明です。オラフは例のウルズラ・ベトヒャー(Ursula Böttcher) 女史が調教師として勤めていた旧東ドイツのサーカス団で演技していたホッキョクグマです。つまり彼は「雪の訓練生」を経験していたということです。ちなみにこのサーカス団 (Staatszirkus der DDR) の記録 (Ursula Böttcher & Manfred Horn) を見ますと彼の生年は1988年となっていますから、実際の彼の年齢は29歳である可能性が高いでしょう。このオラフは彼と双子の兄弟であるらしいトロムソ (Tromso) と共にベルリンからアムネヴィル動物園に入園したという経緯があるそうです。トロムソもこの記録によれば生年は1988年になっています。しかしこの記録が語るところによりますと大変奇妙なことにオラフとトロムソは野生出身とはなっていないのです。ちなみに故クヌートの母であった同じサーカス出身の故トスカはこの記録によればカナダ出身の野生個体となっています。
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オラフ Photo(C)Zoo d'Amnéville

オラフはここ二年間ほど動きが鈍い状態だったそうで、呼吸器の疾患と骨関節炎を患っていたそうです。検死の結果、オラフの死因は心臓疾患と骨関節炎であったとのことです。古い映像ですがアムネヴィル動物園でのオラフの生前の姿を見てみましょう。



同園はオラフの死後に残された彼の兄弟であるトロムソについて非常に心配しているそうです。トロムソは生前のオラフと仲が良かったそうで、トロムソはオラフの死後2~3日間はあまり食事を摂らなくなってしまい動きも鈍くなっていたとのことです、しかし最近になって食欲は回復しているそうです。

謹んでオラフの死に哀悼を表します。

(資料)
Le Républicain Lorrain (Aug.16 2018 - Olaf, l’ours blanc du zoo, est mort)
20minutes.fr (Aug.16 2018 - Moselle: Figure du zoo d'Amnéville, l'ours blanc Olaf est décédé)
Le Dauphiné Libéré (Aug.16 2018 - Zoo d'Amnéville : l'ours polaire Olaf est mort de vieillesse)
RTL.fr (Aug.16 2018 - Olaf, l'ours blanc, est décédé de vieillesse au zoo d'Amnéville)
Staatszirkus der DDR (Ursula Böttcher & Manfred Horn)
Der Tagesspigel (Sep.27 1999 - Vor drei Wochen ging Ursula Böttchers weltberühmte Eisbären-Dressur zu Ende. Obwohl sie zusammengehören, hat man die Tiere getrennt.)
by polarbearmaniac | 2018-08-17 00:30 | Polarbearology

ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクの近況 ~ 不透明な今後の状況

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ロスチク Image:Татьяна Горячева

ロシア・西シベリアのノヴォシビルスク動物園で2015年の12月7日に当時8歳のゲルダお母さんから誕生した雄(オス)のロスチク (Ростик) は2017年3月に母親であるゲルダと別飼育になって以来、依然として同園に留まっています。彼が母親であるゲルダと引き離された最も大きな理由はモスクワ動物園が主導しているロシアの動物園が欧州のEAZAとの間でのホッキョクグマ繁殖計画に参加する形でロシア国内の個体を欧州に移動させるスキームの中にロスチクが入ったからです。それに基づいてノヴォシビルスク動物園はEAZAとモスクワ動物園からのロスチクの移動先に関する指示を待つためにロスチクを移動待機の状態に置いたわけです。もう一つの理由はゲルダがパートナーであるカイ(クラーシン)との間での次の繁殖を狙うためには3月頃までにロスチクを母親から引き離しておく必要があったためです。

ところがEAZAやモスクワ動物園からはその後ロスチクの移動先についてノヴォシビルスク動物園に対して何らの通知もなく、結局ロスチクの欧州への移動は宙に浮いたままとなり、そしてさらにその後にロスチクは欧州における繁殖計画には加わらない個体であることがほぼ明らかになったというのが現在までの経緯です。こういったロスチクを巡る状況の変化を私は大変興味を持って見つめてきたというのは事実です。誤解されることを覚悟で敢えて言えば、ロスチクは一種の「余剰個体」となってしまっているというのが現実です。彼が他園に移動しようとすればそれはロシア国内の動物園か、あるいは日本の動物園でしょう。円山動物園(札幌市)がその気になればロスチクの入手はかなりの確率で可能な状況です。ただしかし、事前に相当の熟慮が必要でしょう。その理由はロスチクの導入が日本のホッキョクグマ界にもたらす血統面での危惧にあるからです。私はロスチクの今後について非常に危惧の念を持っていますし彼に大いに同情しています。
さて、ここで最近のロスチクの様子を見ておきましょう。









昨日のウクライナのムィコラーイウ動物園に関する投稿の中で紹介したトプチィイ園長のインタビュー記事ではホッキョクグマ以外の動物についていろいろなことが語られていました。その内容の中に私には一つ気になることが含まれていました。EAZAはウクライナの動物園に欧州では「余剰」となった個体を移動させようという案が出ている可能性があります。血統面で繁殖に適さない個体を去勢させて欧州域外(つまりウクライナ)に移動させようという案が出ている可能性が示唆されているように私には感じられます。仮にそれが事実だとすると、それがホッキョクグマにまで及んでくる可能性がないわけではありません。欧州というのは徹底的に血統重視なのです。ですから欧州ではロスチクとリラという組み合わせはありますがゴーゴとシルカという組み合わせは行わないのです。私はノヴォシビルスク動物園がゲルダの本当の母親が誰なのかについてDNA鑑定などを用いて明らかにしたほいがよいと考えます。これについては「「ロシア血統の謎」に迫る(1) ~ ラスプーチン、ゲルダ、血統番号2893個体の三頭の謎を追う」、及び「ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃんが死亡 ~ 名状し難き不安感」という投稿を御参照下さい。今までとは言い方を変えてみましょう。ゲルダは現在の血統情報では旭川のイワンの妹です。しかし私の仮説ではゲルダは男鹿の豪太の妹ではないかということです。ゲルダはイワン(旭川)と豪太(男鹿)のどちらに似ているでしょうか? イワンに似ているというのならば現在の血統情報が正しいということになります。豪太に似ているというのならば現在の血統情報は正しくないということです。

(過去関連投稿)
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の「国際ホッキョクグマの日」 ~ ゲルダ親子を愛する「草の根のファン」
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダとロスチク、親子としての一つの「完成形」を達成か?
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクが母親ゲルダと別居となる ~ シルカもいた同園内の別の場所へ
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の「二つの愛の心」 ~ "Два любящих сердца"
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクが母親ゲルダと別居となる ~ シルカもいた同園内の別の場所へ
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクの別居は安全上の理由と同園は説明 ~ 移動先決定は難航か?
ロシア・ノヴォシビルスク動物園でゲルダとクラーシン(カイ)の同居が始まる ~ 従来の繫殖方針維持
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクの欧州への移動は2018年以降の可能性が高い?
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のホッキョクグマ飼育展示場にガラスフェンスが設置の予定 ~ 減じる魅力
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクの近況から、彼の今後の移動問題を考える
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のシロ園長がロスチクの移動問題について語る ~ 決断できぬ欧州側
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の「カイとゲルダ」の最近の話題 ~ このペアの名前の由来の真相を考える
ロシア・ノヴォシビルスク動物園が開園70周年を祝う ~ ホッキョクグマ飼育展示場に人工雪製造機が導入
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクの待機続く ~ 移動先候補にフランスのセルザ動物園が急浮上か?
ロシア・ノヴォシビルスク動物園で本格的な冬の到来を待つホッキョクグマたち ~ 「美しさ」への視点
ロシア・ノヴォシビルスク動物園で二歳となったロスチク ~ 欧州行きの可能性は消えた模様
ロシア・ノヴォシビルスク動物園での2014年のゲルダとシルカの親子の思い出のページ
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の動物たちの暮らしを記録し続ける常連の来園者に大きな賞賛の声
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のホッキョクグマたちの冬の日の光景 ~ 掴めぬロシア国内の繁殖計画の情報
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクがニジニ・ノヴゴロドのニジェゴロド動物園への移動が濃厚となる
ロシア、ニジニ・ノヴゴロドのニジェゴロド動物園に7月29日に登場するのはロスチクか?
by polarbearmaniac | 2018-08-16 03:00 | Polarbearology

ウクライナ・ムィコラーイウ動物園の赤ちゃんの性別は「雌(メス)」と判明 ~ 同園は名前を公表せず

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ジフィルカお母さんと雌(メス)の赤ちゃん Photo(C)СВІДОК.info

昨年2017年の繁殖シーズンに誕生したホッキョクグマの赤ちゃんたちの中で際立って情報が乏しいのがウクライナのムィコラーイウ動物園で2017年の12月8日に6歳のジフィルカお母さんから誕生した赤ちゃんです。産室内にいたときや屋外に登場したあたりの時期までは同園のトプチィイ園長が少ないながらも写真や映像をネット上にアップしていたのですが仕事の上で非常に多忙になっているようで最近では写真はおろか果たして赤ちゃんが無事に成長しているのかはもちろんのこと、性別や名前すらわからないほど情報が欠乏している状態です。地元にはホッキョクグマファンの方はいないようで、この親子の動静はよくわからない状態が続いていました。しかし7月以降、地元メディアの二つほどの記事でウクライナ南部の夏の暑さを報じている内容の中でごく簡単にこの親子の様子が報じられました。
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Photo(C)СВІДОК.info

その記事の中でトプチィイ園長が語っているのですが、この赤ちゃんは雌(メス)だとのことです。最初のうちはスタッフはこの赤ちゃんは雄(オス)だと考えていたそうで、名前をミコルカ ("Мыколка") としようと考えていたそうですが、赤ちゃんを麻酔にかけて性別チェックとチップの装着を行う作業の結果、性別は雌(メス)であると判明したそうです。トプチィイ園長は雌(メス)としての名前をすでに用意しているそうですが取材した記者には教えてくれなかったとのことです。別の記事の中でトプチィイ園長はムィコラーイウ動物園を取り巻いている財政上の問題の他にEAZAと組んで各種の動物たちの繁殖に取り組む際に生じている問題など、非常に多くの困難な課題に対して同園としてどう取り組んでいるかについても語っており、これも非常に興味ある内容ですがホッキョクグマには直接的に関係のある話ではないので本投稿では触れないでおくこととします。しかし、このジフィルカの産んだ雌(メス)の赤ちゃんの名前を明らかにしないことには理由があるようです。その理由については私なりに憶測するものがあるのですが確証がありませんので機会を改めて検討していきたいと考えます。

ともかく、世界の動物園で生まれたホッキョクグマの赤ちゃんの姿は貴重であり、その成長していく姿を追うことは意義があると思うのですが、このムィコラーイウ動物園のジフィルカ親子については無視されたような状態になっています。誰かが彼らの姿を広く紹介してやる必要があるのです。地元の人がやらないのならば私がやるしかありません。以下の映像は7月14日に撮影されたもののようですが非常におもしろいです。開始後3分30秒あたりからがホッキョクグマで、まず雄(オス)のナヌクが登場しています。ナヌクはロストフ動物園のコメタと双子の兄妹です。8分13秒あたりからジフィルカ親子の姿が映っています。この動物園のホッキョクグマ飼育展示場ではどの場所でどうカメラを構えたらよいかがわかります。



モニターがチルト液晶のミラレースカメラを使用するのが有利だと思います。やってみることにしましょう。この赤ちゃんの母親であるジフィルカはモスクワ動物園でシモーナが2011年11月に産んだ三つ子のうちの一頭です。私にとっても非常に縁のあるホッキョクグマですのでジフィルカとの再会も楽しみです。

(資料)
СВІДОК.info (Jul.8 2018 - Крепкий сон, лень и беззаботность, - как в Николаевском зоопарке проходит сиеста)
Вечерний Николаев (Aug.9 2018 - Зоопарк «наизнанку»: чего не видят посетители)

(過去関連投稿)
ウクライナ・ムィコラーイウ動物園でホッキョクグマの双子の赤ちゃん誕生! ~ 一頭が元気に成育中
ウクライナ・ムィコラーイウ動物園での赤ちゃん誕生の報道に登場した「悲劇のホッキョクグマ」アイカの姿
ウクライナ・ムィコラーイウ動物園で誕生の赤ちゃんが生後一か月に
ウクライナ・ムィコラーイウ動物園で誕生の赤ちゃんが生後二ヶ月に ~ 雪の日の父親ナヌク
ウクライナ・ムィコラーイウ動物園で誕生の赤ちゃん、間もなく生後三ヶ月へ ~ 初めての自然光での映像
ウクライナ・ムィコラーイウ動物園の赤ちゃんがジフィルカお母さんと共に屋外に登場!
ウクライナ・ムィコラーイウ動物園のジフィルカ親子の屋外登場以降の近況 ~ 優れた母親の出現
ウクライナ・ムィコラーイウ動物園のジフィルカ親子に天から与えられた季節外れの積雪のプレゼント
ウクライナ・ムィコラーイウ動物園の赤ちゃんとジフィルカお母さんの近況 ~ 親子の情報の乏しさ
ウクライナ・ムィコラーイウ動物園の赤ちゃん、性別も名前も発表されないまま間もなく生後五ヶ月へ
ウクライナ・ムィコラーイウ動物園で誕生の赤ちゃんが生後半年を無事に経過 ~ 乏しい情報を憂う
by polarbearmaniac | 2018-08-15 01:00 | Polarbearology

ロシア・ロストフ動物園のコメタとテルペイ(ヤクート)の夏の日

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Image:RostovGazeta

ロシア南部のロストフ・ナ・ドヌの動物園の二つのホッキョクグマ飼育展示場のうちメインの飼育展示場の整備・改良工事が終了して5歳の雌(メス)のコメタがサブの展示場からメインの展示場に移動して14歳の雄(オス)のテルペイ(ヤクート)がサブの飼育展示場に移った件はすでに投稿しています。改良されたメインの展示場で暮らすコメタについて実に素晴らしい映像が地元メディアによって公開されましたのでそれを下にご紹介しておきます。もう一つはやはりコメタの映像ですがノヴォシビルスクにお住まいのファンの方が撮った映像です。





過去関連投稿のうち「ロストフ動物園訪問記」でテルペイの姿を写した写真は今回の整備・改良以前のメインの飼育展示所で撮影したものです。それと比較すると今回の改造の大きな部分はプールの改修であったということがわかります。次に地元のTVニュースをご紹介しておきます。登場しているのはコメタです。



ロストフ動物園はすでにコメタとテルペイ(ヤクート)との間の繁殖は断念しています。相性があまり良くないということと、テルペイ(ヤクート)はペルミ動物園の新園がオープンした際にペルミに帰還することになっているからです。そういったこともあってロストフ動物園はコメタを優遇はするもののテルペイ(ヤクート)についてはあまり報じなくなっているのです。私はテルペイ(ヤクート)の大ファンですのでこういったロストフ動物園の姿勢は残念に思います。テルペイ(ヤクート)には是非とも日本に来てほしいとすら思っているほどです。彼は本当に素晴らしい男です。しかし彼は野生出身ですのでロシア国外に出るということは極めて困難です。この下はサブの飼育展示場に移動した後のテルペイ(ヤクート)です。元気で暮らしているようで安心しました、



(資料)
RostovGazeta (Aug.13 2018 - Белый медведь спасается от жары в зоопарке Ростова)
АиФ-Ростов (Aug.11 2018 - Как белые медведи в зоопарке переносят ростовскую жару?)
don24.ru (Jul.21 2018 - Белые медведи в Ростовском зоопарке отпраздновали новоселье)

(過去関連投稿)
ロシア最大の石油会社 ロスネフチがロシアの動物園の全ホッキョクグマへの援助・保護活動開始を表明
ロシア南部 ロストフ動物園のテルペイとコメタの飼育展示場改良工事にロスネフチ社が資金援助
ロシア・ロストフ動物園のテルペイとコメタの近況 ~ ノヴォシビルスク在住のファンの方の映像
ロシア南部・ロストフ動物園のコメタとテルペイとの新ペア ~ 飼育展示場改造による30年振りの繁殖への期待
ロシア・ロストフ動物園のコメタの飼育展示場改造工事は6月に終了の見通し ~ ホッキョクグマを支えるもの
ロシア南部 ・ ドン河下流のロストフ動物園のコメタの飼育展示場の改造工事が終了
ロシア・ロストフ動物園のホッキョクグマたちの一日 ~ ロストフ・ナ・ドヌは欧州とロシアで最も危険な街?
ロシア・ロストフ動物園のコメタの近況 ~ 個体にロシアのファンの関心が深まる
ロシア南部・ロストフ動物園の5歳になったコメタが本格的に挑んでいく繁殖の舞台
ロシア・ロストフ動物園がコメタとテルペイ(ヤクート)とのペアでの繁殖を断念 ~ 新パートナー導入へ
ロシア・ロストフ動物園の「国際ホッキョクグマの日」~ 優遇されるコメタと冷遇されるテルペイ (ヤクート)
ロシア南部 ロストフ動物園のコメタの新しいパートナー探しに予想される困難な現状
ロシア南部・ロストフ動物園の猛暑の下でのコメタ ~ プールの水温冷却を好まないホッキョクグマの不思議
ロシア南部・ロストフ動物園で飼育展示場の整備工事が行われる ~ 「ロストフは熊谷より暑かった!」
ロシア・ロストフ動物園で進むホッキョクグマ飼育展示場の整備 ~ 次々と行われるロスネフチ社の資金援助
(*2015年9月 ロストフ動物園訪問記)
・ロストフ動物園へ ~ サーカス出身のホッキョクグマ、イョシ(Ёши)との5年ぶりの再会
・イョシ(Белый медведь Ёши) 、素顔とその性格
・ロストフ動物園二日目 ~ 好男子テルペイ(Терпей)との二年ぶりの再会
・テルペイ(Белый медведь Терпей)、その素顔と性格
(*2017年8月 ロストフ動物園訪問記)
・真夏の猛暑のロストフ動物園、テルペイとコメタのそれぞれの暑さしのぎ ~ "How to live with summer heat"
・テルペイ (Белый медведь Терпей)、その将来の不安定性
・コメタ (Белая медведица Комета) 、その素顔と性格
・ロストフ動物園訪問二日目、36℃を示した温度計 ~ テルペイ (ヤクート)とコメタに幸あれ!
by polarbearmaniac | 2018-08-14 03:00 | Polarbearology

カナダ・ケベック州、サンフェリシアン原生動物園の新飼育展示場に登場したイレ、エサクバク、ミラクの三頭

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Photo(C)Zoo sauvage de Saint-Félicien

カナダ・ケペック州のサンフェリシアン原生動物園 (Zoo sauvage de Saint-Félicien) といえば、2009年の11月にエサクバク (Aisaqvaq /Aisakvak)から誕生したタイガとガヌークの双子兄弟の誕生とその成長過程を映像で見事に発信したことがいまだに鮮明に記憶されています。そういった同園ですが、それ以降は期待されている繁殖には成功しないままで現在に至っています。しかし同園では二年前から総額3250万カナダドル(約27億円 - そのうち2600万カナダドルはケベック州政府の補助金)を費やすホッキョクグマの新しい飼育展示場の建設が計画されて建設が進み、そしてそれが完成して先月7月には雄(オス)のイレ、雌(メス)のエサクバク、ミラクという三頭のホッキョクグマたちは新しい飼育展示場に登場したことが報じられています。
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Photo(C)Zoo sauvage de Saint-Félicien

1995年に建設された以前の飼育展示場と比較すると、今回の新しい飼育展示場は以前よりも10倍の6300㎡の面積があるそうです。プールの他に芝、土、岩があってホッキョクグマたちの日常の暮らしに刺激を与える設計となっているとのことで、秋には隣接した場所にさらに拡大された区画が加わるそうです。その区画が加わって総面積が6300㎡ となるということのようです。以下の写真をワンクリックしていただくと地元のニュース映像を見ることができます。
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下の映像はこの新しい飼育展示場に慣れるためにホッキョクグマたちを初めて出した際の映像です。まず最初の映像は雄(オス)のイレですね。



それから数日経過して雌(メス)のエサクバクとミラクが登場したのが下の映像です。



ホッキョクグマを飼育している世界中の動物園では飼育環境を改善するために次から次へと新しい飼育展示場が完成しています。日本はといえば、そういった歩みは非常に停滞しています。ホッキョクグマを飼育するということは他の動物の場合と比較すると、飼育環境という点で最も世界の趨勢と向き合っていかねばならないという特殊な事情があります。そういったことの理解が遅れているのが日本の動物園でしょう。ホッキョクグマの飼育に関して言うならば、それは日本国内を見ただけの内向きの姿勢ではいられないということなのです。6月に札幌の円山動物園を訪問した際に、ある来園者が "Polar Bear Museum" を見て「何故ホッキョクグマだけがこれだけ広い場所で悠々と暮らしているのか? 不公平ですね。」といった声を聞いたのですが、ホッキョクグマたちが「豪邸」で暮らしているというのは世界で名の通った動物園では普通のことであるわけで、円山動物園もその仲間入りをしたということにすぎません。本来の生息環境、気候から大きく異なる場所で飼育される動物は、より「豪邸」に住む資格があるのだと考えるべきでしょう。

(資料)
LaPresse.ca (Aug.11 2018 - Le Zoo sauvage de Saint-Félicien fait peau neuve)
Le Quotidien (Jul.16 2018 - Zoo de Saint-Félicien: plus de place pour les ours polaires)
Radio-Canada (Jul.15 2018 - Un environnement plus vaste pour les ours polaires de Saint-Félicien)

(過去関連投稿)
カナダ・ケベック州、サンフェリシアン原生動物園のエサクバク、展示場に復帰 ~ 本命の意外な失望結果
カナダ・ケベック州 サンフェリシアン原生動物園のエサクバクとイレのペアへの大きな期待
カナダ・ケペック州、サンフェリシアン原生動物園のエサクバク、早々と出産準備のための別区画に移る
「ホッキョクグマ飼育マニュアル(Care Manual)」よりの考察(10) ~ 出産に備えた雌の「隔離」とは?
カナダ・ケペック州、サンフェリシアン原生動物園のエサクバクの産室内の姿が公開 ~ スタッフの余裕
カナダ・サンフェリシアン原生動物園の産室内のエサクバク ~ ” Bonne nuit belle Aisaqvak !”
カナダ・ケベック州、サンフェリシアン原生動物園のエサクバク、「本命」の2年続きの失望結果
カナダ・ケベック州、サンフェリシアン原生動物園のエサクバクとイレのペアの繁殖への挑戦
カナダ・ケベック州、サンフェリシアン原生動物園でのイレの健康チェックトレーニング
カナダ・ケベック州、サンフェリシアン原生動物園のエサクバクの新しいパートナーとしてエディが来園
カナダ・ケベック州、サンフェリシアン原生動物園のエサクバク、新パートナーとの間で繁殖に再挑戦
カナダ・ケベック州、サンフェリシアン原生動物園でイレと検疫期間の終了したミラクの初顔合わせ
カナダ・ケベック州、サンフェリシアン原生動物園の深慮遠謀 ~ エサクバクとミラクのダブル出産への挑戦
カナダ・ケベック州、サンフェリシアン原生動物園のエサクバク、ミラク、イレの近況
カナダ・サンフェリシアン原生動物園のイレ(Yellé) のハロウィーン ~ 「ホッキョクグマ週間」について
カナダ・ケベック州、サンフェリシアン原生動物園のエサクバクが飼育展示場に復帰 ~ 漂う今後への閉塞感
カナダ・ケベック州、サンフェリシアン原生動物園でエサクバクとイレの同居始まる ~ 幸運を待つだけか?
カナダ・ケベック州、サンフェリシアン原生動物園のホッキョクグマたち ~ 繁殖成功への意欲を失った同園
by polarbearmaniac | 2018-08-13 03:00 | Polarbearology

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